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ウガンダのジャガイモ生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表したデータによると、ウガンダのジャガイモ生産量は1961年の100,000トンから徐々に増加し、2006年には628,000トンと大きなピークを迎えています。その後、生産量には大幅な減少と変動が見られ、近年では2022年に244,071トンという水準になっています。このデータは、長期間にわたる気候条件、政策の影響、紛争、農業技術の進展などの多様な要因を反映しており、農業の持続可能性や生産性向上のための課題を浮き彫りにしています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 422,026
72.91% ↑
2022年 244,071
1.18% ↑
2021年 241,230
-3.51% ↓
2020年 250,000
-3.85% ↓
2019年 260,000
-20.57% ↓
2018年 327,332
9.35% ↑
2017年 299,338
74.77% ↑
2016年 171,271
-1.05% ↓
2015年 173,093
-4.35% ↓
2014年 180,956
3.24% ↑
2013年 175,270
-5.31% ↓
2012年 185,103
3% ↑
2011年 179,712
7.61% ↑
2010年 167,000
3.09% ↑
2009年 162,000
10.2% ↑
2008年 147,000
-77.38% ↓
2007年 650,000
3.5% ↑
2006年 628,000
7.35% ↑
2005年 585,000
2.09% ↑
2004年 573,000
2.87% ↑
2003年 557,000
2.01% ↑
2002年 546,000
7.48% ↑
2001年 508,000
6.28% ↑
2000年 478,000
6.46% ↑
1999年 449,000
16.93% ↑
1998年 384,000
6.67% ↑
1997年 360,000
13.21% ↑
1996年 318,000
-20.9% ↓
1995年 402,000
9.24% ↑
1994年 368,000
15% ↑
1993年 320,000
19.4% ↑
1992年 268,000
5.51% ↑
1991年 254,000
13.39% ↑
1990年 224,000
-9.68% ↓
1989年 248,000
30.53% ↑
1988年 190,000
2.7% ↑
1987年 185,000
88.78% ↑
1986年 98,000
-41.67% ↓
1985年 168,000
27.27% ↑
1984年 132,000
-36.84% ↓
1983年 209,000
6.63% ↑
1982年 196,000
12% ↑
1981年 175,000
5.42% ↑
1980年 166,000
26.72% ↑
1979年 131,000
-55.35% ↓
1978年 293,400
9.89% ↑
1977年 267,000
-22.61% ↓
1976年 345,000
56.11% ↑
1975年 221,000
11% ↑
1974年 199,100
12.74% ↑
1973年 176,600
9.15% ↑
1972年 161,800
26.41% ↑
1971年 128,000
-14.67% ↓
1970年 150,000
7.14% ↑
1969年 140,000 -
1968年 140,000
7.69% ↑
1967年 130,000 -
1966年 130,000
8.33% ↑
1965年 120,000 -
1964年 120,000
9.09% ↑
1963年 110,000 -
1962年 110,000
10% ↑
1961年 100,000 -

ウガンダのジャガイモ生産量の推移を見ると、1961年から概ね増加傾向にあり、特に1970年代後半や1990年代以降には顕著な成長が見られます。1960年代から1980年代半ばまでは一部の年で減少したものの、全体としては順調に拡大しています。しかしながら、1986年に98,000トンという低水準にまで減少した年があり、この動きはウガンダ内で発生した社会的混乱や紛争の影響と関連すると考えられます。紛争や不安定な政治情勢は、農業インフラへの大きなダメージを与え、生産性を著しく低下させる要因となっています。

一方、1990年代から2000年代前半にかけては急速な成長が見られ、特に2006年には過去最高の628,000トンという記録を達成しました。この増加は、新たな農業技術の導入、政府の農業振興政策、さらに輸出市場へのアクセス改善による需要増加などが要因として挙げられます。しかし、2008年以降は生産量が急激に落ち込み、162,000トンまで減少しました。この大幅な減少は、気候変動による降雨パターンの不安定化や地域的な農業資源の不足によるものと推測されます。

近年、2022年の244,071トンという数字を見ると、2000年代中頃に比べてかなり低い水準で推移していることが明らかです。この減少には、土地の肥沃度低下、農地の縮小、気候変動による天候の不安定、さらにはパンデミックやグローバルな物流の停滞も影響している可能性があります。COVID-19のような疫病は、農業従事者の労働力に直接影響を与えただけでなく、種子や肥料の入手に困難をもたらしたことが報告されています。

課題としては、ウガンダのジャガイモ生産における変動の大きさです。この変動は、単なる気候条件の変化だけでなく、インフラの未整備、技術不足、農薬や肥料の使用量不足など、国内農業全体に共通する問題を示唆しています。また、ジャガイモはウガンダ国内での消費だけでなく、地域的な市場、特に隣国市場への輸出品としても重要です。持続可能な農業のためには、流動的な市場環境に対応した生産・供給モデルを構築する必要があります。

具体的な対策として、新しい灌漑技術の導入や耐乾性のあるジャガイモ品種の開発が期待されます。加えて、農家への研修プログラムの実施や、肥料・農薬使用の効率化、さらには農地の改良もすぐに取り組むべき重要課題です。これに加え、地域紛争の影響を軽減するための安定的な農村開発プログラムも必要でしょう。気候変動の影響を抑えるためには、地域共同体レベルでの気候適応型農業を推進することが重要です。

地政学的背景としては、ウガンダがアフリカの中東部に位置していることから、この地域全体が直面している水と土地資源の争奪や、周辺国での紛争の影響を受けやすいという点が挙げられます。これにより、農業生産そのものが非安定化する可能性があります。これに対処するためには、例えばアフリカ連合(AU)のような地域組織を通じた協力および国際的な支援を求めることも効果的です。

ウガンダ政府や国際機関は、こうした課題に対してより具体的な投資と対策を進めるべきです。人材育成や市場参入の支援、農業生産性を向上させるための政策改革が必要です。ジャガイモはウガンダにおける主要農作物の一つであり、今後も国内経済や農業生産性向上に重要な役割を果たすことが期待されます。持続可能な農業の道を歩むためには、長期的な政策ビジョンと政府・民間の連携が不可欠です。