コモロのコーヒー豆生産量は1961年の100トンから2022年の141トンまで、緩やかながら全体的に増加する傾向を示しています。一方で周期的な生産量の減少や横ばいの時期が見られ、生産量は一貫して安定しているわけではありません。特に1970年代後半から1980年代初頭にかけて低迷し、その後は1990年代半ば以降、徐々に回復基調を見せています。近年は2020年以降のパンデミックの影響もあり、生産量の伸びが鈍化しています。
コモロのコーヒー豆生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
---|---|---|
2023年 | 144 |
1.6% ↑
|
2022年 | 141 |
0.59% ↑
|
2021年 | 141 |
-1.13% ↓
|
2020年 | 142 |
0.51% ↑
|
2019年 | 142 |
2.44% ↑
|
2018年 | 138 |
0.77% ↑
|
2017年 | 137 |
0.63% ↑
|
2016年 | 136 |
0.67% ↑
|
2015年 | 135 |
1.4% ↑
|
2014年 | 133 |
1.12% ↑
|
2013年 | 132 |
1.54% ↑
|
2012年 | 130 |
2.08% ↑
|
2011年 | 127 |
1.25% ↑
|
2010年 | 126 |
1.24% ↑
|
2009年 | 124 |
1.32% ↑
|
2008年 | 123 |
1.51% ↑
|
2007年 | 121 |
1.44% ↑
|
2006年 | 119 |
-0.76% ↓
|
2005年 | 120 |
8.99% ↑
|
2004年 | 110 |
10.1% ↑
|
2003年 | 100 |
-2.6% ↓
|
2002年 | 103 |
1.66% ↑
|
2001年 | 101 |
3.05% ↑
|
2000年 | 98 |
-0.07% ↓
|
1999年 | 98 |
2.16% ↑
|
1998年 | 96 |
0.59% ↑
|
1997年 | 95 |
1.53% ↑
|
1996年 | 94 |
0.34% ↑
|
1995年 | 94 |
0.87% ↑
|
1994年 | 93 |
0.83% ↑
|
1993年 | 92 |
0.12% ↑
|
1992年 | 92 |
1.1% ↑
|
1991年 | 91 |
1.11% ↑
|
1990年 | 90 |
3.45% ↑
|
1989年 | 87 | - |
1988年 | 87 |
2.35% ↑
|
1987年 | 85 | - |
1986年 | 85 | - |
1985年 | 85 |
1.19% ↑
|
1984年 | 84 |
1.2% ↑
|
1983年 | 83 |
1.22% ↑
|
1982年 | 82 | - |
1981年 | 82 |
2.5% ↑
|
1980年 | 80 |
-11.11% ↓
|
1979年 | 90 | - |
1978年 | 90 |
28.57% ↑
|
1977年 | 70 |
16.67% ↑
|
1976年 | 60 | - |
1975年 | 60 |
-50% ↓
|
1974年 | 120 | - |
1973年 | 120 | - |
1972年 | 120 | - |
1971年 | 120 |
-33.33% ↓
|
1970年 | 180 | - |
1969年 | 180 | - |
1968年 | 180 | - |
1967年 | 180 | - |
1966年 | 180 |
80% ↑
|
1965年 | 100 | - |
1964年 | 100 |
-33.33% ↓
|
1963年 | 150 |
50% ↑
|
1962年 | 100 | - |
1961年 | 100 | - |
国際連合食糧農業機関(FAO)が2024年に更新した最新データによると、コモロのコーヒー豆生産量は1961年の100トンを起点に増減を繰り返しつつ、2022年には141トンとなっています。この増加傾向は、時代とともに改善された農業技術や国内のコーヒー産業の一部復興を反映しているものと考えられます。しかしながら、このデータからはコモロのコーヒー豆生産が必ずしも一定して安定しているわけではないことも明らかです。
1961年から1970年にかけては生産量が180トンにまで上昇する時期がありましたが、1971年以降に再び減少し始めました。この減少は、おそらく農業インフラの不備や輸出市場の動向に左右された結果であると考えられます。その後の1970年代半ばから1980年代初頭にかけては、記録的に低い生産量が続きました。この時期の背景には、土壌の劣化や気候要因、さらには政治や経済の不安定さが影響を及ぼした可能性があります。
1990年代以降、コモロのコーヒー豆生産量はゆるやかな回復を見せており、年間100トンを超える水準で推移しています。2010年代後半には生産量が135トンを越え、2019年以降は140トン台に到達しています。このような回復傾向は、国際市場での需要増加や、農家によるプランテーション技術の改良のおかげと考えられます。ただし、特に2020年以降は新型コロナウイルス感染症のパンデミックによる国際的な貿易の停滞が影響し、生産量の伸び率にブレーキがかかっています。
コモロのコーヒー豆生産の現状を考えると、いくつかの課題が浮かび上がります。まず、国内生産基盤の脆弱さが依然として根本的な問題です。小規模農家が主体のコモロでは、効率的な農業技術や種苗を導入する余地が大きいと考えられます。また、気候の変動など地理的条件の影響も深刻であり、特に乾燥や豪雨に備える適応策が急務です。さらに、輸出市場への依存度が高い中で、国際価格の変動に対するリスク管理も求められます。
解決策として、まず農業技術への投資を強化し、農家への教育プログラムを拡充することが重要です。具体的には、耐病性が向上したコーヒーの品種を普及させたり、灌漑システムを整備したりすることが挙げられます。また、国際的な支援機関や近隣諸国との協力を強化し、技術や金融面での支援を取り入れるべきです。さらに、国内の生産者が価格変動に影響されにくくなるよう、地域的な販売ルートの開拓や地元での加工・販売の推進も対策として有効です。
将来的には、コモロのコーヒー豆生産が持続的に拡大するためには、複数の地政学的なリスクに対処する必要もあります。もしもコーヒーの輸出ルートに地政学的なリスクや紛争などが生じると、それは直ちにコモロ経済に悪影響をもたらします。そのため、輸送ルートの多様化や輸出先の分散化も喫緊の課題となります。
以上の取り組みを通じて、コモロのコーヒー豆生産量をさらに活性化し、地域経済の安定化と国際市場への競争力強化を図ることが期待されます。それによって、同国の経済的自立の可能性が大きく広がるでしょう。