国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新のデータによると、マラウイのヤギ肉生産量は1961年から2023年の間で増加傾向にあります。特に2000年以降、生産量は大きく拡大し、2022年にはピークである70,042トンに達しました。しかし、2023年には59,588トンとわずかに減少しています。このデータは、マラウイが肉類生産においてヤギ肉を重要な資源と位置づけていることを示していますが、近年の生産量変動には課題もありそうです。
マラウイのヤギ肉生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
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2023年 | 59,588 |
-14.93% ↓
|
2022年 | 70,042 |
10.93% ↑
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2021年 | 63,140 |
9.25% ↑
|
2020年 | 57,797 |
19.17% ↑
|
2019年 | 48,499 |
-6.23% ↓
|
2018年 | 51,723 |
9.87% ↑
|
2017年 | 47,075 |
5.14% ↑
|
2016年 | 44,772 |
12.44% ↑
|
2015年 | 39,817 |
10.04% ↑
|
2014年 | 36,185 |
11.71% ↑
|
2013年 | 32,392 |
8.77% ↑
|
2012年 | 29,779 |
7.13% ↑
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2011年 | 27,796 |
17.62% ↑
|
2010年 | 23,632 |
9.97% ↑
|
2009年 | 21,490 |
9.88% ↑
|
2008年 | 19,557 |
14.19% ↑
|
2007年 | 17,126 |
18.2% ↑
|
2006年 | 14,489 |
41.29% ↑
|
2005年 | 10,255 |
-15.27% ↓
|
2004年 | 12,103 |
23.16% ↑
|
2003年 | 9,827 |
3.44% ↑
|
2002年 | 9,500 |
-6.86% ↓
|
2001年 | 10,200 |
23.19% ↑
|
2000年 | 8,280 |
38% ↑
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1999年 | 6,000 |
4.38% ↑
|
1998年 | 5,748 |
1.91% ↑
|
1997年 | 5,640 |
24.67% ↑
|
1996年 | 4,524 |
49.01% ↑
|
1995年 | 3,036 |
-1.56% ↓
|
1994年 | 3,084 |
-12.29% ↓
|
1993年 | 3,516 |
3.53% ↑
|
1992年 | 3,396 |
10.98% ↑
|
1991年 | 3,060 |
-0.39% ↓
|
1990年 | 3,072 |
-3.03% ↓
|
1989年 | 3,168 |
3.53% ↑
|
1988年 | 3,060 |
-0.78% ↓
|
1987年 | 3,084 |
8.44% ↑
|
1986年 | 2,844 |
-1.25% ↓
|
1985年 | 2,880 |
8.3% ↑
|
1984年 | 2,659 |
17.06% ↑
|
1983年 | 2,272 |
-17.08% ↓
|
1982年 | 2,740 |
5.94% ↑
|
1981年 | 2,586 |
10.46% ↑
|
1980年 | 2,341 |
-0.71% ↓
|
1979年 | 2,358 |
-17.54% ↓
|
1978年 | 2,860 |
-4.79% ↓
|
1977年 | 3,004 |
12.9% ↑
|
1976年 | 2,660 |
6.59% ↑
|
1975年 | 2,496 |
4% ↑
|
1974年 | 2,400 |
17.65% ↑
|
1973年 | 2,040 |
-10.05% ↓
|
1972年 | 2,268 |
-1.56% ↓
|
1971年 | 2,304 |
6.67% ↑
|
1970年 | 2,160 |
-2.7% ↓
|
1969年 | 2,220 |
-7.5% ↓
|
1968年 | 2,400 |
6.38% ↑
|
1967年 | 2,256 |
34.29% ↑
|
1966年 | 1,680 |
0.43% ↑
|
1965年 | 1,673 |
-3.26% ↓
|
1964年 | 1,729 |
9.58% ↑
|
1963年 | 1,578 |
-11.15% ↓
|
1962年 | 1,776 |
-6.8% ↓
|
1961年 | 1,906 | - |
マラウイのヤギ肉生産量の推移を分析すると、1960年代には1,500〜2,500トン程度の低い水準で横ばいの状況が続いていました。しかし、1970年代後半から1980年代にかけて、徐々に増加傾向が見え始めます。そして1990年代以降、特に1996年の4,524トンを起点に急激な成長が見られ、2001年には10,200トン、さらに2006年には14,489トン、2020年には50,000トンを超える生産量を記録しています。
この成長の背景には、いくつかの要因が考えられます。第一に、マラウイではヤギが肉用としてのみならず、農村部における家畜資源の主要な一部として利用されていることが挙げられます。ヤギは飼育が容易で、荒地でも育つ頑強な特徴を持っています。また、他の畜産物と比較して投資コストが低いため、小規模農家でも扱いやすい資産となっています。加えて、都市化の進展に伴う国内需要の増加が、供給の拡大を後押ししていると考えられます。
一方で、長年の増加傾向の中でも課題が見受けられます。2023年には生産量が59,588トンに減少しています。2022年のピーク時と比較して約15%の減少幅が見られ、この要因についてはさらなる分析が必要です。しかし、考えられる理由としては、気候変動による草地や水資源の減少、家畜病の流行、または農村部の生産効率の低下などが挙げられます。特に、ヤギは環境への耐性が強いとされますが、連続した干ばつや長期間の雨不足は、その生産能力にも影響を及ぼす可能性があります。
世界の他国と比較すると、例えばインドや中国のような大人口国では、国内市場需要を満たすためにヤギ肉生産の大規模化が進展しています。これに対し、マラウイではいまだに小規模農家の従事率が高く、集約的な生産が進んでいない状況が多く見られます。この点では、効率化を図るための現代的な農業技術の導入や、加工・輸出産業の強化が進めば、生産量のさらなる増加が期待できるでしょう。
また、地政学的背景を考慮すると、マラウイのような内陸国では輸送網の整備不足や国際市場へのアクセスが限られている点が輸出拡大の課題となります。この点は地域間協力を含めた輸出インフラの整備が必要不可欠です。そして、近年の世界的なパンデミックやウクライナ危機による食糧価格の上昇など、国際市場環境の変化も影響を与えている可能性があります。
今後、マラウイのヤギ肉生産を引き続き拡大するためには、いくつかの具体的な対策が挙げられます。まず、農村地域への技術的支援の強化として、適切な飼料技術や家畜病管理の普及が必要です。次に、輸送インフラの整備や冷蔵設備の導入により、国際市場へのアクセスを向上させることが課題です。さらに、気候変動への対応として、土地劣化を防ぐ持続可能な農業手法の導入が有効でしょう。
結論として、マラウイのヤギ肉生産量は全体として大きな成長を遂げていますが、近年の減少は今後の持続可能な成長への課題を浮き彫りにしています。政策と技術開発の両方を組み合わせ、国内外での需要を満たしつつ、地域農家の利益向上にも寄与する対策を講じることが急務です。国際連合や地域協力機関とも連携を深め、効率的な資源利用と農村開発の実現を目指すべきです。