国際連合食糧農業機関(FAO)の最新データによると、コモロの羊肉生産量は1961年の14トンから2023年の98トンまで持続的に増加しています。生産量は特に1980年代と1990年代初頭に急激な成長を見せ、2000年代以降は安定的な増加傾向になっています。このデータは、コモロにおける農業および畜産業の発展を示しつつも、将来の持続可能性や地域的な課題を考える指標としても重要です。
コモロの羊肉生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
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2023年 | 98 |
-0.29% ↓
|
2022年 | 98 |
0.62% ↑
|
2021年 | 98 |
0.63% ↑
|
2020年 | 97 |
0.3% ↑
|
2019年 | 97 |
1.62% ↑
|
2018年 | 95 |
0.98% ↑
|
2017年 | 94 |
0.47% ↑
|
2016年 | 94 |
0.87% ↑
|
2015年 | 93 |
1.43% ↑
|
2014年 | 92 |
0.45% ↑
|
2013年 | 92 |
1.67% ↑
|
2012年 | 90 |
1.69% ↑
|
2011年 | 89 | - |
2010年 | 89 | - |
2009年 | 89 |
-3.28% ↓
|
2008年 | 92 |
-0.81% ↓
|
2007年 | 92 |
0.82% ↑
|
2006年 | 92 |
1.67% ↑
|
2005年 | 90 |
2.56% ↑
|
2004年 | 88 | - |
2003年 | 88 |
2.63% ↑
|
2002年 | 86 | - |
2001年 | 86 |
3.64% ↑
|
2000年 | 83 |
1.85% ↑
|
1999年 | 81 |
4.85% ↑
|
1998年 | 77 |
0.98% ↑
|
1997年 | 77 |
0.99% ↑
|
1996年 | 76 |
2.02% ↑
|
1995年 | 74 |
1.02% ↑
|
1994年 | 74 | - |
1993年 | 74 | - |
1992年 | 74 | - |
1991年 | 74 |
13.95% ↑
|
1990年 | 65 |
5.65% ↑
|
1989年 | 61 |
3.04% ↑
|
1988年 | 59 |
6.18% ↑
|
1987年 | 56 |
14.46% ↑
|
1986年 | 49 | - |
1985年 | 49 |
3.99% ↑
|
1984年 | 47 |
5.94% ↑
|
1983年 | 44 |
7.27% ↑
|
1982年 | 41 |
7.84% ↑
|
1981年 | 38 |
7.35% ↑
|
1980年 | 36 |
7.97% ↑
|
1979年 | 33 |
10% ↑
|
1978年 | 30 |
6.65% ↑
|
1977年 | 28 |
-16.65% ↓
|
1976年 | 34 |
4.65% ↑
|
1975年 | 32 |
7.5% ↑
|
1974年 | 30 |
6.65% ↑
|
1973年 | 28 |
7.16% ↑
|
1972年 | 26 |
7.67% ↑
|
1971年 | 24 |
8.36% ↑
|
1970年 | 23 |
3.45% ↑
|
1969年 | 22 |
3.57% ↑
|
1968年 | 21 | - |
1967年 | 21 |
7.69% ↑
|
1966年 | 20 |
10.61% ↑
|
1965年 | 18 |
9.3% ↑
|
1964年 | 16 |
4.88% ↑
|
1963年 | 15 |
5.13% ↑
|
1962年 | 15 |
2.67% ↑
|
1961年 | 14 | - |
FAOが公表した統計によると、コモロの羊肉生産量は過去60年以上にわたって増加を続けています。1960年代から1970年代にかけてはゆるやかな上昇で、生産量は14トンから34トンとなりました。その後、1980年代に入ると、生産効率や羊の飼育技術の向上、あるいは需要拡大を背景に、生産量が年平均5%以上と急成長しています。この時期に44トンから65トンに増加していることは、農業政策の転換や、国内外での食肉需要が高まったことが影響したと考えられます。
1990年代以降は70トン台後半から80トン前半で推移しますが、安定期に入って生産量の成長率がやや緩やかになっています。ここでは季節的な天候の変化や、家畜への疫病リスク、地域紛争による物流・経済の影響も一因となっている可能性があります。それでも2000年代以降、90トン台を維持しつつ緩やかな成長を遂げ、直近の2023年には98トンに達しました。
このデータからは、全体的にコモロの羊肉生産が長期にわたって成長を続けてきたことが明らかです。一方で、2000年代後半から生産量がほぼ横ばいの状態にあり、顕著な増加は見られません。この背景としては、限られた牧草地資源や、生態系への影響を最小限に抑える持続可能な生産体制への需要が挙げられます。羊の飼育が環境に与える負担については、国際的にも関心が高まっており、これを意識した取り組みが必要となります。
コモロの地理的条件も注目すべきです。コモロはインド洋の小さな島国であり、面積が限られていることから、羊の放牧地や飼料生産地の拡張が難しい特徴があります。このため、効率的な生産方法の導入や育種の改良、さらには羊の健康管理の徹底が、生産量を維持・拡大する上で重要となります。また、輸送インフラの整備により国内市場での流通を活発化させること、輸出市場への参入を支援することも大きな課題です。
地域的な課題としては、気候変動の影響や疫病のリスクが挙げられます。特に洪水や干ばつといった自然災害が畜産業に与える影響は計り知れません。このため、持続可能な農業システムの構築や家畜用の予防医学を発展させる必要があります。具体的には、災害時に迅速に対応するための家畜保護施設の増設や、予防接種プログラムの拡充が挙げられます。また、周辺のアフリカ諸国との協力体制を構築し、技術や資源の共有を進めることが将来的なリスク軽減につながると考えられます。
結論として、このデータはコモロの農業と畜産業が緩やかに成長していることを示しています。しかし、持続可能性を重視した生産方法への移行や、輸送インフラの改善、国際市場との接続強化が今後の重要な課題です。政府や国際機関は、限られた資源を効率的に活用するためにさらなる技術支援を行い、環境への負荷を軽減する政策を打ち出すことが期待されます。これらの具体的な施策を通じて、コモロが将来にわたり安定した羊肉供給を維持することが可能となるでしょう。