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パナマのコーヒー豆生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、パナマのコーヒー豆生産量は、1961年の5,000トンから開始され、1980年代には1万トンを超える成長を見せました。その後、2001年には15,074トンに達しピークを迎えます。しかし、それ以降は減少傾向にあり、特に2013年以降での生産量の低迷が顕著となりました。2022年には回復の兆しが見られ、7,500トンまで増加したものの、過去のピーク時と比較すると約半減の状況です。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 12,760
70.13% ↑
2022年 7,500
24.58% ↑
2021年 6,020
-3.74% ↓
2020年 6,254
-25.29% ↓
2019年 8,371
50.04% ↑
2018年 5,579
-15.32% ↓
2017年 6,588
7.38% ↑
2016年 6,135
-17.81% ↓
2015年 7,464
11.6% ↑
2014年 6,688
-5.75% ↓
2013年 7,096
-29.39% ↓
2012年 10,049
2.27% ↑
2011年 9,826
-21.2% ↓
2010年 12,470
-3.79% ↓
2009年 12,961
-2.72% ↓
2008年 13,324
-3.38% ↓
2007年 13,790
7.37% ↑
2006年 12,844
-2.35% ↓
2005年 13,153
2.93% ↑
2004年 12,779
10.29% ↑
2003年 11,587
1.73% ↑
2002年 11,390
-24.44% ↓
2001年 15,074
46.99% ↑
2000年 10,255
-14.71% ↓
1999年 12,024
5.15% ↑
1998年 11,435
8.63% ↑
1997年 10,527
-5.27% ↓
1996年 11,113
-5.03% ↓
1995年 11,702
12.52% ↑
1994年 10,400
6.49% ↑
1993年 9,766
-10.77% ↓
1992年 10,945
-10.1% ↓
1991年 12,174
5.43% ↑
1990年 11,547
18.35% ↑
1989年 9,757
-5.03% ↓
1988年 10,274
1.12% ↑
1987年 10,160
-4.11% ↓
1986年 10,596
12.84% ↑
1985年 9,390
-12.65% ↓
1984年 10,750
21.41% ↑
1983年 8,854
8.74% ↑
1982年 8,142
15.29% ↑
1981年 7,062
-2.89% ↓
1980年 7,272
19.21% ↑
1979年 6,100
-0.75% ↓
1978年 6,146
11.42% ↑
1977年 5,516
17.94% ↑
1976年 4,677
-2.58% ↓
1975年 4,801
6.59% ↑
1974年 4,504
4.31% ↑
1973年 4,318
-12.66% ↓
1972年 4,944
-6.84% ↓
1971年 5,307
19.63% ↑
1970年 4,436
-13.68% ↓
1969年 5,139
14.2% ↑
1968年 4,500
-12.89% ↓
1967年 5,166
3.32% ↑
1966年 5,000
16.28% ↑
1965年 4,300 -
1964年 4,300
-4.44% ↓
1963年 4,500
2.27% ↑
1962年 4,400
-12% ↓
1961年 5,000 -

パナマのコーヒー豆の生産量の推移を詳細に分析すると、変動の激しいトレンドが浮かび上がります。このデータは約60年間にわたり収集されたもので、気候や経済、農業政策などさまざまな要因が影響を及ぼしてきたことが示されています。

まず、1960年代から1970年代にかけては、生産量が4,000~6,000トンの範囲内で推移しており、比較的安定していました。この期間は地元の農業基盤が形成され、パナマ特有の微細気候(標高や雨量、日射量が特殊で地域によって異なる気候)を生かした生産が行われていました。しかし、1980年代に入ると生産量は急速に増加し、パナマのコーヒーは輸出品としての重要性を増していきました。1984年以降は、瞬間的に1万トンを超える生産が見られ、農業技術の向上や輸出の拡大が生産量の成長を促したと推測されます。

2001年の15,074トンという記録的な生産量は、パナマのコーヒー農業が最盛期を迎えたことを象徴しています。この時期には、特に「ゲイシャ種」と呼ばれる高品質で風味豊かなコーヒーが世界で高く評価され始め、プレミアム市場の開拓に成功しました。しかし、その後は生産が下降線をたどり始め、2000年代後半にかけて1万2,000トン前後の安定期を経た後、2010年代から大きな減少トレンドに入りました。

この生産量の急落には、気候変動の影響が深く関わっていると考えられます。例えば、コーヒーの栽培には気温や降水量が重要ですが、これが異常を見せることで病害虫の発生が増加し、生産が大きく損なわれた可能性があります。加えて、パナマの農村部では、都市化による労働者不足や社会的インフラへの投資不足も課題として指摘されています。2013年以降に特に影響が顕著になったラ・ロイヤ病(コーヒーさび病)は、中南米全体に被害を与えた災害の一つです。

近年では生産量の回復の兆しが見え始めています。2022年には7,500トンと、2010年代末期と比較して一定の改善が確認されています。この背景には、パナマの高品質コーヒーに特化した市場戦略や、政府や国際機関による支援が挙げられます。また、持続可能な農業技術や気候に適応した新しい品種の導入など、創意工夫が功を奏している可能性があります。

一方で、パナマのコーヒー農業が直面する課題は依然として大きいです。地政学的な観点から見ると、パナマ運河を有する地理的優位性が輸出には有益ですが、気候変動や紛争リスクは物流面において脆弱性を孕んでいます。また、アメリカやアジア市場(特に中国や日本)の需要増加をどう取り込むかも未来の課題と言えるでしょう。

持続可能な未来を描くためには、まず次の対策が必要です。第一に、農家への教育と支援の拡充です。これは、高品質のコーヒーを生産するにあたって不可欠な農業技術の伝達に寄与します。第二に、災害や病害虫の被害を最小限に抑えるための早期警戒システムを導入することが重要です。さらに、環境に優しい農法や気候変動に強い品種を育成する努力も欠かせません。

結論として、パナマのコーヒー産業には成長の余地があります。そのためには、地元農業のポテンシャルを最大限に生かしつつ、国際市場からの支持を得られる付加価値型の戦略を展開する必要があります。地域間の協力や国際支援を積極的に活用しながら、柔軟性と創造性を持って課題に取り組んでいくべきです。この努力が実を結ぶことで、パナマのコーヒーは再び世界市場で輝きを取り戻すことでしょう。