国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した2005年度の大豆生産量ランキングでは、アメリカ合衆国が8,350万トン以上で圧倒的な1位を獲得しました。続くブラジルとアルゼンチンがそれぞれ5,118万トン、3,829万トンで2位と3位となり、南米での大豆栽培の重要性がうかがえます。中国は1,635万トンで4位、インドは827万トンで5位にランクインしました。日本は22万5,000トンで20位に位置し、大豆生産の規模としては輸出主体ではなく、国内の需要を補うための生産に留まっています。
| 順位 | 国名 | 地域 | 生産量(トン) |
|---|---|---|---|
| 1 |
|
北アメリカ | 83,506,580 |
| 2 |
|
南アメリカ | 51,182,072 |
| 3 |
|
南アメリカ | 38,289,744 |
| 4 |
|
アジア | 16,347,800 |
| 5 |
|
アジア | 8,273,500 |
| 6 |
|
南アメリカ | 3,988,000 |
| 7 |
|
北アメリカ | 3,155,600 |
| 8 |
|
南アメリカ | 1,693,087 |
| 9 |
|
アジア | 808,353 |
| 10 |
|
ヨーロッパ | 686,099 |
| 11 |
|
ヨーロッパ | 612,600 |
| 12 |
|
アフリカ | 565,000 |
| 13 |
|
ヨーロッパ | 553,002 |
| 14 |
|
南アメリカ | 511,000 |
| 15 |
|
アジア | 340,000 |
| 16 |
|
ヨーロッパ | 312,781 |
| 17 |
|
アジア | 292,700 |
| 18 |
|
アフリカ | 272,500 |
| 19 |
|
アジア | 228,375 |
| 20 |
|
アジア | 225,000 |
| 21 |
|
アジア | 197,863 |
| 22 |
|
南アメリカ | 187,235 |
| 23 |
|
アジア | 185,900 |
| 24 |
|
アジア | 183,338 |
| 25 |
|
アジア | 179,096 |
| 26 |
|
アフリカ | 158,000 |
| 27 |
|
ヨーロッパ | 142,528 |
| 28 |
|
ヨーロッパ | 119,602 |
| 29 |
|
アフリカ | 89,660 |
| 30 |
|
ヨーロッパ | 77,963 |
| 31 |
|
ヨーロッパ | 65,592 |
| 32 |
|
アジア | 62,630 |
| 33 |
|
南アメリカ | 61,600 |
| 34 |
|
ヨーロッパ | 60,573 |
| 35 |
|
南アメリカ | 59,650 |
| 36 |
|
アフリカ | 56,730 |
| 37 |
|
アフリカ | 51,000 |
| 38 |
|
オセアニア | 44,689 |
| 39 |
|
アフリカ | 40,000 |
| 40 |
|
アジア | 36,515 |
| 41 |
|
南アメリカ | 35,000 |
| 42 |
|
アジア | 29,000 |
| 43 |
|
アフリカ | 23,703 |
| 44 |
|
アジア | 19,820 |
| 45 |
|
ヨーロッパ | 18,964 |
| 46 |
|
ヨーロッパ | 18,893 |
| 47 |
|
アフリカ | 14,920 |
| 48 |
|
ヨーロッパ | 12,482 |
| 49 |
|
アジア | 11,100 |
| 50 |
|
アフリカ | 10,067 |
| 51 |
|
アフリカ | 9,190 |
| 52 |
|
アフリカ | 7,133 |
| 53 |
|
南アメリカ | 5,621 |
| 54 |
|
アジア | 4,990 |
| 55 |
|
ヨーロッパ | 4,000 |
| 56 |
|
アジア | 3,814 |
| 57 |
|
南アメリカ | 3,535 |
| 58 |
|
南アメリカ | 3,491 |
| 59 |
|
アフリカ | 3,033 |
| 60 |
|
ヨーロッパ | 2,797 |
| 61 |
|
アフリカ | 2,698 |
| 62 |
|
アフリカ | 2,630 |
| 63 |
|
アフリカ | 2,200 |
