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パナマの鶏卵生産量推移(1961年~2023年)

国連食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、パナマの鶏卵生産量は長年のうちに大きな振れ幅を持ちながらも、おおむね増加傾向を示しています。2020年には42,814トンと過去最高を記録しましたが、その後減少し、2023年には33,645トンとなっています。特に2000年代以降の生産量の急激な伸びが特徴的でしたが、近年の減少は世界経済や国内情勢、パンデミックなどの影響が影を落としている可能性があります。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 33,645
-19.72% ↓
2022年 41,910
-1.45% ↓
2021年 42,525
-0.68% ↓
2020年 42,814
6% ↑
2019年 40,390
5.54% ↑
2018年 38,270
2.42% ↑
2017年 37,366
4.35% ↑
2016年 35,809
0.34% ↑
2015年 35,686
0.3% ↑
2014年 35,580
3.24% ↑
2013年 34,462
3.24% ↑
2012年 33,379
31.77% ↑
2011年 25,332
2.84% ↑
2010年 24,632
2.9% ↑
2009年 23,938
-1.44% ↓
2008年 24,288
-13.9% ↓
2007年 28,210
9.95% ↑
2006年 25,657
-8.83% ↓
2005年 28,141
11.07% ↑
2004年 25,337
1.04% ↑
2003年 25,076
-4.63% ↓
2002年 26,294
5.15% ↑
2001年 25,006
101.99% ↑
2000年 12,380
-3.34% ↓
1999年 12,808
-24.06% ↓
1998年 16,865
0.52% ↑
1997年 16,778
19.02% ↑
1996年 14,097
7.64% ↑
1995年 13,097
-3.55% ↓
1994年 13,579
12.21% ↑
1993年 12,101
-2.69% ↓
1992年 12,436
4.95% ↑
1991年 11,850
10.48% ↑
1990年 10,726
-0.46% ↓
1989年 10,776
4.07% ↑
1988年 10,355
-10.92% ↓
1987年 11,624
12.68% ↑
1986年 10,316
7.34% ↑
1985年 9,611
-8.92% ↓
1984年 10,552
-1.2% ↓
1983年 10,680
7.99% ↑
1982年 9,890
7.09% ↑
1981年 9,235
-1.96% ↓
1980年 9,420
-36.23% ↓
1979年 14,772
-4% ↓
1978年 15,387
20.02% ↑
1977年 12,820
-8.17% ↓
1976年 13,960
16.69% ↑
1975年 11,963
11% ↑
1974年 10,777
-14.85% ↓
1973年 12,657
11.2% ↑
1972年 11,382
23.2% ↑
1971年 9,239
38.37% ↑
1970年 6,677
-12.06% ↓
1969年 7,593
24.21% ↑
1968年 6,113
-0.31% ↓
1967年 6,132
9.62% ↑
1966年 5,594
1.12% ↑
1965年 5,532
2.22% ↑
1964年 5,412
-16.88% ↓
1963年 6,511
11.85% ↑
1962年 5,821
3.19% ↑
1961年 5,641 -

パナマの鶏卵生産量の推移を振り返ると、1970年代から1990年代にかけて全体的に緩やかな増加が見られるのに対して、2000年から劇的な増加が始まったことが顕著です。特に2001年から2005年にかけては、生産量が2倍以上に増加している点は注目に値します。この急激な成長は、パナマ国内での農業政策の強化、技術の導入、生産効率の向上、および輸出市場の拡大が寄与したと考えられます。

しかし、2023年には33,645トンと、2021年のピークである42,814トンから約20%減少しています。この減少については、いくつかの要因が影響している可能性があります。第一に、新型コロナウイルスの流行がもたらした供給チェーンの混乱や需要の変化が挙げられます。パンデミック時には、生産から輸送、販売に至るまでの各段階が大きな影響を受けました。また、地政学的リスクや国際的なインフレも、飼料価格の上昇や輸出入コストの増加を引き起こし、国内生産に圧力をかけた可能性があります。さらに、2020年代に入り気候変動の影響が農業全般に負荷をかけている点も無視できません。鶏卵生産は天候や温度変化に左右されやすいため、気候リスクは特に注意すべき課題です。

国際的な視点で見ると、パナマの鶏卵生産量は依然として中規模の水準にあると言えます。他国と比較すると、例えば中国やアメリカ、インドといった主要な鶏卵生産国の年次生産量は1,000万トンを超えますが、パナマの生産量はこれら主要国に比べると小規模と言えます。一方で、国内需要に見合った生産が成り立ちつつあることから、地域の食料安全保障の観点で重要な役割を果たしています。

今後の課題としては、まず持続可能な生産体制の確立が欠かせません。具体的には、気候変動に対応した耐性の高い品種の利用や、環境負荷の少ない飼料の活用を進めるべきです。また、国内市場への安定供給を維持しながら、余剰分を周辺国への輸出に振り分けることで、経済的な利益を創出する余地があります。そのためには輸出インフラの整備とともに、貿易協定を活用して地域間連携をさらに深めることが重要です。

さらに、中小規模の養鶏農家への技術的、財政的な支援も政策的に強化されるべきポイントです。特に飼料価格が上昇するような国際的なインフレ環境下では、農家に対する補助金やローンの提供が生産を安定させる鍵となります。国連食糧農業機関や世界銀行といった国際機関の支援を引き込み、農業の近代化を進めることも効果的な手段と言えるでしょう。

総じて、パナマは過去数十年にわたり鶏卵生産を着実に拡大してきましたが、2020年代の新たな課題に直面しています。これを克服するには、緻密かつ柔軟な政策運営が不可欠です。持続可能性と収益性の両立を目指すためにも、国内外での連携強化が求められるでしょう。