国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新のデータによると、コモロのココナッツ生産量は、1961年の60,000トンから2023年の76,623トンまでの推移があります。長期的には増加傾向にあるものの、途中では急激な減少や回復が見られ、特に2004年には32,120トンという大幅な低下が記録されました。2020年代に入ると再度増加を示しましたが、2023年には再び減少し、86,724トンを記録した2021年をピークとしています。このような変動は、地政学的、気候的、政策的な要因が絡んだ結果と考えられます。
コモロのココナッツ生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
---|---|---|
2023年 | 76,623 |
-8.41% ↓
|
2022年 | 83,659 |
-3.53% ↓
|
2021年 | 86,724 |
3.85% ↑
|
2020年 | 83,512 |
4% ↑
|
2019年 | 80,300 |
4.17% ↑
|
2018年 | 77,088 |
4.35% ↑
|
2017年 | 73,876 |
4.55% ↑
|
2016年 | 70,664 |
4.76% ↑
|
2015年 | 67,452 |
5% ↑
|
2014年 | 64,240 |
-3.29% ↓
|
2013年 | 66,427 |
4.3% ↑
|
2012年 | 63,691 |
2.99% ↑
|
2011年 | 61,839 |
3.12% ↑
|
2010年 | 59,967 |
3.02% ↑
|
2009年 | 58,208 |
2.73% ↑
|
2008年 | 56,660 |
7.47% ↑
|
2007年 | 52,721 |
0.76% ↑
|
2006年 | 52,325 |
-3.71% ↓
|
2005年 | 54,342 |
69.18% ↑
|
2004年 | 32,120 |
-57.43% ↓
|
2001年 | 75,451 |
1.85% ↑
|
2000年 | 74,081 |
1.88% ↑
|
1999年 | 72,711 |
1.92% ↑
|
1998年 | 71,341 |
-1.6% ↓
|
1997年 | 72,500 | - |
1996年 | 72,500 |
2.64% ↑
|
1995年 | 70,636 |
36.36% ↑
|
1994年 | 51,800 |
-17% ↓
|
1993年 | 62,410 |
-3.29% ↓
|
1992年 | 64,535 |
1.97% ↑
|
1991年 | 63,286 |
-0.71% ↓
|
1990年 | 63,740 |
28.77% ↑
|
1989年 | 49,500 |
2.91% ↑
|
1988年 | 48,100 |
3.22% ↑
|
1987年 | 46,600 |
-12.73% ↓
|
1986年 | 53,400 |
2.69% ↑
|
1985年 | 52,000 |
2.56% ↑
|
1984年 | 50,700 |
10.22% ↑
|
1983年 | 46,000 |
2.22% ↑
|
1982年 | 45,000 |
4.65% ↑
|
1981年 | 43,000 |
-18.87% ↓
|
1980年 | 53,000 |
-17.19% ↓
|
1979年 | 64,000 |
6.67% ↑
|
1978年 | 60,000 |
9.09% ↑
|
1977年 | 55,000 |
-2.65% ↓
|
1976年 | 56,500 |
2.73% ↑
|
1975年 | 55,000 |
-21.43% ↓
|
1974年 | 70,000 |
-6.67% ↓
|
1973年 | 75,000 |
31.58% ↑
|
1972年 | 57,000 |
-13.64% ↓
|
1971年 | 66,000 |
-1.49% ↓
|
1970年 | 67,000 |
-4.29% ↓
|
1969年 | 70,000 |
7.69% ↑
|
1968年 | 65,000 |
4.84% ↑
|
1967年 | 62,000 |
3.33% ↑
|
1966年 | 60,000 |
9.09% ↑
|
1965年 | 55,000 |
-6.78% ↓
|
1964年 | 59,000 |
1.72% ↑
|
1963年 | 58,000 |
-3.33% ↓
|
1962年 | 60,000 | - |
1961年 | 60,000 | - |
コモロのココナッツ生産量の歴史的推移を振り返ると、特に1961年から2023年にかけての生産量には上下動があり、継続的な増減を繰り返していることが分かります。この傾向は同国の地理的特性や経済状況、さらには気候変動や災害の影響と密接に関連しています。また、近年では国際的な需要や市場価格の変動も大きく影響しています。
データを詳しく見ると、1961年から1980年代初頭までは60,000トン台の生産が安定的に続いていました。しかし、1980年代には急激に生産量が低下し、1981年には43,000トンと最低水準に達しました。これは国全体の経済的混乱や農業従事者の減少、耕作技術やインフラ整備の停滞が影響した可能性があります。その後、1990年代以降、ココナッツの生産量は漸増しましたが、2004年には32,120トンという大幅な減少を見せています。この年の低下の要因として、自然災害や農業政策の失敗、さらには国際的な市場の停滞が考えられます。
2020年代に至って生産量は全体として回復基調にあり、2021年には86,724トンと記録的な生産量に達しました。ただし、2023年には再び減少し、76,623トンとなりました。このような近年の動向は、気候変動や国際的な市場の変化、新型コロナウイルスの影響などに関与している可能性が高いです。特に、ココナッツ農業における収穫作業や輸送がパンデミック中の物流制限や労働力不足により影響を受けたと推測されます。
コモロのココナッツ生産に関する課題には、インフラの整備不足や農地の集約化の遅れ、技術支援の不足といった問題が挙げられます。さらに気候変動による干ばつや台風、多雨などの異常気象も農作物の安定的な栽培に影響を与える要因です。これに加えて、コモロの農業は主に小規模な家族経営の農園に依存しており、生産の効率化が大きな課題となっています。他国、特にアジアの生産地(インドネシアやフィリピンなど)と比較すると、コモロの農業の生産性はまだ低いと言わざるを得ません。
今後、コモロがココナッツの生産をさらに向上させるためには、近代的な農法の導入、生産者への技術支援、灌漑設備の整備が必要です。また、国際的な市場拡大のために品質基準の強化や付加価値製品化(例えばココナッツオイルや繊維製品の製造)も重要です。加えて、気候変動を念頭に置いた農業政策の強化が求められます。
地域的な展望としては、コモロは周辺のインド洋諸国と農業技術や市場情報を共有し、地域間協力を進めることが必要です。また、気候変動に対応するための国際的な支援を得ることも検討すべきです。具体的には、国際機関や非政府組織と連携して、持続可能な農業に向けたプロジェクトを推進することが現実的かつ有効な対策となるでしょう。
結論として、コモロのココナッツ生産の持続的な成長には、国内外の協力と技術革新が不可欠です。これにより、農家の生活の向上、国の経済発展、さらには世界の食糧安全保障への貢献が期待されます。