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パナマのメロン生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)の最新データによると、パナマにおけるメロンの生産量は、1960年代には年間50トン程度と少量でしたが、1970年代に大幅に増加し始めました。1980年代後半から生産量は急激に拡大し、2007年にはピークとなる約116,591トンを記録しました。しかしその後は減少傾向に転じ、2023年の生産量はわずか3,536トンに落ち込んでいます。これは、2007年のピーク時生産量と比べて97%以上の減少となります。この推移は、パナマ国内の農業構造や市場環境、輸出市場の動向、さらには気候変動や経済的条件などさまざまな要因が絡み合っていることを示唆しています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 3,536
-38.26% ↓
2022年 5,728
-1.62% ↓
2021年 5,822
5.89% ↑
2020年 5,498
-10.53% ↓
2019年 6,145
16.56% ↑
2018年 5,272
2.13% ↑
2017年 5,162
-28.75% ↓
2016年 7,245
-16.12% ↓
2015年 8,637
17.9% ↑
2014年 7,326
13.99% ↑
2013年 6,427
27.55% ↑
2012年 5,039
-5.58% ↓
2011年 5,337
-60.89% ↓
2010年 13,646
-68.91% ↓
2009年 43,891
-60.31% ↓
2008年 110,586
-5.15% ↓
2007年 116,591
16.23% ↑
2006年 100,310
21.61% ↑
2005年 82,484
19.58% ↑
2004年 68,980
76.76% ↑
2003年 39,025
8.29% ↑
2002年 36,037
37.79% ↑
2001年 26,153
11.65% ↑
2000年 23,425
-5.91% ↓
1999年 24,896
-40.11% ↓
1998年 41,571
141.09% ↑
1997年 17,243
-2.12% ↓
1996年 17,617
-24% ↓
1995年 23,179
3.13% ↑
1994年 22,475
40.06% ↑
1993年 16,047
12.41% ↑
1992年 14,275
20.3% ↑
1991年 11,866
112.65% ↑
1990年 5,580
-26.39% ↓
1989年 7,581
-39.59% ↓
1988年 12,549
115.4% ↑
1987年 5,826
73.14% ↑
1986年 3,365
1.91% ↑
1985年 3,302
101.46% ↑
1984年 1,639
43.9% ↑
1983年 1,139
53.09% ↑
1982年 744
1.36% ↑
1981年 734
1.52% ↑
1980年 723
-2.17% ↓
1979年 739 -
1978年 739
-49.35% ↓
1977年 1,459
118.41% ↑
1976年 668
16.58% ↑
1975年 573
-11.98% ↓
1974年 651
117% ↑
1973年 300
50% ↑
1972年 200
222.58% ↑
1971年 62
3.33% ↑
1970年 60
-29.41% ↓
1969年 85
14.86% ↑
1968年 74
15.63% ↑
1967年 64
3.23% ↑
1966年 62
3.33% ↑
1965年 60
3.45% ↑
1964年 58
1.75% ↑
1963年 57
3.64% ↑
1962年 55
3.77% ↑
1961年 53 -

パナマのメロン生産量は、過去60年以上にわたって劇的な変化を遂げてきました。この推移には、国内外の需給変動、輸出市場の成長とその後の競争激化、農業技術の向上、そして気候変動や自然災害の影響が複雑に絡み合っています。

まず、1960年代では、パナマのメロン生産量は年間50トンをわずかに超える程度のレベルに留まっていました。しかし1970年代には、大規模な農業の設備投資や輸出市場の開拓が進み、生産量が急激に増加しました。この時期の生産量の増加ペースは顕著で、特に1980年代後半から1990年代中盤にかけて飛躍的な成長を遂げています。この成長は、北米やヨーロッパに向けた輸出の拡大が主要な背景となっており、当時のパナマの農業には国際市場への依存が高まりました。

2000年代の初頭には、更なる農業技術の進歩とともに、2007年に過去最高の116,591トンを記録。しかしその後、世界市場の競争激化、主要輸出先である北米市場での需要変化、そして気候変動や自然災害など、複数の要因が生産に逆風を吹き付けました。特に2009年から2010年期にかけて大幅に減少した理由としては、洪水や干ばつなど気象条件の悪化が指摘されています。

さらに、2010年代以降、パナマのメロン生産は回復の兆しが見られたものの、再び減少傾向となり、2023年には3,536トンまで落ち込みました。この状況は、国際市場での競争、農業コストの上昇、そして国全体の農業政策における果実生産の優先順位が低下したことに起因しています。また、気候変動に伴う生育条件の悪化も無視できません。メロンの生育には特定の温度や降水量が必要ですが、近年ではその条件が満たされなくなるケースが増えていることが懸念されます。

このデータと背景を踏まえ、今後の課題として以下の点が挙げられます。まず、パナマはメロン生産における持続可能性を確保するため、気候適応型農業の導入を急ぐ必要があります。たとえば、干ばつ耐性のある新たな品種の開発や効率的な灌漑システムの構築が求められます。また、輸出競争力を維持・向上するためには、品質のさらなる向上や生産コストを抑えるための農業技術の導入が必要です。さらに、国内市場の振興を進めるべきでしょう。現在、輸出市場への依存度が高い点が生産量低下の引き金となっていますが、国内需要を掘り起こすことで、安定した収益基盤を構築する可能性があります。

最後に、国際協力や地域間連携の強化も重要です。近隣諸国と共同でマーケティングやブランド戦略を展開し、メロンをはじめとする農産品の競争優位性を高めることが必要です。また、農業政策における資金支援の強化や生産者への技術指導を拡充することで、生産者が直面する経済的・技術的な課題を解決し、生産量低迷を食い止めることが目指されます。

まとめると、パナマのメロン生産はかつての栄光の時代から大きく後退していますが、効率的な農業技術の導入、気候変動への適応策、そして国内外の市場に向けた戦略的な取組みによって、再び安定した成長を遂げる余地は十分にあります。今後の取り組み次第では、メロン農業はパナマ経済に再び重要な役割を果たすことが期待されます。