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パナマの牛乳生産量推移(1961年~2022年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データに基づくと、パナマの牛乳生産量は1961年以降顕著な増加傾向を示してきましたが、近年は減少と回復を繰り返し、2022年は179,469トンに達しています。これは過去数十年間の記録と比較して安定しているものの、ピーク時の2014年(215,441トン)からはかなりの減少を見せています。このデータから、パナマの農業・酪農業の動向や課題が浮き彫りになっています。

年度 生産量(トン) 増減率
2022年 179,469
-1.13% ↓
2021年 181,523
-15.09% ↓
2020年 213,773
13.2% ↑
2019年 188,842
-9.6% ↓
2018年 208,893
-1.65% ↓
2017年 212,407
3.23% ↑
2016年 205,762
-2.59% ↓
2015年 211,224
-1.96% ↓
2014年 215,441
4.65% ↑
2013年 205,861
1.25% ↑
2012年 203,323
4.3% ↑
2011年 194,934
-1.53% ↓
2010年 197,966
2.53% ↑
2009年 193,077
2.35% ↑
2008年 188,635
3.91% ↑
2007年 181,543
1.65% ↑
2006年 178,592
-1.38% ↓
2005年 181,094
1.05% ↑
2004年 179,208
-0.26% ↓
2003年 179,678
0.84% ↑
2002年 178,187
6.29% ↑
2001年 167,650
-1.74% ↓
2000年 170,613
-0.36% ↓
1999年 171,226
2.68% ↑
1998年 166,753
3.66% ↑
1997年 160,861
0.2% ↑
1996年 160,547
6.55% ↑
1995年 150,671
0.66% ↑
1994年 149,676
-0.92% ↓
1993年 151,066
14.82% ↑
1992年 131,566
-2.39% ↓
1991年 134,787
8.64% ↑
1990年 124,066
5% ↑
1989年 118,157
7.04% ↑
1988年 110,381
-5.78% ↓
1987年 117,147
1.8% ↑
1986年 115,078
17.7% ↑
1985年 97,773
1.81% ↑
1984年 96,033
9.26% ↑
1983年 87,898
-5.37% ↓
1982年 92,883
0.2% ↑
1981年 92,695
-1.79% ↓
1980年 94,380
0.91% ↑
1979年 93,530
0.1% ↑
1978年 93,435
8.71% ↑
1977年 85,950
14% ↑
1976年 75,393
3.55% ↑
1975年 72,806
13.97% ↑
1974年 63,879
-2.86% ↓
1973年 65,763
-8.88% ↓
1972年 72,173
-5.47% ↓
1971年 76,352
3.89% ↑
1970年 73,491
-7.17% ↓
1969年 79,166
10.47% ↑
1968年 71,661
-1.56% ↓
1967年 72,800
2.81% ↑
1966年 70,811
12.82% ↑
1965年 62,766
5.13% ↑
1964年 59,701
5.78% ↑
1963年 56,440
6.93% ↑
1962年 52,783
9.27% ↑
1961年 48,303 -

パナマの牛乳生産量のデータは、約60年以上にわたる酪農業の変化を反映しています。1961年の48,303トンから始まり、特に1980年代以降は生産性の向上による増加が明らかです。例えば、1986年の115,078トンから1990年の124,066トン、さらに1993年には151,066トンと、大幅な増加が見られます。これには、新たな農業技術の導入や、国際市場へのアクセス拡大が寄与したと考えられます。一方で、生産量は1999年に171,226トンまで到達したものの、2000年代にかけてはやや停滞が見られます。

また、2010年以降は再び成長を示し、2014年には215,441トンのピークに達しました。しかしながら、この後生産量は減少し、特に2019年には188,842トンと2014年のピークよりも大幅に減少しています。こうした減少の要因としては、気候変動の影響や、輸送インフラの問題、さらにパンデミックによる経済活動の停滞が考えられます。また、2021年の181,523トンまでの落ち込みも見られ、2024年のデータは、パナマがいまだ安定的な生産体制を確立していないことを示唆しています。

地政学的背景も酪農業に影響を及ぼしています。パナマは地理的に重要な位置にあるため、輸出入の拠点として期待されていますが、この依存が内需主体の生産性を低下させている可能性もあります。さらに、近年の異常気象やインフラの脆弱性は、酪農業全体にリスクを与え、物価変動を引き起こす原因となっています。

今後の課題としては、まず気候変動に対する適応策が挙げられます。技術革新により、干ばつや洪水などの被害に耐えられる農業体制を構築する必要があります。そして、内需拡大と輸出市場の効率化を両立させる戦略が求められます。たとえば、地域的な協力関係を強化し、酪農業への投資を促進することでより持続可能な生産体制を目指す取り組みが必要です。

また、COVID-19パンデミックやその他の疫病の影響に備えるため、多角的なリスク管理戦略を採用し、供給網の安定化を図ることも重要です。国際機関との連携による技術や資金の導入、地元農家を対象とした教育研修の実施は有効な解決策となり得ます。

結論として、パナマの牛乳生産量は長期的な観点では成長傾向が見られるものの、近年の減少や停滞は無視できません。この状況を改善するためには、気候変動対策、効果的なインフラ整備、内需強化と国際市場のバランスの取れた発展が求められます。国際機関、地域協定、そして地元農業者の協力が、未来の酪農業を支える鍵となるでしょう。