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バングラデシュのジャガイモ生産量推移(1961年~2023年)

国連の食糧農業機関(FAO)が2024年7月に更新したデータによると、バングラデシュのジャガイモ生産量は1961年以降、全般的に増加傾向を見せています。1961年の約34万トンから2022年には約1,014万トンに達し、生産規模は大幅に拡大しています。特に1999年~2008年にかけての急激な増加は目立っています。一方で、2010年代後半からはやや伸び悩んでいる様子も見られます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 10,431,736
2.83% ↑
2022年 10,144,835
2.61% ↑
2021年 9,887,242
2.93% ↑
2020年 9,606,000
-0.51% ↓
2019年 9,655,082
-0.92% ↓
2018年 9,744,412
-4.62% ↓
2017年 10,215,957
7.83% ↑
2016年 9,474,099
2.38% ↑
2015年 9,254,285
3.4% ↑
2014年 8,950,000
4.03% ↑
2013年 8,603,000
4.84% ↑
2012年 8,205,470
-1.45% ↓
2011年 8,326,389
5% ↑
2010年 7,930,000
50.53% ↑
2009年 5,268,000
-20.76% ↓
2008年 6,648,000
28.66% ↑
2007年 5,167,000
-3.75% ↓
2006年 5,368,400
10.57% ↑
2005年 4,855,377
24.27% ↑
2004年 3,907,120
15.39% ↑
2003年 3,385,910
13.09% ↑
2002年 2,994,000
-6.9% ↓
2001年 3,216,000
9.65% ↑
2000年 2,933,000
6.19% ↑
1999年 2,762,000
77.83% ↑
1998年 1,553,180
3.01% ↑
1997年 1,507,860
1.09% ↑
1996年 1,491,560
1.58% ↑
1995年 1,468,400
2.11% ↑
1994年 1,438,055
3.9% ↑
1993年 1,384,010
0.34% ↑
1992年 1,379,320
11.52% ↑
1991年 1,236,805
16.06% ↑
1990年 1,065,680
-2.17% ↓
1989年 1,089,298
-14.61% ↓
1988年 1,275,650
19.3% ↑
1987年 1,069,295
-3.04% ↓
1986年 1,102,790
-4.88% ↓
1985年 1,159,385
1.02% ↑
1984年 1,147,686
1.47% ↑
1983年 1,131,098
3.28% ↑
1982年 1,095,151
9.63% ↑
1981年 998,909
8.92% ↑
1980年 917,120
0.86% ↑
1979年 909,319
-0.5% ↓
1978年 913,846
24.28% ↑
1977年 735,336
-18.57% ↓
1976年 903,025
2.57% ↑
1975年 880,372
20.59% ↑
1974年 730,067
-3.78% ↓
1973年 758,710
0.79% ↑
1972年 752,797
-12.73% ↓
1971年 862,600
-0.24% ↓
1970年 864,700
8.14% ↑
1969年 799,600
12.26% ↑
1968年 712,300
18.62% ↑
1967年 600,500
21.61% ↑
1966年 493,800
23.04% ↑
1965年 401,320
23.82% ↑
1964年 324,104
-10.64% ↓
1963年 362,712
7.85% ↑
1962年 336,296
-2.07% ↓
1961年 343,408 -

バングラデシュのジャガイモ生産量は、1960年代の低水準から非常に大きな成長を遂げています。1961年の生産量はわずか約34万トンでしたが、1970年代に入ると年間約80万トンにまで増加しました。その後も持続的な成長を遂げましたが、1980年代は1年間で大きく減少する年が見られるなど、比較的生産量が不安定であった時期でした。しかしながら、1990年代に安定感が増し、1999年には生産量が274万トンに達しています。

これとの比較で特に注目すべきは、その後10年間の大躍進です。1999年から2008年にかけて、バングラデシュはジャガイモ生産量を約3倍に増加させ、660万トンに到達しました。この急成長の背景には、農業技術の進化、灌漑の導入、化学肥料の利用が考えられます。加えて、国際市場の需要拡大も農家にインセンティブを与えたと分析されます。

一方で、2010年代末からの生産量は伸び悩んでおり、2017年の約1,022万トンをピークにその後の増加ペースが緩やかになっています。この停滞は、気候変動の影響や土壌の質の低下、農業技術の進展の停滞が要因と考えられます。また需要側では、保存設備の不足や流通上の問題が影響を与えている可能性があります。

バングラデシュにおけるジャガイモ生産の経済的意義は非常に大きく、国内消費のみならず輸出産品としても期待されています。しかし、生産量の停滞は、国の食料安全保障や農家の収入に悪影響を及ぼす可能性があります。このためいくつかの課題が存在します。例えば、気候変動への適応として新しい品種の開発が急務です。また、農家に対する技術支援の拡充が必要です。さらに、輸送や保管インフラを改善し、国内外の需要をスムーズに満たせる体制の構築も欠かせません。

地域の地政学的背景を考えると、インドや中国といった隣国と農業技術や輸出入における協力を進めるべきです。特にインドは世界第2位のジャガイモ生産国であり、その経験と技術を共有することでバングラデシュの農業部門を強化できる可能性があります。また、バングラデシュが位置する南アジアは毎年洪水や台風に見舞われるリスクがあり、これが生産活動に深刻な影響を与える可能性も継続的に存在しています。このため、気象情報の正確な提供や災害対応の農業政策も視野に入れるべきです。

結論として、バングラデシュのジャガイモ生産には大きな成長のポテンシャルがあります。ただし課題を克服するためには、国家レベルでは農業支援政策の拡充、国際レベルでは隣国との協力強化が不可欠です。さらには、地球規模の課題である気候変動とも向き合いながら、持続可能な生産体制の構築が求められています。ジャガイモという主要作物への投資は、バングラデシュ全体の食料安全保障や経済成長に直接結びつくでしょう。そのため、政策の迅速な実行と地域協力の推進が重要です。