| 64 |
|
アジア | 2,200 |
| 65 |
|
アフリカ | 2,124 |
| 66 |
|
アフリカ | 2,103 |
| 67 |
|
アフリカ | 2,100 |
| 68 |
|
南アメリカ | 2,059 |
| 69 |
|
アジア | 1,634 |
| 70 |
|
南アメリカ | 1,544 |
| 71 |
|
アフリカ | 1,000 |
| 72 |
|
アジア | 988 |
| 73 |
|
アジア | 880 |
| 74 |
|
アフリカ | 834 |
| 75 |
|
ヨーロッパ | 700 |
| 76 |
|
ヨーロッパ | 604 |
| 77 |
|
ヨーロッパ | 400 |
| 78 |
|
南アメリカ | 340 |
| 79 |
|
ヨーロッパ | 334 |
| 80 |
|
ヨーロッパ | 333 |
| 81 |
|
アジア | 301 |
| 82 |
|
アフリカ | 300 |
| 83 |
|
アジア | 264 |
| 84 |
|
アフリカ | 220 |
| 85 |
|
アジア | 213 |
| 86 |
|
南アメリカ | 96 |
| 87 |
|
アフリカ | 49 |
| 88 |
|
アジア | 39 |
| 89 |
|
南アメリカ | 25 |
| 90 |
|
アジア | 11 |
| 91 |
|
ヨーロッパ | 7 |
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2005年度の世界の大豆生産量データによると、大豆はアメリカ合衆国、ブラジル、アルゼンチンのいわゆる「大豆三大国」によって世界の生産の約80%以上が占められています。これらの国々は、主に大規模な農地と高度な農業技術、ならびに大豆を使った飼料やバイオ燃料向けの需要の高まりを背景としています。例えば、アメリカ合衆国では大豆は主に食料だけでなく飼料用としても生産され、グローバルな畜産市場を支えています。一方、ブラジルとアルゼンチンは輸出国としての役割を果たしており、特にブラジルの大豆の多くは中国などのアジア市場へ供給されています。
一方で、アジアでは中国が突出した大豆生産国であるものの、国内需要を満たすことは難しく、大豆の輸入に大きく依存しています。この点は、中国の急速な経済成長とそれに伴う畜産業の拡大が背景にあり、大豆輸入が中国にとって食糧安全保障の重要課題となっています。インドも国内消費を重視する生産国ですが、依然としてアメリカや南米諸国と比べると規模は小さく、さらなる生産効率向上が求められています。
日本に目を向けると、大豆生産は主に北海道など一部の地域に集中していますが、その生産量は年間22万5,000トンと低く、国内消費の大部分を海外からの輸入に依存しています。味噌や醤油、豆腐といった日本の食文化の中心ともいえる食品原料でありながら、日本の自給率の低さは今後の食糧安全保障の観点で課題となっています。韓国も同様に、大豆の自給率が低く、国内生産量は18万トン程度で日本と同様に輸入に依存しています。
大豆は単なる食品だけでなく、飼料やバイオ燃料としても不可欠な存在です。このことから、大豆生産は資源争奪や地政学的リスクとも密接に関係しています。例えば、ブラジルでは大豆生産拡大のためにアマゾン熱帯雨林が切り開かれているという環境問題が指摘されています。同時に、こうした国々が大豆の主要輸出先である中国や欧州諸国との関係が、気候変動対策や貿易政策の文脈で複雑に絡み合っています。
このような状況を踏まえ、今後の課題として以下が挙げられます。各国は環境負荷を抑えつつ大豆の生産効率を向上させる技術開発を進める必要があります。具体的には、持続可能な農業技術の導入や土地利用率の見直しが急務となります。日本のような生産量が少ない国では、限られた耕地を最大限に活用するための高付加価値作物への転換や、日本国内での需要を補うための多国間の協調体制を構築することが重要です。さらに、中国のように需要が大きい国々は、大豆サプライチェーンの多様化を進めることで、特定の供給国への依存度を下げる必要があります。
結論として、2005年度の大豆生産ランキングは、主要生産国が明確に焦点化される一方で、輸出入における課題や地域ごとの環境負荷などのグローバルな問題も浮き彫りにしました。この問題を克服するには、各国が短期的な生産量の拡大だけでなく、長期的な観点での持続可能な農業政策や協力体制の強化を進めることが求められます。