Skip to main content

パナマのプランテン・調理用バナナ生産量推移(1961年~2023年)

Food and Agriculture Organizationが2024年7月に更新した最新データによると、パナマのプランテン・調理用バナナの生産量は長期的にみると増加傾向にあります。特に2021年は253,071トンと過去最高を記録し、2022年や2023年も200,000トンを超える高い水準を維持しています。一方で、1980年代には大幅な減少を経験しており、地域の農業政策や外部要因の影響が伺えます。このような長期的な変動の背景には、天候、国内外の需要動向、農業技術の進展、地域の経済安定性が影響していると考えられます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 219,273
-4.16% ↓
2022年 228,788
-9.6% ↓
2021年 253,071
51.89% ↑
2020年 166,613
-12.81% ↓
2019年 191,102
7.57% ↑
2018年 177,659
13.61% ↑
2017年 156,382
7.5% ↑
2016年 145,468
20.54% ↑
2015年 120,685
-18.83% ↓
2014年 148,686
23.64% ↑
2013年 120,261
14.62% ↑
2012年 104,924
41.25% ↑
2011年 74,280
-2.5% ↓
2010年 76,181
-23.26% ↓
2009年 99,276
-8.16% ↓
2008年 108,102
-5.57% ↓
2007年 114,479
4.1% ↑
2006年 109,970
1.11% ↑
2005年 108,762
-0.67% ↓
2004年 109,494
-9.42% ↓
2003年 120,887
3.96% ↑
2002年 116,278
17.44% ↑
2001年 99,011
-5.01% ↓
2000年 104,237
15.18% ↑
1999年 90,503
1.71% ↑
1998年 88,979
1.04% ↑
1997年 88,064
-10.22% ↓
1996年 98,093
1.04% ↑
1995年 97,083
1.04% ↑
1994年 96,084
-5% ↓
1993年 101,141
1.04% ↑
1992年 100,100
1.04% ↑
1991年 99,070
34.8% ↑
1990年 73,494
42.91% ↑
1989年 51,425
75.18% ↑
1988年 29,355
-1.46% ↓
1987年 29,790
-1.46% ↓
1986年 30,232
-1.46% ↓
1985年 30,680
-1.46% ↓
1984年 31,134
-33.61% ↓
1983年 46,894
-33.61% ↓
1982年 70,632
-1.46% ↓
1981年 71,679
-1.46% ↓
1980年 72,741
-27.91% ↓
1979年 100,905
0.05% ↑
1978年 100,859
-1.31% ↓
1977年 102,193
1.3% ↑
1976年 100,881
1.01% ↑
1975年 99,875
0.7% ↑
1974年 99,181
0.69% ↑
1973年 98,505
-5.12% ↓
1972年 103,823
3.6% ↑
1971年 100,215
3.63% ↑
1970年 96,700
-7.82% ↓
1969年 104,900
15.27% ↑
1968年 91,000
15.48% ↑
1967年 78,800
13.71% ↑
1966年 69,300
-0.43% ↓
1965年 69,600
0.29% ↑
1964年 69,400
-2.12% ↓
1963年 70,900
-0.84% ↓
1962年 71,500
7.52% ↑
1961年 66,500 -

パナマのプランテン・調理用バナナ生産量は、1961年に66,500トンだったものが2023年には219,273トンにまで増加しており、その間に生産量は著しい変動をみせてきました。初期の1960年代から1970年代にかけては緩やかな増加が見られ、1977年以降はおおよそ100,000トン前後の生産量を維持していました。しかし、1980年代に入ると減少が顕著となり、1986年には30,232トンと過去最低水準を記録しました。この減少の背後には、当時の天候異常や農地の減少、地域経済の不安定さがあると考えられます。

1990年代に入ると再び生産量が持ち直し、1991年以降はおおむね100,000トン台を維持しました。2000年代には技術的な進歩や輸出需要の拡大が影響し、2002年以降は115,000トンを超える高水準が続いています。2021年は過去最高の253,071トンを記録し、2022年と2023年も200,000トン以上の安定した供給を示しています。これらは、国内外での需要拡大や農業技術の進化、政府の農業支援政策によるものと推測されます。

一方で、生産量の変動において占める地政学的背景や自然災害の影響も見逃せません。特に1980年代の大幅な減少期には、自然災害(例えば台風や旱魃)が大きな役割を果たした可能性が高く、適切な災害対策が不十分だったことがうかがえます。また、近年では気候変動による影響が懸念され、特に2020年以降の世界的なパンデミックや物流の混乱が生産拡大の阻害要因として働いた可能性があります。それでも、パナマが供給を安定的に維持できたことは評価に値します。

今後の課題としては、以下の点が挙げられます。第一に、気候変動がもたらす予測困難な天候状況への対策です。これにはより効率的な農業技術の採用や災害リスクマネジメントの強化が必要です。第二に、輸出市場の多様化と物流インフラの改善です。パナマのプランテンはその質が高いと評価されていますが、主な輸出先が限定されていると市場リスクが増大します。第三に、国内の農業従事者の所得安定化や若年労働力の確保といった現場支援も重要です。

結論として、パナマのプランテン生産は長期的に着実な成長を示しており、特に直近10年での生産増は印象的です。ただし、この成長を維持するためには、気候変動や市場依存、農村の持続可能性に関する課題解決が欠かせません。国際社会や国連機関と連携し、より良い農業支援制度を確立することで、パナマはこの重要な産業をさらに強化できる可能性があります。また、他の農産物との輪作や輸出連携強化など、持続可能な取り組みを通じて、地域経済発展にも貢献できると考えられます。