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パナマのニンジン・カブ類生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、パナマにおけるニンジン・カブ類の生産量は、1961年に800トンと低水準から始まり着実に増加し、2000年代に入る頃には4,000トンを超える安定した生産量を記録しました。しかし、2019年以降、生産量は急激に減少し、2023年のデータでは回復傾向が見られるものの2,013トンとピーク時の水準(約4,370トン)は大きく下回っています。このような推移は、経済面、地政学的リスク、自然災害、農業政策などさまざまな要因が絡んでいると考えられます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 2,013
17.19% ↑
2022年 1,717
5.17% ↑
2021年 1,633 -
2020年 1,633
-1.8% ↓
2019年 1,663
-61.95% ↓
2018年 4,370
0.58% ↑
2017年 4,345
0.56% ↑
2016年 4,321
0.58% ↑
2015年 4,296
0.56% ↑
2014年 4,272
0.59% ↑
2013年 4,247
0.57% ↑
2012年 4,223
0.57% ↑
2011年 4,199
1.16% ↑
2010年 4,151
1.15% ↑
2009年 4,104
1.16% ↑
2008年 4,057
1.17% ↑
2007年 4,010
1.16% ↑
2006年 3,964
2.32% ↑
2005年 3,874
1.18% ↑
2004年 3,829
1.14% ↑
2003年 3,786
1.18% ↑
2002年 3,742
0.35% ↑
2001年 3,729
-7.51% ↓
2000年 4,032
9.98% ↑
1999年 3,666
0.91% ↑
1998年 3,633
9% ↑
1997年 3,333
9.96% ↑
1996年 3,031
10.02% ↑
1995年 2,755
9.98% ↑
1994年 2,505
10.01% ↑
1993年 2,277
3.08% ↑
1992年 2,209
3.08% ↑
1991年 2,143
3.13% ↑
1990年 2,078
58.5% ↑
1989年 1,311
-9.96% ↓
1988年 1,456
34.69% ↑
1987年 1,081
-10.14% ↓
1986年 1,203
7.12% ↑
1985年 1,123
6.95% ↑
1984年 1,050
6.92% ↑
1983年 982
6.97% ↑
1982年 918
6.99% ↑
1981年 858
6.98% ↑
1980年 802
-21.83% ↓
1979年 1,026
-7.32% ↓
1978年 1,107
31.94% ↑
1977年 839
1.08% ↑
1976年 830
23.7% ↑
1975年 671
-69.18% ↓
1974年 2,177
105.18% ↑
1973年 1,061
-13.32% ↓
1972年 1,224
-18.4% ↓
1971年 1,500
36.36% ↑
1970年 1,100
-45% ↓
1969年 2,000
11.11% ↑
1968年 1,800
28.57% ↑
1967年 1,400
27.27% ↑
1966年 1,100 -
1965年 1,100
10% ↑
1964年 1,000 -
1963年 1,000
11.11% ↑
1962年 900
12.5% ↑
1961年 800 -

パナマのニンジン・カブ類の生産量は、過去60年以上にわたり変動を見せてきました。特に1960年代から1980年代半ばまでのデータは、年ごとに大きな増減が見られ、農業技術や輸送手段の発展、気候変動などに対する影響が非常に敏感であったことを示しています。1990年代以降、生産量はほぼ一貫して増加傾向を示し、1996年には3,000トンを、2000年には初めて4,000トンを突破しました。この期間、農業インフラの整備や輸出需要の拡大により、パナマの農業は成長を続けていました。

しかし、2019年以降の急激な生産減少は注目すべき現象です。この減少の主な要因の一つとして考えられるのは、気候変動の影響です。近年、中米においては干ばつと洪水が頻発しており、農作物の収穫を妨げる主因となっています。また、新型コロナウイルス感染症の拡大による人的リソースの不足や物流の混乱も拍車をかけました。この影響は、労働者の不足、生産コストの上昇、ならびに輸出市場への直接的な打撃として現れたと予測されます。

2023年には2,013トンと前年度から増加が見られるものの、依然として生産量は過去のピーク(2018年の4,370トン)と比較して半分以下の水準にとどまっています。これは国内需要を満たすことが難しい状況を生み出し、結果として輸入依存度が高まる可能性が懸念されます。

この状況を打破するためには、具体的な政策介入が求められます。まず、農業分野への投資を活性化させ、灌漑施設の整備や耐性のある種子の開発を進める必要があります。また、気候変動への適応策として、精密な気象予報と、それに基づく作付け時期の調整が有用です。さらに、農産物の輸出入政策の見直しにより、安定した供給体制を確立するための国際協力も不可欠です。

地政学的背景に目を向けると、パナマはスエズ運河に次ぐ重要な貿易航路を有しており、世界各国との貿易関係は非常に密接です。この地理的優位性を生かし、周辺国との農産物の取引を通じて経済的安定を図ることが可能です。特に、近隣のコスタリカなど農作物生産に成功している国々との技術提携を進めることは、長期的な安定につながるでしょう。

結論として、パナマのニンジン・カブ類生産量の推移は、気候変動、疫病、労働市場の変化、政策の影響を強く受けてきました。今後は気候変動への対応策や農業技術の高度化を中心に据えることで、持続可能な生産体制の再構築が求められます。また、国連食糧農業機関や地域貿易機関と協力し、パナマ産農産物の信頼性と価値を高めることも課題として挙げられます。これらの努力が結実すれば、パナマの農業は再び成長軌道を描くことが可能となるでしょう。