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ウガンダの牛乳生産量推移(1961年~2022年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、ウガンダの牛乳生産量は、1960年代から持続的に成長してきたものの一部の時期で大きな変動を見せています。特に1990年代以降、生産量は著しい増加を記録し、2004年以降は年間100万トンを超える生産量を維持しています。しかし、近年では2018年に一時的に210万トンを超える最高記録を達成した後、2020年以降は約167万トン前後で横ばい状態が続いています。

年度 生産量(トン) 増減率
2022年 1,674,018
0.16% ↑
2021年 1,671,294
0.66% ↑
2020年 1,660,393
-1.36% ↓
2019年 1,683,315
-19.88% ↓
2018年 2,101,000
26.41% ↑
2017年 1,662,000
-1.25% ↓
2016年 1,683,000
4.15% ↑
2015年 1,616,000
1.22% ↑
2014年 1,596,500 -
2013年 1,596,500
3.06% ↑
2012年 1,549,120
6.1% ↑
2011年 1,460,000
2.96% ↑
2010年 1,418,000
2.98% ↑
2009年 1,377,000
-3.14% ↓
2008年 1,421,641
3% ↑
2007年 1,380,208
3.1% ↑
2006年 1,338,688
1.58% ↑
2005年 1,317,804
3.43% ↑
2004年 1,274,077
5.46% ↑
2003年 1,208,163
31.51% ↑
2002年 918,658
30.59% ↑
2001年 703,463
2.55% ↑
2000年 685,956
0.33% ↑
1999年 683,683
2.97% ↑
1998年 663,961
4.92% ↑
1997年 632,814
0.99% ↑
1996年 626,590
1.22% ↑
1995年 619,046
2.26% ↑
1994年 605,346
-4.55% ↓
1993年 634,215
2.93% ↑
1992年 616,156
1.61% ↑
1991年 606,412
41.09% ↑
1990年 429,800
11.23% ↑
1989年 386,400
3.66% ↑
1988年 372,750
9.01% ↑
1987年 341,950
-6.06% ↓
1986年 364,000
4% ↑
1985年 350,000
0.1% ↑
1984年 349,650
2.57% ↑
1983年 340,900
1.04% ↑
1982年 337,400
1.58% ↑
1981年 332,150
-0.52% ↓
1980年 333,900
-9% ↓
1979年 366,940
-3.63% ↓
1978年 380,776
33.55% ↑
1977年 285,124
0.86% ↑
1976年 282,689
0.18% ↑
1975年 282,171
2.36% ↑
1974年 275,660
3.13% ↑
1973年 267,295
3.48% ↑
1972年 258,300
5.9% ↑
1971年 243,915
-1.33% ↓
1970年 247,205
7.8% ↑
1969年 229,320
7.83% ↑
1968年 212,660
1.54% ↑
1967年 209,440
3.71% ↑
1966年 201,950 -
1965年 201,950
0.96% ↑
1964年 200,025
-0.03% ↓
1963年 200,095
2.42% ↑
1962年 195,370
-6.5% ↓
1961年 208,950 -

牛乳生産量のデータを見ると、ウガンダは1961年の約20万トンの生産量からスタートし、1970年代後半には30万トン台、1990年代以降は急激に増加して年間60万トンから120万トン超まで拡大しました。この増加の背景には、家畜の飼育技術の進歩や農業政策の改善が挙げられます。2003年以降、ウガンダの乳業部門はさらに活性化し、生産量は右肩上がりとなり、2007年以降、一貫して年間100万トン以上を生産するようになりました。

2018年にはついに210万トンという過去最大の生産量を記録し、この時期は地域的な気候条件や家畜飼育環境が極めて良好であったと考えられます。しかしその後、2019年以降は減少傾向が見られ、2020年以降では約167万トン前後という横ばい状態が続いています。この後退にはいくつかの要因が関係していると推測されます。第一に、新型コロナウイルス感染症のパンデミックが、牛乳の流通やサプライチェーンに与えた悪影響です。物流や乳製品加工施設の稼働率が低下することで、生産から消費までの一連のプロセスに問題が生じました。第二に、気候変動が降水パターンや牧草の質に影響を与えた可能性があります。干ばつや不安定な雨量により、家畜のエサ供給が制約される事例が報告される地域が増えています。

また、ウガンダの牛乳生産量を他国と比較すると、その規模や成長率には明確な特徴があります。例えば、世界的な牛乳生産の最大国インドでは、年間約2億トンを超える巨大な生産規模を誇っており、これはウガンダの約100倍と言えます。しかし、東アフリカ地域においてはケニアやタンザニアと並ぶ主要な乳業国としての地位を築いています。特に家庭経済が酪農業に依存しているウガンダの農家にとって、牛乳生産は重要な収入源であり、栄養価の高い食品供給源でもあります。

今後、ウガンダの牛乳産業のさらなる発展のためにはいくつかの課題があります。まず、気候変動への対応として、牧草地の管理改善や耐乾性の牧草導入の支援が重要です。また、家畜の品種改良や栄養管理などの技術支援を強化することも生産効率を向上させる鍵となります。さらに、乳製品の国内外市場の拡張も重要であり、冷蔵輸送手段の整備や国際品質基準への対応が求められます。

加えて、地政学的な観点からみると、ウガンダは周辺国との貿易関係や地域間の協力を強化することで、生産された牛乳の輸出市場を拡大していくべきです。特に東アフリカ共同体(EAC)の枠組みを活用し、乳製品貿易の関税を減らす取り組みが効果的でしょう。また、国内看板政策として乳業部門への補助金政策や零細農家への技術アウトリーチプログラムが具体的な解決策となり得ます。

結論として、ウガンダは牛乳生産の面で顕著な成長を見せてきましたが、近年の減退傾向や気候リスクを克服するためには構造的な強化が求められます。持続可能な酪農技術の導入、国内外市場の拡大、政策的支援の強化が、ウガンダの牛乳産業の未来を切り開く鍵になると言えるでしょう。