Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)が発表した2024年7月更新の最新データによると、コモロの鶏卵生産量は1961年の360トンから長期的に増加し、2023年には1,094トンを記録しました。一方で、2010年代以降には一時的な減少も見られるなど、生産量の伸びはかつてほど直線的ではありません。この推移は、農業技術や気候条件、経済情勢の影響を受けているものと考えられます。
コモロの鶏卵生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
---|---|---|
2023年 | 1,094 |
13.26% ↑
|
2022年 | 966 |
0.42% ↑
|
2021年 | 962 |
-2.48% ↓
|
2020年 | 987 |
3.86% ↑
|
2019年 | 950 | - |
2018年 | 950 |
-10.38% ↓
|
2017年 | 1,060 |
0.95% ↑
|
2016年 | 1,050 |
1.94% ↑
|
2015年 | 1,030 |
0.98% ↑
|
2014年 | 1,020 | - |
2013年 | 1,020 | - |
2012年 | 1,020 |
-8.93% ↓
|
2011年 | 1,120 |
1.82% ↑
|
2010年 | 1,100 |
3.77% ↑
|
2009年 | 1,060 | - |
2008年 | 1,060 | - |
2007年 | 1,060 | - |
2006年 | 1,060 |
0.47% ↑
|
2005年 | 1,055 | - |
2004年 | 1,055 | - |
2003年 | 1,055 |
0.96% ↑
|
2002年 | 1,045 |
1.46% ↑
|
2001年 | 1,030 | - |
2000年 | 1,030 | - |
1999年 | 1,030 |
0.98% ↑
|
1998年 | 1,020 |
0.99% ↑
|
1997年 | 1,010 |
1% ↑
|
1996年 | 1,000 |
1.01% ↑
|
1995年 | 990 |
1.02% ↑
|
1994年 | 980 |
1.03% ↑
|
1993年 | 970 |
1.57% ↑
|
1992年 | 955 |
1.06% ↑
|
1991年 | 945 |
49.53% ↑
|
1990年 | 632 |
1.28% ↑
|
1989年 | 624 |
1.3% ↑
|
1988年 | 616 | - |
1987年 | 616 |
1.32% ↑
|
1986年 | 608 |
1.33% ↑
|
1985年 | 600 |
2.04% ↑
|
1984年 | 588 |
1.38% ↑
|
1983年 | 580 |
1.4% ↑
|
1982年 | 572 | - |
1981年 | 572 |
0.7% ↑
|
1980年 | 568 |
2.9% ↑
|
1979年 | 552 |
1.47% ↑
|
1978年 | 544 |
2.26% ↑
|
1977年 | 532 |
2.31% ↑
|
1976年 | 520 |
3.17% ↑
|
1975年 | 504 |
2.44% ↑
|
1974年 | 492 |
2.5% ↑
|
1973年 | 480 |
3.45% ↑
|
1972年 | 464 |
2.65% ↑
|
1971年 | 452 |
2.73% ↑
|
1970年 | 440 |
3.77% ↑
|
1969年 | 424 |
2.91% ↑
|
1968年 | 412 |
3% ↑
|
1967年 | 400 |
4.17% ↑
|
1966年 | 384 |
1.05% ↑
|
1965年 | 380 | - |
1964年 | 380 |
2.15% ↑
|
1963年 | 372 | - |
1962年 | 372 |
3.33% ↑
|
1961年 | 360 | - |
コモロにおける鶏卵生産量は、1961年の360トンから2023年の1,094トンまで右肩上がりの傾向を示してきました。この増加は、初期段階において農業技術の向上や家禽(鶏)飼育の拡大、都市化による需要増加が寄与したと考えられます。特に1990年代には、大幅な伸びが観察され、1990年の632トンから1991年の945トンへと急増しました。このような急激な伸びは、国家的な食糧増産政策の導入や輸入飼料の導入が影響している可能性があります。
しかし、近年のデータを見ると2018年の950トンや2020年の987トンなど、一部の年で減少や停滞も観察されています。2020年前後の減少は、新型コロナウイルス感染症のパンデミックによる輸送の停滞や経済的な制約がその要因のひとつであると考えられます。2023年には再び増加し1,094トンを記録しましたが、この増加が持続的であるかどうかは今後も注視する必要があります。
コモロの鶏卵生産量推移を他国と比較すると、その規模はインドや中国といった主要生産国と比べると極めて小さく、日本の年間240万トン以上(2020年データ)という生産量とは桁違いの差があります。一方で、小規模ながらも持続可能な農業により、地域の食料安全保障へ一定の貢献を果たしていることは評価すべきです。
課題として挙げられるのは、国内の農業基盤の脆弱さや、輸入飼料やエネルギーへの依存度です。コモロは地理的に小規模な島国であり、自然災害や気候変動の影響を受けやすいため、持続的な食糧生産が脅かされるリスクがあります。さらに、限られた農業資源やインフラの未整備も、農業の効率化を妨げる障壁となっています。
将来に向けての提言としては、まず小規模農家への技術支援を拡充し、生産性の向上を図ることが挙げられます。具体的には、飼料の効率的な利用方法や近代的な農業設備の導入を促進するプログラムの策定が有効と考えられます。また、国内の消費需要を満たすための流通ネットワークの整備や、政府・国際機関による投資の誘導も重要な施策と言えます。さらに、気候変動に対応するための地域レジリエンス(災害対応能力)の強化や、地域間協力による農業技術の共有も検討されるべきです。
地政学的なリスクを考慮すると、農業基盤の強化はコモロのエネルギーと食料の自立につながり、地域内での経済的な安定化をもたらす可能性があります。仮に問題が放置されると、食糧不足が移民問題や周辺地域の社会的緊張を引き起こすリスクがあるため、包括的な対応が必要です。
結論として、コモロの鶏卵生産量は長期的な増加傾向にあるものの、近年の減少傾向や災害リスクなどの脆弱性を示すデータも存在します。今後は、技術支援、農業基盤の強化、政策的な支援といった多方面から対策を講じることで、安定的かつ持続可能な発展を目指すべきです。また、国際機関や周辺諸国との連携を重視し、地球規模の課題に対応する柔軟な姿勢が求められます。