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バングラデシュのほうれん草生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、バングラデシュのほうれん草生産量は、1961年の6,200トンから2022年の61,859トンへと大幅に増加しています。特に2000年代以降、生産量は急速に増加しており、2017年には66,292トンもの生産量に達しました。この50年間で約10倍の成長を遂げており、増産の背景には農業技術の向上、人口増加による需要の拡大、政府の農業政策の影響が挙げられます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 63,367
2.44% ↑
2022年 61,859
2.22% ↑
2021年 60,516
1.88% ↑
2020年 59,400
3.1% ↑
2019年 57,616
3.61% ↑
2018年 55,609
-16.12% ↓
2017年 66,292
31.13% ↑
2016年 50,555
8.97% ↑
2015年 46,394
5.44% ↑
2014年 44,000
2.33% ↑
2013年 43,000 -
2012年 43,000
-0.44% ↓
2011年 43,190
-4.55% ↓
2010年 45,251
5.49% ↑
2009年 42,898
-2.57% ↓
2008年 44,030
15.25% ↑
2007年 38,205
4.66% ↑
2006年 36,505
15.05% ↑
2005年 31,730
9.41% ↑
2004年 29,000
3.57% ↑
2003年 28,000
3.7% ↑
2002年 27,000 -
2001年 27,000
3.85% ↑
2000年 26,000
4% ↑
1999年 25,000
0.97% ↑
1998年 24,760
0.28% ↑
1997年 24,690
7.35% ↑
1996年 23,000
4.55% ↑
1995年 22,000
4.76% ↑
1994年 21,000
0.33% ↑
1993年 20,930
7.75% ↑
1992年 19,425
5.92% ↑
1991年 18,340
0.91% ↑
1990年 18,175
10.61% ↑
1989年 16,432
1.28% ↑
1988年 16,225
10.68% ↑
1987年 14,660
5.7% ↑
1986年 13,870
0.69% ↑
1985年 13,775
3.38% ↑
1984年 13,324
0.33% ↑
1983年 13,280
2.43% ↑
1982年 12,965
4.62% ↑
1981年 12,393
9.1% ↑
1980年 11,359
10.81% ↑
1979年 10,251
7.1% ↑
1978年 9,571
0.37% ↑
1977年 9,536
-0.04% ↓
1976年 9,540
6.17% ↑
1975年 8,986
15.61% ↑
1974年 7,773
2.76% ↑
1973年 7,564
2.22% ↑
1972年 7,400
2.78% ↑
1971年 7,200
1.41% ↑
1970年 7,100
1.43% ↑
1969年 7,000
2.94% ↑
1968年 6,800 -
1967年 6,800
1.49% ↑
1966年 6,700
1.52% ↑
1965年 6,600
1.54% ↑
1964年 6,500
1.56% ↑
1963年 6,400
1.59% ↑
1962年 6,300
1.61% ↑
1961年 6,200 -

バングラデシュにおけるほうれん草の生産量の推移を見ると、1960年代から1990年代初頭までは比較的緩やかな増加を見せていました。この期間、年間増加率は一貫して高いわけではなく、一部の年では横ばいや微増にとどまっています。例えば、1961年から1970年の間、生産量は6,200トンから7,100トンへと約15%の増加にとどまっており、特に1966年から1968年では生産量の変化が確認されていません。一方、1990年代中盤以降は、急速に生産量が伸びており、1990年の18,175トンから2000年の26,000トンまで10,000トン近い増加が発生しています。

このような生産の伸びの背景には、政府による農業支援政策が大きな役割を果たしています。バングラデシュは、主に農業が基盤の経済を持つ国であり、気候が温暖で雨量が豊富な地域特性を活かし、多種多様な野菜を生産しています。ほうれん草は、その中でも地域的に重要な栄養源として位置付けられています。また、ほうれん草は比較的短期間で生産可能であるため、小規模農地での生産にも適しています。さらに人口増加による食料需要の拡大が、生産規模拡大の要因となっています。

2000年代になると、生産量の急激な増加が一層顕著でありました。例えば、2006年から2008年の間には、36,505トンから44,030トンへと約20%以上増加しています。この期間、農業関連の技術革新や種子改良、水管理システムの整備が進み、生産効率が向上しています。それ以降も増産は続き、2017年には66,292トンというピークに達しました。しかし2018年以降、若干の変動が見られ、2017年と比較するとその後の生産量は一時的に低下しました。このピーク以降の変化には気候変動の影響があると考えられます。具体的には、異常気象による洪水や干ばつ、土壌の劣化といった要因が影響を及ぼしている可能性があります。

こうした動向を踏まえ、今後の課題としては、まず気候変動適応型の生産システムを構築することが挙げられます。例えば、気温や降水量の変動に対応できる耐性種の開発や、より広範囲で使用可能な灌漑設備の導入が必要です。また、農民への技術支援や教育、インフラ整備を通じて、生産効率向上を図るべきです。さらに、国内の供給チェーンを強化し、国内需給を安定させることも重要となります。

国際的な視点から見ると、バングラデシュのほうれん草生産量はまだ世界主要生産国には及ばないものの、同じ南アジア地域のインドとも競争力を持ちつつあります。中国がほうれん草の主要輸出国である点から考慮すると、バングラデシュも国内外の需要を見据え、輸出市場を拡大する安定した生産基盤が必要です。

最終的に、このような生産量の傾向は、バングラデシュの農業政策全体をどのように効率化できるかにかかっています。具体的には、例えば国際協力機関や地域間パートナーシップを活用し、資金調達や技術導入の支援を受けることで、自然災害や市場の変動に対するレジリエンス(回復力)を高めることが目指されます。このような一連の改良が成功するなら、バングラデシュは今後も持続的かつ高い成長を維持できると考えられます。