国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、ウガンダのトマト生産量は1961年から2022年にかけて、全体的に着実な増加を遂げています。1961年には3,500トンで始まり、2022年には37,637トンへと増加しました。しかし、2000年代以降には周期的な増減が見られ、2016年から現在にかけてはほぼ横ばいの状況が続いています。このデータは、ウガンダの農業発展の一つの象徴であるとともに、今後の課題の存在も示しています。
ウガンダのトマト生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
---|---|---|
2023年 | 38,310 |
1.79% ↑
|
2022年 | 37,637 |
-0.05% ↓
|
2021年 | 37,654 |
-0.33% ↓
|
2020年 | 37,779 |
0.8% ↑
|
2019年 | 37,479 |
-0.6% ↓
|
2018年 | 37,706 |
-1.17% ↓
|
2017年 | 38,152 |
4.3% ↑
|
2016年 | 36,578 |
-4.71% ↓
|
2015年 | 38,387 |
5.48% ↑
|
2014年 | 36,393 |
4.12% ↑
|
2013年 | 34,953 |
-0.13% ↓
|
2012年 | 35,000 |
16.67% ↑
|
2011年 | 30,000 |
-3.23% ↓
|
2010年 | 31,000 |
10.69% ↑
|
2009年 | 28,005 |
14.31% ↑
|
2008年 | 24,500 |
-4.32% ↓
|
2007年 | 25,606 |
9.02% ↑
|
2006年 | 23,487 |
3.15% ↑
|
2005年 | 22,770 |
11.82% ↑
|
2004年 | 20,364 |
7.88% ↑
|
2003年 | 18,876 |
9.86% ↑
|
2002年 | 17,182 |
8.52% ↑
|
2001年 | 15,834 |
13.1% ↑
|
2000年 | 14,000 |
7.69% ↑
|
1999年 | 13,000 |
8.33% ↑
|
1998年 | 12,000 |
9.09% ↑
|
1997年 | 11,000 |
10% ↑
|
1996年 | 10,000 |
-9.09% ↓
|
1995年 | 11,000 |
2.8% ↑
|
1994年 | 10,700 |
1.9% ↑
|
1993年 | 10,500 |
5% ↑
|
1992年 | 10,000 |
-9.09% ↓
|
1991年 | 11,000 |
4.76% ↑
|
1990年 | 10,500 |
5% ↑
|
1989年 | 10,000 |
5.26% ↑
|
1988年 | 9,500 |
5.56% ↑
|
1987年 | 9,000 |
12.5% ↑
|
1986年 | 8,000 |
3.9% ↑
|
1985年 | 7,700 | - |
1984年 | 7,700 |
2.67% ↑
|
1983年 | 7,500 |
7.14% ↑
|
1982年 | 7,000 |
2.94% ↑
|
1981年 | 6,800 |
1.49% ↑
|
1980年 | 6,700 | - |
1979年 | 6,700 | - |
1978年 | 6,700 | - |
1977年 | 6,700 |
3.08% ↑
|
1976年 | 6,500 |
3.17% ↑
|
1975年 | 6,300 |
3.28% ↑
|
1974年 | 6,100 |
3.39% ↑
|
1973年 | 5,900 |
3.51% ↑
|
1972年 | 5,700 |
3.64% ↑
|
1971年 | 5,500 |
3.77% ↑
|
1970年 | 5,300 |
3.92% ↑
|
1969年 | 5,100 |
4.08% ↑
|
1968年 | 4,900 |
4.26% ↑
|
1967年 | 4,700 |
4.44% ↑
|
1966年 | 4,500 |
4.65% ↑
|
1965年 | 4,300 |
4.88% ↑
|
1964年 | 4,100 |
5.13% ↑
|
1963年 | 3,900 |
5.41% ↑
|
1962年 | 3,700 |
5.71% ↑
|
1961年 | 3,500 | - |
ウガンダのトマト生産量推移は、同国の農業政策や技術進歩の影響を反映した重要な指標です。1961年の3,500トンという状況から、2022年には37,637トンまで増加しました。この間、ウガンダでは農業技術の導入のみならず、国際市場への輸出志向の高まり、また政府や開発援助機関による小規模農家支援プログラムの展開が、トマト生産量の増加に貢献しました。
1970年代から1980年代にかけては生産量の増加がほぼ停滞しており、これは国内の政情不安や社会経済的混乱による影響が考えられます。この時期のウガンダは、クーデターや内戦が続き、農業の発展に必要な資本や労働力が不足し、結果的に持続可能な農業成長が妨げられました。一方で、1980年代後半以降、ようやく安定を取り戻し、1990年代には生産量が再び増加傾向を示しています。
特に注目すべきは、2000年以降、急激な生産量の向上が見られる点です。2000年の14,000トンから2010年には31,000トンを記録し、その増加率は顕著です。これは、農業技術の革新や灌漑技術の普及、農家教育の推進といった複数の要因によるものとされています。しかし、2010年以降になると、生産量は年によって増減を繰り返し、2016年以降はほぼ横ばいの状態が続いています。
この現状にはいくつかの課題が潜んでいます。第一に、気候変動の影響が挙げられます。2020年代に入ると、熱帯地域における気温上昇や降雨パターンの不安定性により、作物の生育に影響が出ています。また、農業インフラの不整備も大きな要因です。特に、収穫物を適切に保存し、市場までの輸送をスムーズに行うための冷却施設や道路の不足が、トマトの品質と価格の両方に影響を与えています。
さらに、農業に従事する若い世代の減少も問題として挙げられます。農村人口の都市部への流出は、労働力不足を引き起こし、それがトマトやその他の作物の生産性に悪影響を及ぼしています。この状況はウガンダだけでなく、一部のサハラ以南のアフリカ諸国全体でも見られる課題です。
将来的には、これらの問題に対応するために、いくつかの具体的な対策が必要です。例えば、灌漑設備のさらなる拡充や気候変動対策に焦点を当てた農業研究の推進が挙げられます。また、農村地域へのインフラ投資を強化し、農家が収益を最大化できるよう道筋をつけることも重要です。さらに、トマトが他国へ輸出される際の国際競争力を高めるため、品質向上のための技術支援やマーケティング戦略を構築することも検討すべきでしょう。
また、農業分野での若者の参加を促進するため、農村地域で教育機会や経済的インセンティブを提供し、農業を魅力的で収益性の高い職業として位置づける必要があります。加えて、地域間協力の強化も鍵となります。アフリカ各国が協力し、農業生産物の貿易を促進することで、供給過剰や価格変動といったリスクを軽減できるでしょう。
結論として、ウガンダのトマト生産量は過去数十年にわたり着実に増加しましたが、その背後には現在および将来への課題が存在します。これらの課題に対して適切な政策が講じられることで、ウガンダにおけるトマト生産のさらなる発展と持続可能性が期待されます。国際機関を含めた幅広い支援が必要となるでしょう。