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マラウイの牛乳生産量推移(1961年~2023年)

国連食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、マラウイの牛乳生産量は過去数十年にわたり不安定な動きを見せながらも長期的には増加傾向にあります。特に2023年には69,533トンと記録され、過去最高を更新しました。一方で、1970年や1990年代、2000年代前半には大幅な生産減少が観察されており、これには様々な経済的・環境的要因が絡んでいることがうかがえます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 69,533
2.57% ↑
2022年 67,791
1.34% ↑
2021年 66,894
3.11% ↑
2020年 64,876
2.88% ↑
2019年 63,059
8.45% ↑
2018年 58,144
-7.55% ↓
2017年 62,892
2.74% ↑
2016年 61,212
17.46% ↑
2015年 52,113
-19.51% ↓
2014年 64,747
34.91% ↑
2013年 47,992
-18.06% ↓
2012年 58,568
16.21% ↑
2011年 50,400
7.99% ↑
2010年 46,672
15.45% ↑
2009年 40,427
13.93% ↑
2008年 35,484
19.32% ↑
2007年 29,739
16.75% ↑
2006年 25,472
-40.12% ↓
2005年 42,541
21.55% ↑
2004年 35,000
81.55% ↑
2003年 19,278
13.5% ↑
2002年 16,985
-53.47% ↓
2001年 36,505
4.3% ↑
2000年 35,000
2.94% ↑
1999年 34,000
-3.4% ↓
1998年 35,195
6.65% ↑
1997年 33,000
3.13% ↑
1996年 32,000
1.59% ↑
1995年 31,500
1.61% ↑
1994年 31,000
-13.89% ↓
1993年 36,000
-18.18% ↓
1992年 44,000
6.02% ↑
1991年 41,500
12.77% ↑
1990年 36,800
1.1% ↑
1989年 36,400
-1.09% ↓
1988年 36,800
-18.76% ↓
1987年 45,300
4.62% ↑
1986年 43,300
-0.92% ↓
1985年 43,700
7.64% ↑
1984年 40,600
4.37% ↑
1983年 38,900
2.37% ↑
1982年 38,000
1.88% ↑
1981年 37,300
10.03% ↑
1980年 33,900
0.96% ↑
1979年 33,576
0.3% ↑
1978年 33,475
9.17% ↑
1977年 30,663
-7.46% ↓
1976年 33,135
31.42% ↑
1975年 25,214
37.09% ↑
1974年 18,392
-6.92% ↓
1973年 19,760
38.13% ↑
1972年 14,305
-15.85% ↓
1971年 17,000
6.25% ↑
1970年 16,000
-1.23% ↓
1969年 16,200
3.85% ↑
1968年 15,600
4% ↑
1967年 15,000
6.38% ↑
1966年 14,100
6.82% ↑
1965年 13,200
10% ↑
1964年 12,000
5.26% ↑
1963年 11,400
2.7% ↑
1962年 11,100
2.78% ↑
1961年 10,800 -

マラウイの牛乳生産推移を見ると、1961年の10,800トンから2023年の69,533トンまで、大きな増加傾向が見られます。初期の期間では比較的穏やかな成長を見せていましたが、1970年代後半から生産が一気に伸び、1985年には43,700トンに達しています。しかし、この後1988年から1996年にかけては生産量が停滞もしくは減少し、1993年には36,000トンまで落ち込む状況が発生しました。

その後2000年代に入り再び増加傾向が見られるようになりますが、2002年には突発的な低下が記録されています。このような変動要因には天候不順や畜産業に関連する政策変更、さらには地域衝突や疫病の影響が考えられます。特にマラウイのような農業中心の経済では、気候変動が酪農生産に与える影響が大きいと考えられます。また、家畜の管理体制や飼料供給の変動も、生産量に影響を及ぼしていると推測されます。

2010年代後半から2020年代にかけて生産は再び増加基調に転じ、2023年には69,533トンを超え、過去最高を記録しました。この増加基調の背後には、乳牛の改良品種を導入し、飼料や獣医サポート体制を改善するなどの政府の複合的な取り組みがあるとされています。ただし、同時に国内の乳製品市場や流通インフラの整備が完全に追いついていない点は懸念材料です。

過去について振り返ると、乳製品生産が急激に増加した1975年から1984年、および2010年以降の期間には、国際的な技術支援や酪農政策の強化が寄与している可能性が高いことがわかります。一方で、1990年代以降の停滞期には国内の経済的不安定性やインフラ不備が影響を及ぼし、特に2002年の16,985トンという大幅な低下が示すように、パフォーマンスに大打撃を与える要因も繰り返し発生してきています。

将来的な展望として、牛乳生産量のさらなる安定と向上を目指すには、いくつかの具体的な対策が必要です。例えば、生産の安定性を高めるためには、農業技術と気候適応型の酪農システムを導入することが鍵となります。また、天候リスクに備えて早期警戒システムを取り入れたり、災害時に迅速に救済処置を講じる仕組みを整えることも重要です。さらに、国内市場の発展を図るため、地域ごとの輸送網や冷蔵インフラを拡充し、乳製品の品質管理にも力を入れるべきです。

加えて、地域共同体や国際機関との連携を進めることで、効果的な技術提供や資金支援を受けることが可能になります。例えば、アフリカ全体で展開される「気候スマート農業」プロジェクトへの参加は、マラウイにとって将来的に大きなメリットをもたらすでしょう。また、酪農家への教育や資金調達の支援を強化することにより、特に小規模農家の生産性向上に直接貢献できると考えられます。

結論として、マラウイの牛乳生産は過去の変動を乗り越え、近年堅調な成長を見せていますが、依然として気候変動や経済的課題といった潜在リスクが存在します。これらを克服するためには、持続可能な酪農モデルや地域産業の発展への取り組みを優先することが求められます。特に気候変化への対応と物流インフラの強化が、長期的な生産量の安定に寄与すると考えられます。このため、政府や国際機関、地域共同体が一丸となって共通の目標に向かい協力することが不可欠です。