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パナマのジャガイモ生産量推移(1961年~2023年)

Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)が発表した最新データによれば、パナマのジャガイモ生産量はここ数十年間、変動を繰り返しながらも徐々に増加傾向にあります。特に、2020年には32,310トンと過去最高を記録しました。一方で、多くの年において収量に極端な増減が見られた点が特徴的です。このような変動は、パナマの農業生産における特有の課題を反映している可能性があります。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 27,035
0.13% ↑
2022年 27,001
-0.94% ↓
2021年 27,256
-15.64% ↓
2020年 32,310
38.66% ↑
2019年 23,302
-4.59% ↓
2018年 24,424
16.09% ↑
2017年 21,039
-32.52% ↓
2016年 31,180
13.87% ↑
2015年 27,382
26.21% ↑
2014年 21,695
-0.75% ↓
2013年 21,860
-17.01% ↓
2012年 26,342
7.12% ↑
2011年 24,590
4.67% ↑
2010年 23,493
-8.81% ↓
2009年 25,764
15.46% ↑
2008年 22,314
-5.8% ↓
2007年 23,688
-0.56% ↓
2006年 23,822
-5.49% ↓
2005年 25,205
1.87% ↑
2004年 24,743
2.77% ↑
2003年 24,076
-6.36% ↓
2002年 25,712
-0.71% ↓
2001年 25,895
46.86% ↑
2000年 17,632
29.09% ↑
1999年 13,659
-37.45% ↓
1998年 21,837 -
1997年 21,836
22.57% ↑
1996年 17,815
-20.66% ↓
1995年 22,453
34.39% ↑
1994年 16,707
33.18% ↑
1993年 12,545
-27.65% ↓
1992年 17,339
-5.85% ↓
1991年 18,417
46.55% ↑
1990年 12,567
-26.54% ↓
1989年 17,107
21.13% ↑
1988年 14,123
-26.2% ↓
1987年 19,136
-7.68% ↓
1986年 20,729
1.72% ↑
1985年 20,378
1.24% ↑
1984年 20,128
22.96% ↑
1983年 16,369
-5.48% ↓
1982年 17,318
-11.29% ↓
1981年 19,523
17.59% ↑
1980年 16,602
38.55% ↑
1979年 11,983
29.31% ↑
1978年 9,267
-14.19% ↓
1977年 10,800
-2.14% ↓
1976年 11,036
26.72% ↑
1975年 8,709
-46.82% ↓
1974年 16,375
31% ↑
1973年 12,500
-3.1% ↓
1972年 12,900
7.5% ↑
1971年 12,000
93.55% ↑
1970年 6,200
-24.94% ↓
1969年 8,260
4.69% ↑
1968年 7,890
25.24% ↑
1967年 6,300
-27.34% ↓
1966年 8,670
-8.74% ↓
1965年 9,500
28.38% ↑
1964年 7,400
1.37% ↑
1963年 7,300
1.39% ↑
1962年 7,200
5.88% ↑
1961年 6,800 -

パナマのジャガイモ生産量データを見ると、1960年代から当初は年間6,800〜9,500トン程度の小規模な生産に留まっていましたが、その後、1970年代半ばから徐々に増加が進みました。そして、1980年代に入ると生産量は年間20,000トンを超えるようになり、2000年代以降は25,000トン前後を維持する年間が続きました。特に2020年には32,310トンと歴史的な最高記録を達成しています。

しかしながら、このデータに基づくと、パナマのジャガイモ栽培は常に一定の安定性を持っていたわけではありません。例えば、1975年の8,709トンや1993年の12,545トンなど、稀に著しい減少が見られます。こうした変動には、気候変動や台風などの自然災害、特定の作付け年ごとの天候異常が影響している可能性があります。また、生産インフラの整備状況や市場価格の変動といった経済要因もこうした上下動に寄与していると考えられます。

さらに、地政学的背景や地域衝突、あるいは疫病の影響も検討する必要があります。例えば、新型コロナウイルスのパンデミックが始まった2020年に生産量が大幅に増加している点は興味深い傾向です。この増収は、パンデミックに伴う地元農業への需要の高まりや輸出入の停滞など、外部要因の影響がある可能性があります。また、最近の気象変動の影響も見過ごせません。異常気象や土壌変化に対応するための農業政策が求められる局面であると言えます。

他国との比較を試みると、日本や中国、アメリカなどの農業大国に比べると、パナマのジャガイモ生産量は依然として小規模です。特に中国は年間1億トンを超える世界最大のジャガイモ生産国であるため、パナマの生産体制を他国に匹敵させるには大きな改善が必要です。一方、韓国やフランスのような中規模生産国のデータと比較しても、パナマは効率性や安定性に課題があることが示唆されます。

今後の課題としては、まず持続可能な農業の基盤を確立することが挙げられます。特に、気温や降水量などの気候変動がさらに予測不可能になっていく中で、気象リスクに対応した技術の導入が重要です。また、灌漑設備の整備や土壌改良といった具体的な取り組みも必要です。さらに、経済的な側面として、生産者が市場変動に左右されないための価格保証制度の導入も検討すべきでしょう。

加えて、地域協力の体制強化も重要と考えられます。例えば、中南米地域全体で気候適応技術を共有し、ベストプラクティスを実践する枠組みを構築することが挙げられます。国際的にはFAOを中心とした支援プログラムの活用が鍵となります。さらに、国際市場への輸出を支援する政策を進めることで、パナマのジャガイモ産業は経済への貢献を高められる可能性があります。

結論として、パナマのジャガイモ生産はこれまでの動向を見る限り拡大基調にあるものの、気候変動、自然災害、地政学リスクなどへの対応力を高めなければその成果を今後も持続可能にするのは難しいと言えます。持続的成長のためには、国家や国際機関が積極的に地域支援や政策改善を進めていく必要があります。パナマ農業の発展は、単に国内経済の範囲を超えて、地域全体の食糧安全保障や持続可能性にも貢献する可能性を秘めています。