Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)が発表した2024年7月の最新データによると、コモロにおけるヤギ肉生産量は長期的に見ると増加傾向が観察されます。しかし、1950年代後半から1970年代半ばにかけては減少、以降は徐々に上昇を見せ、特に1998年や1999年には急激な増加を記録しました。それ以降おおむね一定に維持される傾向があるものの、近年ではやや減少し、2023年には375トンとなっています。このデータはコモロの食文化、農業環境、および政策の影響を反映しています。
コモロのヤギ肉生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
---|---|---|
2023年 | 375 |
-0.2% ↓
|
2022年 | 376 |
-0.01% ↓
|
2021年 | 376 |
-0.01% ↓
|
2020年 | 376 |
-0.15% ↓
|
2019年 | 376 |
-0.01% ↓
|
2018年 | 376 |
-0.15% ↓
|
2017年 | 377 |
-0.46% ↓
|
2016年 | 379 |
-0.92% ↓
|
2015年 | 382 |
-1.05% ↓
|
2014年 | 386 |
-0.95% ↓
|
2013年 | 390 | - |
2012年 | 390 | - |
2011年 | 390 |
1.3% ↑
|
2010年 | 385 |
1.32% ↑
|
2009年 | 380 | - |
2008年 | 380 | - |
2007年 | 380 |
1.88% ↑
|
2006年 | 373 |
2.75% ↑
|
2005年 | 363 |
2.25% ↑
|
2004年 | 355 |
0.85% ↑
|
2003年 | 352 |
-1.4% ↓
|
2002年 | 357 |
2% ↑
|
2001年 | 350 | - |
2000年 | 350 |
-32.69% ↓
|
1999年 | 520 |
20.93% ↑
|
1998年 | 430 |
16.53% ↑
|
1997年 | 369 |
1.1% ↑
|
1996年 | 365 |
1.39% ↑
|
1995年 | 360 |
0.56% ↑
|
1994年 | 358 |
2.29% ↑
|
1993年 | 350 |
2.94% ↑
|
1992年 | 340 | - |
1991年 | 340 |
-2.86% ↓
|
1990年 | 350 |
-8.81% ↓
|
1989年 | 384 |
2.9% ↑
|
1988年 | 373 |
3.04% ↑
|
1987年 | 362 |
11.21% ↑
|
1986年 | 326 |
7.14% ↑
|
1985年 | 304 |
3.16% ↑
|
1984年 | 295 |
2.15% ↑
|
1983年 | 288 |
2.96% ↑
|
1982年 | 280 |
1.82% ↑
|
1981年 | 275 |
1.85% ↑
|
1980年 | 270 | - |
1979年 | 270 | - |
1978年 | 270 |
3.85% ↑
|
1977年 | 260 | - |
1976年 | 260 |
5.69% ↑
|
1975年 | 246 | - |
1974年 | 246 |
1.23% ↑
|
1973年 | 243 | - |
1972年 | 243 | - |
1971年 | 243 | - |
1970年 | 243 |
-1.22% ↓
|
1969年 | 246 |
-1.2% ↓
|
1968年 | 249 |
-1.19% ↓
|
1967年 | 252 |
-6.67% ↓
|
1966年 | 270 |
-3.23% ↓
|
1965年 | 279 |
-1.06% ↓
|
1964年 | 282 |
-1.05% ↓
|
1963年 | 285 |
-2.06% ↓
|
1962年 | 291 |
-1.02% ↓
|
1961年 | 294 | - |
コモロにおけるヤギ肉生産量の推移は、複数の要因が関与していることを示しています。1961年には294トンの生産量が記録されましたが、その後15年間は減少の一途をたどり、1976年頃には底を打つ形で260トンとなりました。この時期の減少は、地域の農業技術の制限や天候の影響、また人口動態の変化による需要の変化といった多面的な理由が絡み合っていると推察されます。特に、農業生産性が資源不足や技術的限界によって抑制されていた可能性が高いです。
その後、1980年代以降、着実な回復と増加が見られました。この時期には、コモロが農業分野の近代化を始めとした開発プロセスに乗り出した背景があり、農業技術の普及、家畜の品種改良、さらに一部輸出需要の高まりが生産への追い風となったと考えられます。特に1988年から1990年の間に一時的に減少するものの、1998年に430トン、1999年には520トンと大きな増加が記録されました。この急激な増加は、おそらく地元の政策的関与や家畜繁殖活動の成果として説明されます。例えば、農業資金の供給や生産支援プログラムなどが背景にあった可能性があります。
しかし、2000年以降のデータを分析すると、生産量は一時的な低下を見せ、そこからほぼ一定の範囲内(約350トンから390トン)で推移しています。直近の2023年には375トンとわずかな減少が見られることから、安定期を迎えつつあるものの、成長の限界が示されている可能性があります。この停滞は、農業資源の不足、生産環境の劣化、土地利用の限界、または地元需要の変化など、多様な要因によって引き起こされているかもしれません。
さらに、地政学的背景や気候変動の影響も無視できません。インド洋に位置するコモロは、サイクロンなどの自然災害に直面しやすい地域です。このような環境リスクは、食料生産にとって脅威となるだけでなく、地域社会の生活に多大な影響を与えています。また、特に2020年以降、新型コロナウイルス感染症の拡大による経済活動の停滞や物流の制限が、一部農業供給チェーンに影響を及ぼしている可能性があります。
今後の課題として、まず持続可能な農業政策の取り組みが必要です。具体的には、地域の特性に対応した家畜管理技術の向上や、家畜病予防策の強化が挙げられます。また、気候変動への適応を考慮した農業支援プログラムの導入も重要となります。これに加えて、農業資源の効率的利用や、輸出向け市場の拡大による収益構造の多様化も検討すべきです。そのためには地元政府のみならず、国際機関やNGOとの協力が鍵を握るでしょう。
結論として、コモロのヤギ肉生産量は長期的に発展を続けてきましたが、ここ数十年間は安定期を迎えています。これを好機と捉え、新しい農業技術や政策を導入することで、質的かつ量的な成長を持続させることが可能です。農業基盤を強化することで、国内の食料安全保障を向上させるばかりでなく、地元経済の活性化にも貢献できるでしょう。