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パナマのアボカド生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した2024年7月時点の最新データによると、パナマのアボカド生産量は1961年の5,100トンから始まり、長期にわたる減少や停滞を経験したものの、2000年代に入り再び上昇傾向に転じています。近年では2010年に12,623トンまで急増、その後いくらか変動を経て2023年には11,264トンの生産量が確認されています。このようにパナマのアボカド生産量は波を伴いながらも増加していますが、年ごとのばらつきが課題として浮かび上がります。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 11,264
9.39% ↑
2022年 10,297
-2.79% ↓
2021年 10,593
-18.52% ↓
2020年 13,000
20.58% ↑
2019年 10,781
28.99% ↑
2018年 8,358
0.99% ↑
2017年 8,276
0.99% ↑
2016年 8,195
0.99% ↑
2015年 8,115
1% ↑
2014年 8,035
0.99% ↑
2013年 7,956
0.99% ↑
2012年 7,878
-23.66% ↓
2011年 10,319
-18.25% ↓
2010年 12,623
207.28% ↑
2009年 4,108
2.44% ↑
2008年 4,010
2.45% ↑
2007年 3,914
2.43% ↑
2006年 3,821
2.38% ↑
2005年 3,732
0.98% ↑
2004年 3,696
3.49% ↑
2003年 3,571
2.47% ↑
2002年 3,485
2.44% ↑
2001年 3,402
15.4% ↑
2000年 2,948
0.99% ↑
1999年 2,919
1% ↑
1998年 2,890
0.98% ↑
1997年 2,862
0.99% ↑
1996年 2,834
1% ↑
1995年 2,806
1.01% ↑
1994年 2,778
0.58% ↑
1993年 2,762
1.4% ↑
1992年 2,724
1% ↑
1991年 2,697
0.97% ↑
1990年 2,671
22.86% ↑
1989年 2,174
9.96% ↑
1988年 1,977
-0.9% ↓
1987年 1,995
-0.99% ↓
1986年 2,015
-0.93% ↓
1985年 2,034
-0.93% ↓
1984年 2,053
-0.96% ↓
1983年 2,073
-0.96% ↓
1982年 2,093
-0.95% ↓
1981年 2,113
-0.94% ↓
1980年 2,133
12.03% ↑
1979年 1,904
-2.36% ↓
1978年 1,950
-2.4% ↓
1977年 1,998
-2.39% ↓
1976年 2,047
-2.43% ↓
1975年 2,098
-0.1% ↓
1974年 2,100
-4.55% ↓
1973年 2,200 -
1972年 2,200
-4.35% ↓
1971年 2,300
-4.17% ↓
1970年 2,400
-63.64% ↓
1969年 6,600
3.13% ↑
1968年 6,400
3.23% ↑
1967年 6,200
3.33% ↑
1966年 6,000
3.45% ↑
1965年 5,800
3.57% ↑
1964年 5,600
1.82% ↑
1963年 5,500
3.77% ↑
1962年 5,300
3.92% ↑
1961年 5,100 -

パナマのアボカド生産量の推移を見ると、1961年から1969年の間は穏やかな上昇が見られましたが、1970年以降急激な減少が始まり、その後数十年間停滞期が続きました。1970年の生産量は2,400トンに落ち込み、1980年代から1990年代半ばにかけては2,000トン前後で長く停滞しています。この減少の背景には、気候条件の変化、農業技術の不足、もしくは農地の転用や開発の影響が推測されます。また、地政学的な安定性や経済的制約が農業セクターの発展を抑える要因となった可能性も考えられます。

2000年代以降、アボカド生産量は再び増加へと転じ、特に2010年には12,623トンと飛躍的な成長を示しました。この急増は、気候改善や新しい栽培技術の導入、市場需要の増加などが影響していると考えられます。アボカドは栄養価の高い果実として世界的に需要が伸びており、特に欧米やアジア市場への輸出が増加していることが背景にあります。しかし、その後の生産量を見ると、再び10,000~13,000トンの間で変動がみられ、生産の安定性が今後の大きな課題となっています。

気候変動がこの生産動向における重要な鍵を握っている点も見逃せません。アボカドは水を大量に必要とする作物であり、干ばつや気温上昇が重大なリスクをもたらします。また、自然災害の発生や新型コロナウイルス感染症による物流停滞も、一部の年における生産量の揺れを引き起こした可能性が考えられます。加えて、パナマ国内の農業基盤の強化や、小規模農家への技術的・経済的支援の不足も今後解決すべき問題として挙げられます。

この生産量のばらつきや将来的な課題を克服するためには、政府や国際機関による具体的な対策が求められます。一例として、気候条件に適応した持続可能な栽培技術の導入や、地域農家への資金援助が挙げられます。また、災害リスクを軽減するための灌漑システムの整備や、気候変動の影響を考慮に入れた品種改良が役立つでしょう。さらに、他国との協力関係を深めることで輸出市場を安定させ、地元経済を強化する政策も重要です。メキシコやチリのような主要なアボカド生産国から学ぶべき事例は多くあります。

パナマは地理的に中南米の物流ハブとしても有利な位置にあり、アボカドの輸出事業を強化すれば経済全体にも多大なメリットをもたらすでしょう。しかし、それだけでは十分ではありません。地域住民への農業教育や技術移転を進めるとともに、多国間での協力体制を築くことが、パナマにおけるアボカド生産の将来的な成長と安定を確保するために不可欠です。