国連食糧農業機関(FAO)の最新データによると、2023年のパナマのスイカ生産量は15,974トンで、過去数年と比較すると大幅に減少しています。1960年代にはわずか数百トンの規模で始まったパナマのスイカ生産は、1980年代から増加傾向を示し、2000年代には一時的に10万トンを超えるまで成長しました。しかし、2010年代以降は大きな変動を繰り返し、2021年以降は安定しながらも減少傾向にあります。近年の減少は天候不順、土地利用の変化、世界的な需要の影響などが要因と考えられます。
パナマのスイカ生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
---|---|---|
2023年 | 15,974 |
-54.89% ↓
|
2022年 | 35,409 |
5.14% ↑
|
2021年 | 33,677 |
23.37% ↑
|
2020年 | 27,298 |
-3.65% ↓
|
2019年 | 28,332 |
32.16% ↑
|
2018年 | 21,438 |
5.25% ↑
|
2017年 | 20,368 |
-46.1% ↓
|
2016年 | 37,792 |
9.21% ↑
|
2015年 | 34,604 |
-9.51% ↓
|
2014年 | 38,241 |
2.16% ↑
|
2013年 | 37,434 |
11.54% ↑
|
2012年 | 33,560 |
7.44% ↑
|
2011年 | 31,235 |
-43.12% ↓
|
2010年 | 54,918 |
-31.06% ↓
|
2009年 | 79,656 |
-43.97% ↓
|
2008年 | 142,175 |
17.82% ↑
|
2007年 | 120,672 |
30.67% ↑
|
2006年 | 92,347 |
28.37% ↑
|
2005年 | 71,939 |
61.73% ↑
|
2004年 | 44,482 |
12.62% ↑
|
2003年 | 39,497 |
56% ↑
|
2002年 | 25,319 |
2.75% ↑
|
2001年 | 24,641 |
72.4% ↑
|
2000年 | 14,293 |
7.97% ↑
|
1999年 | 13,238 |
-36.67% ↓
|
1998年 | 20,903 |
12.17% ↑
|
1997年 | 18,635 |
12% ↑
|
1996年 | 16,638 |
0.57% ↑
|
1995年 | 16,543 |
-19.89% ↓
|
1994年 | 20,650 |
30.84% ↑
|
1993年 | 15,783 |
193.69% ↑
|
1992年 | 5,374 |
12.47% ↑
|
1991年 | 4,778 |
38.57% ↑
|
1990年 | 3,448 |
44.03% ↑
|
1989年 | 2,394 |
56.68% ↑
|
1988年 | 1,528 |
-62.39% ↓
|
1987年 | 4,063 |
-13.94% ↓
|
1986年 | 4,721 |
28.57% ↑
|
1985年 | 3,672 |
43.21% ↑
|
1984年 | 2,564 |
18.92% ↑
|
1983年 | 2,156 |
14.8% ↑
|
1982年 | 1,878 |
13% ↑
|
1981年 | 1,662 |
13.06% ↑
|
1980年 | 1,470 |
14.49% ↑
|
1979年 | 1,284 |
0.31% ↑
|
1978年 | 1,280 |
-17.04% ↓
|
1977年 | 1,543 |
53.38% ↑
|
1976年 | 1,006 |
1.31% ↑
|
1975年 | 993 |
41.86% ↑
|
1974年 | 700 |
40% ↑
|
1973年 | 500 |
66.67% ↑
|
1972年 | 300 |
11.11% ↑
|
1971年 | 270 |
19.47% ↑
|
1970年 | 226 |
-28.71% ↓
|
1969年 | 317 |
15.27% ↑
|
1968年 | 275 |
14.58% ↑
|
1967年 | 240 |
3.45% ↑
|
1966年 | 232 |
3.57% ↑
|
1965年 | 224 |
3.23% ↑
|
1964年 | 217 |
3.33% ↑
|
1963年 | 210 |
2.94% ↑
|
1962年 | 204 |
3.03% ↑
|
1961年 | 198 | - |
パナマのスイカ生産量は1961年にはわずか198トンでしたが、その後1970年代から1980年代にかけて急成長を遂げ、1990年代にはさらに大きな飛躍を見せています。例えば、1993年の15,783トンから1994年の20,650トンへと拡大し、2000年代には生産性の向上が顕著となり、2007年には120,672トン、2008年には142,175トンという記録的な規模に達しました。これは気候条件の好転、農業技術革新、主要輸出市場との取引拡大が影響していると考えられます。
しかし、2009年以降は一時的に生産量が大幅に減少する傾向が現れ、2010年の54,918トンや2011年の31,235トンなど、急激な落ち込みを示す年もありました。この変動は主に、自然災害や気候変動、また市場需給の影響も考えられます。特に2010年代には、生産量の回復が見られるものの、2020年代にかけて再び低迷、2023年には15,974トンと、近年の最低水準となりました。
このような状況に影響を与えている要因として、気候変動による降雨パターンの変化や高温の影響が考えられます。さらに、耕作地の都市化や競争的な輸出市場の中での競争力低下も見過ごせません。また、2020年以降の新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大により、労働力不足や輸送コストの増加が農業に悪影響を及ぼしたことも一因とされています。
地政学的観点では、パナマは世界的な貿易の要所でもあり、その農業生産は世界市場への輸出と深く結びついています。これにより、グローバル市場での競争の波に影響を受けやすい状況にあります。特に近隣諸国であるコスタリカやメキシコが、スイカを含む果物の輸出を拡大したことで、価格競争が激化していることもパナマ農家にとっての課題となっています。
将来的な課題としては、生産拡大のための持続可能な農業手法の普及が挙げられます。例えば、気候変動を考慮した作物の品種改良や、灌漑技術の改善によって、安定的な生産を支える基盤を整備するべきです。また、国際市場での競争力を強化するため、品質管理の向上や有機農業への投資も有効と考えられます。特に、有機栽培市場へのシフトは、環境保護だけでなく高付加価値市場への参入につながる可能性があります。
政策面では、政府や地域機関は農業従事者に対する財政的支援を強化し、新しい栽培技術の開発と普及を進めるべきです。また、外部の影響に耐えられる柔軟な市場戦略を構築し、多様な輸出先を開拓することも重要です。
結論として、パナマのスイカ生産には、成長期と落ち込み期が繰り返されてきたという特徴があります。今後は、気候変動や国際市場の変化に適応しながら、持続可能な農業技術と市場戦略を強化することで、この重要な産業のさらなる発展を目指すべきです。これを実現するためには、国・地域間の協力や新しい農業技術の取り込みが欠かせません。