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バングラデシュの大麦生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)の最新データによると、バングラデシュの大麦生産量は、1960年代に比較的安定した水準を記録していましたが、1970年代以降徐々に減少し、2000年代には大きく落ち込みました。2023年の生産量は159トンで、ピークであった1971年の26,400トンと比較して大幅に縮小しています。この推移は、国内の農業環境の変化や経済的要因が影響を与えていることを示唆します。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 159
-7.56% ↓
2022年 172
-1.15% ↓
2021年 174
40.32% ↑
2020年 124
-21.02% ↓
2019年 157
-35.66% ↓
2018年 244
-14.98% ↓
2017年 287
-9.46% ↓
2016年 317
3.26% ↑
2015年 307
15.41% ↑
2014年 266
2.31% ↑
2013年 260
-18.75% ↓
2012年 320
-33.88% ↓
2011年 484
-8.33% ↓
2010年 528
11.86% ↑
2009年 472
-12.1% ↓
2008年 537
-28.87% ↓
2007年 755
-0.66% ↓
2006年 760
-35.04% ↓
2005年 1,170
-14.91% ↓
2004年 1,375
-18.88% ↓
2003年 1,695
-43.5% ↓
2002年 3,000
-25% ↓
2001年 4,000
-20% ↓
2000年 5,000 -
1999年 5,000
-17.22% ↓
1998年 6,040
0.92% ↑
1997年 5,985
-0.5% ↓
1996年 6,015
0.25% ↑
1995年 6,000
-3.77% ↓
1994年 6,235
-17.64% ↓
1993年 7,570
-25.78% ↓
1992年 10,200
-5.56% ↓
1991年 10,800
-7.57% ↓
1990年 11,684
1.8% ↑
1989年 11,477
0.24% ↑
1988年 11,449
-6.36% ↓
1987年 12,227
-13.12% ↓
1986年 14,073
-9.15% ↓
1985年 15,491
139.76% ↑
1984年 6,461
-26.94% ↓
1983年 8,844
-15.01% ↓
1982年 10,406
-10.6% ↓
1981年 11,640
-8.3% ↓
1980年 12,694
0.81% ↑
1979年 12,592
-6.55% ↓
1978年 13,474
-8.61% ↓
1977年 14,744
-13.91% ↓
1976年 17,126
4.64% ↑
1975年 16,367
6.15% ↑
1974年 15,419
-5.4% ↓
1973年 16,300
-23.47% ↓
1972年 21,300
-19.32% ↓
1971年 26,400
36.79% ↑
1970年 19,300
5.46% ↑
1969年 18,300
12.27% ↑
1968年 16,300
7.24% ↑
1967年 15,200
24.59% ↑
1966年 12,200
0.07% ↑
1965年 12,192
-7.69% ↓
1964年 13,208
-38.1% ↓
1963年 21,336
16.67% ↑
1962年 18,288
5.88% ↑
1961年 17,272 -

バングラデシュの大麦生産量の推移を振り返ると、1960年代には年間12,000~20,000トンの生産量を維持していました。この時期は人口増加や農業技術の進歩に伴い、大麦が主食作物や家畜飼料として一定の需要を保持していたと考えられます。しかし、1971年に記録された26,400トンという生産のピーク後、1970年代半ばから生産量が減少の傾向を示し始め、1980年代からさらに明確にその傾向が強まりました。特に2000年代に入ると生産量は極端な落ち込みを見せ、2023年には159トンと過去最低水準に近い値にとどまりました。

このような大麦生産量の大幅な減少にはいくつかの背景があります。まず、バングラデシュでは稲作を主とした農業が主要地位を占めており、大麦を含む穀物の需要が相対的に縮小してきた点が挙げられます。さらに、大麦の生産地域で生産効率が低下したことや、農地の都市化、気候変動による環境条件の変化も影響を及ぼしている可能性があります。例えば、気候変動による洪水や台風などの自然災害が増加しており、これが農業生産に与える打撃は免れません。また、政策面においても大麦生産が十分に支援されていないことが考えられます。

バングラデシュ以外の国々と比較すると、大麦の生産状況が異なることが注目されます。例えば、ヨーロッパ地域のドイツやフランス、北米のアメリカなどは、気候や農業技術の適応によって大麦を飼料作物やビール醸造の原料として活用しており、多くの成功例を持っています。一方、バングラデシュのような南アジアの国々では、稲作を中心とした農業構造の影響で、労力や資源が主食作物に集中し、大麦への意識や投資は低くなりがちです。

また、大麦の生産量の減少は食料自給率や地域の経済に大きな影響を与える懸念があります。特に昨今の国際的な食料価格の変動や輸入への依存度の高まりにより、大麦を含む穀物の国内供給を再考する必要性が出てきています。今後、これを改善するためには、農業政策の見直しや、土壌改良、効率的な栽培技術の導入が求められます。

具体的にはまず、農家への支援政策を拡充し、大麦栽培のインセンティブを提供することが重要です。これには、低コストの種子提供や収穫後の市場アクセスの改善が含まれます。また、大麦の多様な用途を国内外市場で促進し、農家が安定して利益を得られる仕組みを構築する必要があります。さらに気候変動に対応するための研究投資を進め、洪水や気温上昇に耐えられる品種開発を進めることも考えられます。他国の成功例として、ドイツでは気候変動に強い作物の研究が国家的優先事項とされ、長期的かつ持続可能な農業発展を実現しています。

結論として、バングラデシュにおける大麦生産量の推移は、農業政策や経済状況、気候条件など複数の要因が絡み合った結果であると言えます。現在の低生産を克服するためには、国家政策と農家の努力が一致し、持続可能で競争力の高い農業を築く必要があります。また、国際機関との連携を強化し、技術や知識の共有を進めることで、地域全体の農業能力を底上げすることが期待されます。このような取り組みは、将来的に食料安定供給と経済成長の基盤を支えるものとなるでしょう。