FAO(国際連合食糧農業機関)の発表する1986年度世界の大豆生産量ランキングデータによると、アメリカ合衆国が52,868,000トンで圧倒的な1位を記録し、次いでブラジルが13,333,360トン、中国が11,614,000トンとトップスリーにランクインしました。これら三か国で世界の大豆生産の大部分を占めており、その後をアルゼンチン、インドネシアなどが続きました。日本は245,200トンで14位に位置し、他のアジア諸国と同様に大規模な生産国とはいえない状況が見られます。ランキングからは、特定の地域が大豆生産において主導的な地位を占める一方、多くの国では生産規模が相対的に小さいことが明らかになっています。
| 順位 | 国名 | 地域 | 生産量(トン) |
|---|---|---|---|
| 1 |
|
北アメリカ | 52,868,000 |
| 2 |
|
南アメリカ | 13,333,360 |
| 3 |
|
アジア | 11,614,000 |
| 4 |
|
南アメリカ | 7,100,000 |
| 5 |
|
アジア | 1,226,727 |
| 6 |
|
北アメリカ | 959,800 |
| 7 |
|
アジア | 891,400 |
| 8 |
|
南アメリカ | 810,000 |
| 9 |
|
ヨーロッパ | 806,070 |
| 10 |
|
南アメリカ | 708,761 |
| 11 |
|
アジア | 432,000 |
| 12 |
|
ヨーロッパ | 380,400 |
| 13 |
|
アジア | 356,484 |
| 14 |
|
アジア | 245,200 |
| 15 |
|
アジア | 200,000 |
| 16 |
|
アジア | 198,537 |
| 17 |
|
南アメリカ | 166,974 |
| 18 |
|
南アメリカ | 149,779 |
| 19 |
|
アフリカ | 133,400 |
| 20 |
|
オセアニア | 105,234 |
| 21 |
|
ヨーロッパ | 96,000 |
| 22 |
|
アジア | 95,000 |
| 23 |
|
アジア | 84,700 |
| 24 |
|
南アメリカ | 76,261 |
| 25 |
|
アフリカ | 73,560 |
| 26 |
|
アフリカ | 68,000 |
| 27 |
|
ヨーロッパ | 53,827 |
| 28 |
|
ヨーロッパ | 51,695 |
| 29 |
|
アフリカ | 37,900 |
| 30 |
|
南アメリカ | 35,400 |
| 31 |
|
アジア | 22,835 |
| 32 |
|
アフリカ | 15,906 |
| 33 |
|
アジア | 14,890 |
| 34 |
|
アフリカ | 9,528 |
| 35 |
|
南アメリカ | 9,200 |
| 36 |
|
ヨーロッパ | 9,000 |
| 37 |
|
アジア | 8,100 |
| 38 |
|
アフリカ | 6,740 |
| 39 |
|
アジア | 6,670 |
| 40 |
|
南アメリカ | 6,000 |
| 41 |
|
アフリカ | 5,700 |
| 42 |
|
アジア | 5,300 |
| 43 |
|
南アメリカ | 3,929 |
| 44 |
|
アジア | 3,804 |
| 45 |
|
ヨーロッパ | 3,344 |
| 46 |
|
アフリカ | 3,100 |
| 47 |
|
アフリカ | 2,785 |
| 48 |
|
アジア | 2,601 |
| 49 |
|
アジア | 2,585 |
| 50 |
|
アフリカ | 2,000 |
| 51 |
|
アジア | 2,000 |
| 52 |
|
アフリカ | 2,000 |
| 53 |
|
アジア | 1,700 |
| 54 |
|
アフリカ | 1,200 |
| 55 |
|
アジア | 1,000 |
| 56 |
|
南アメリカ | 930 |
| 57 |
|
南アメリカ | 826 |
| 58 |
|
アフリカ | 800 |
| 59 |
|
南アメリカ | 644 |
| 60 |
|
アフリカ | 600 |
| 61 |
|
アフリカ | 465 |
| 62 |
|
アフリカ | 300 |
| 63 |
|
アフリカ | 91 |
| 64 |
|
オセアニア | 70 |
| 65 |
|
アフリカ | 60 |
| 66 |
|
南アメリカ | 46 |
| 67 |
|
南アメリカ | 35 |
| 68 |
|
アジア | 6 |
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1986年度の世界の大豆生産における主要国としては、アメリカ合衆国、ブラジル、中国の三か国が挙げられます。この時期のランキングから見えるのは、これらの国が気候条件や農地拡大、農業技術の発展を強みに、世界の大豆供給を支配していたことです。特にアメリカ合衆国は単独で52,868,000トンを生産しており、これは第2位のブラジルの生産量を約4倍も上回る値です。ブラジル、中国、アルゼンチンの南米・アジア勢もまた、比較的大きな生産量を誇り、輸出国としての地位を確保しています。
一方で、日本を含む多くのアジア諸国やアフリカ諸国では、大豆生産が限定的であり、ほとんどが国内消費をまかなうレベルにとどまっています。日本の生産量は245,200トンで14位、隣国の大韓民国は198,537トンで16位という順位から見ても、自国の需要に対して限られた供給力しか持たないことがうかがえます。これは、日本や韓国が農地面積の限界や他の作物への優先投資などの制約を抱える一方で、大豆需要の大部分を輸入に依存する構造になっているためです。
地域的課題として、アジア諸国では食用油や大豆関連製品への需要が増加している状況があります。この供給と需要のギャップを埋めるため、輸入に依存する形が続いていることが指摘できます。同時に、農業技術の改良や効率的な土地利用が進展していない地域では、耕地の不足や気候条件の変動が生産性を抑制しているとも言えます。
地政学的側面から考えると、大豆は世界的に重要な農産物であり、食料資源としてだけでなく、バイオ燃料や飼料用の需要も拡大しています。そのため、特にアメリカ合衆国、ブラジル、中国など生産上位国がもたらす供給動向は、世界経済や貿易体制にも直接的な影響を与えています。こうした主要生産国が国内政策や貿易摩擦などで輸出条件を変更することがあれば、世界規模で価格の高騰や供給不足を招くリスクも存在しています。
未来に向けて、大豆生産にはいくつかの課題と機会が見られます。まず、持続可能な農業の推進が急務です。特に、主要生産国では、農地拡大による森林破壊や生態系の崩壊が大きな懸念となっています。これに対応するためには、脱炭素農法や気候適応型の生産技術の導入が求められます。また、小規模生産国においては、生産技術の移転やインフラ整備を通じた生産性向上が、国内需要を満たす上での鍵となるでしょう。日本や韓国のような輸入依存国に対しては、地域間協力の強化も有効な手段といえます。具体的には、アジア地域内での共同の研究開発や技術交流の枠組みを構築することが考えられます。
最終的に、このランキングは、特定の国や地域が世界の大豆市場においていかに大きな役割を果たしているかを示す一方で、それ以外の国の課題やネットワークの可能性を浮き彫りにしています。持続可能な発展、国際的連携、適応可能な農業政策が、今後の供給安定と食糧安全保障を実現するための重要なポイントとなるでしょう。