Skip to main content

パナマの牛乳生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)の最新データによると、2023年のパナマにおける牛乳生産量は168,367トンとなり、過去数年間の生産量の減少傾向が続いています。過去を見ると、1960年代から一貫して増加し、2014年の215,441トンでピークに達しましたが、その後減少に転じています。この推移は、気候変動、経済的要因、農業政策の変化、あるいは地域の需要と供給の変動に一部関連している可能性があります。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 168,367
-6.19% ↓
2022年 179,469
-1.13% ↓
2021年 181,523
-15.09% ↓
2020年 213,773
13.2% ↑
2019年 188,842
-9.6% ↓
2018年 208,893
-1.65% ↓
2017年 212,407
3.23% ↑
2016年 205,762
-2.59% ↓
2015年 211,224
-1.96% ↓
2014年 215,441
4.65% ↑
2013年 205,861
1.25% ↑
2012年 203,323
4.3% ↑
2011年 194,934
-1.53% ↓
2010年 197,966
2.53% ↑
2009年 193,077
2.35% ↑
2008年 188,635
3.91% ↑
2007年 181,543
1.65% ↑
2006年 178,592
-1.38% ↓
2005年 181,094
1.05% ↑
2004年 179,208
-0.26% ↓
2003年 179,678
0.84% ↑
2002年 178,187
6.29% ↑
2001年 167,650
-1.74% ↓
2000年 170,613
-0.36% ↓
1999年 171,226
2.68% ↑
1998年 166,753
3.66% ↑
1997年 160,861
0.2% ↑
1996年 160,547
6.55% ↑
1995年 150,671
0.66% ↑
1994年 149,676
-0.92% ↓
1993年 151,066
14.82% ↑
1992年 131,566
-2.39% ↓
1991年 134,787
8.64% ↑
1990年 124,066
5% ↑
1989年 118,157
7.04% ↑
1988年 110,381
-5.78% ↓
1987年 117,147
1.8% ↑
1986年 115,078
17.7% ↑
1985年 97,773
1.81% ↑
1984年 96,033
9.26% ↑
1983年 87,898
-5.37% ↓
1982年 92,883
0.2% ↑
1981年 92,695
-1.79% ↓
1980年 94,380
0.91% ↑
1979年 93,530
0.1% ↑
1978年 93,435
8.71% ↑
1977年 85,950
14% ↑
1976年 75,393
3.55% ↑
1975年 72,806
13.97% ↑
1974年 63,879
-2.86% ↓
1973年 65,763
-8.88% ↓
1972年 72,173
-5.47% ↓
1971年 76,352
3.89% ↑
1970年 73,491
-7.17% ↓
1969年 79,166
10.47% ↑
1968年 71,661
-1.56% ↓
1967年 72,800
2.81% ↑
1966年 70,811
12.82% ↑
1965年 62,766
5.13% ↑
1964年 59,701
5.78% ↑
1963年 56,440
6.93% ↑
1962年 52,783
9.27% ↑
1961年 48,303 -

パナマの牛乳生産量は、1961年の48,303トンから始まり、その後1980年代までに着実な増加を見せました。特に1986年から1990年の間は生産量が急増し、1986年には115,078トンを超え、1990年の124,066トンに至っています。この増加は、当時の農業政策の改善や生産技術の進歩、国内市場の需要増加が要因と考えられます。しかしながら、1970年代には幾分か生産量が減少している年も見られ、時折の経済的あるいは気候的な課題が生産を阻害していた可能性が示唆されます。

最大の生産量は2014年の215,441トンで、これは過去50年以上のデータの中で最高値を記録しています。しかし、このピーク以降、生産量は安定せず減少傾向に入り、特に2023年には前年度比で11,102トン減少し168,367トンとなりました。この下降の背後には、気候変動による干ばつや豪雨の影響、家畜へのストレス増大、さらには生産コスト上昇が関係している可能性があります。また、新型コロナウイルスの影響により、2020年には一時的に213,773トンと回復が見られたものの、その後の物流や労働力不足、輸出市場の不安定さが持続的な回復を妨げているようです。

このデータを他国の状況と比較すると、例えば世界の主要牛乳生産国であるアメリカやインドと比較して、パナマの生産量は著しく小規模です。しかしカリブ海地域や中米諸国の中では、中程度の規模に分類されます。特に同地域では自然災害や地政学的リスクが農業生産に与える影響が大きく、パナマも他の国々と同様にこれらのリスクに対応する必要性が高まっています。

課題には、特に気候変動による影響が顕著です。近年のデータからは、干ばつや土壌の劣化が牧草育成を困難にし、乳牛の飼育環境を悪化させていることが示唆されています。また、農業従事者の高齢化や若年層の農業離れも生産効率に影響を及ぼしている可能性があります。

今後、パナマがこの減少傾向を克服し、安定した生産量を確保するためには、いくつかの具体的な対策が必要です。第一に、耐干ばつ性の高い牧草の研究と導入が挙げられます。これによって、干ばつ環境下でも乳牛の飼料供給が安定し、生産量の維持が期待されます。第二に、農業従事者への支援として、技術トレーニングや機械化の促進が挙げられます。これにより、熟練した労働力不足を補い、生産性を向上させることが可能です。第三に、地域間協力を強化し、カリブ海地域全体で資源の共有や市場の開拓を進めることが重要です。

さらには、地政学的背景にも目を向けなければなりません。例えば、輸出依存度の高い農産物は国際的な供給網の特定リスクによる影響を受けやすく、想定外の問題が発生した場合にパナマ経済全体に波及する可能性もあります。そのため、国内消費拡大へ向けた広報活動や食品加工産業の支援を通じて、市場の多角化を図ることも併せて検討されるべきです。

総じて、牛乳生産量の最新データは、パナマ農業にとってのチャンスと課題の両方を浮き彫りにしています。国際的な支援や国レベルの政策立案を通じて、この傾向に適切に対応することは、国内の農業持続性だけでなく、地域経済の発展にも重要な影響をもたらすでしょう。