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バングラデシュの牛乳生産量推移(1961年~2023年)

Food and Agriculture Organization(国連食糧農業機関)が発表した最新データによると、バングラデシュの牛乳生産量は1961年の約59万トンから2023年には1,266万トンへと大きく増加しており、非常に注目すべき成長を遂げています。この産業の長期的な成長は食料需給の改善を象徴していますが、一方で日々の消費者のアクセスや農業インフラの課題が浮き彫りになっています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 12,661,200
7.6% ↑
2022年 11,766,600
9.09% ↑
2021年 10,786,500
12.22% ↑
2020年 9,612,000
7.65% ↑
2019年 8,928,900
5.48% ↑
2018年 8,465,400
1.33% ↑
2017年 8,354,700
27.6% ↑
2016年 6,547,500
4.38% ↑
2015年 6,273,000
14.41% ↑
2014年 5,482,800
20.16% ↑
2013年 4,563,000
46.53% ↑
2012年 3,114,000
17.29% ↑
2011年 2,655,000
24.47% ↑
2010年 2,133,000
3.49% ↑
2009年 2,061,000
-13.58% ↓
2008年 2,385,000
16.23% ↑
2007年 2,052,000
0.44% ↑
2006年 2,043,000
2.15% ↑
2005年 2,000,000 -
2004年 2,000,000 -
2003年 2,000,000
11.11% ↑
2002年 1,800,000 -
2001年 1,800,000 -
2000年 1,800,000
5.88% ↑
1999年 1,700,000
6.25% ↑
1998年 1,600,000
6.67% ↑
1997年 1,500,000
15.38% ↑
1996年 1,300,000
30% ↑
1995年 1,000,000 -
1994年 1,000,000
30.34% ↑
1993年 767,198
1.97% ↑
1992年 752,377
1.02% ↑
1991年 744,752
0.13% ↑
1990年 743,796
1.15% ↑
1989年 735,330
0.95% ↑
1988年 728,415
1.03% ↑
1987年 721,008
1.01% ↑
1986年 713,806
1.02% ↑
1985年 706,604
0.94% ↑
1984年 700,000
-12.41% ↓
1983年 799,155
1.3% ↑
1982年 788,863
0.29% ↑
1981年 786,597
2.33% ↑
1980年 768,695
-18.49% ↓
1979年 943,103
3.12% ↑
1978年 914,595
15.41% ↑
1977年 792,497
1.6% ↑
1976年 779,993
10.49% ↑
1975年 705,908
1.35% ↑
1974年 696,497
1.71% ↑
1973年 684,768
0.05% ↑
1972年 684,411
-0.09% ↓
1971年 685,000
-0.03% ↓
1970年 685,235
3.04% ↑
1969年 665,000
2.31% ↑
1968年 650,000
2.36% ↑
1967年 635,000
2.42% ↑
1966年 620,000 -
1965年 620,000
3.33% ↑
1964年 600,000 -
1963年 600,000
0.84% ↑
1962年 595,000
0.42% ↑
1961年 592,500 -

バングラデシュの牛乳生産量の推移を見ると、1961年から2023年の期間に生産量が約21倍に増加しました。この成長の背後には、農業技術の進歩、酪農部門への政策的支援、そして需要の拡大があったと言えます。特に1990年代以降の急激な増加は、乳製品の需要が拡大する中で国内の酪農業がそれに応えて経済的に成長する様子を如実に示しています。例えば、1994年に生産量が初めて100万トンを超え、2000年以降は毎年コンスタントな増加が続き、2013年以降は急速な伸びを見せています。

この成長は、バングラデシュ国内における牛乳や乳製品の需求増加が主因となっています。人口増加だけでなく、中産階級の拡大による消費トレンドの変化も影響を与えています。特に都市部を中心に、栄養面に配慮した食生活が推奨されたことも牛乳需要の高まりに寄与してきました。

しかし、供給だけでなく品質面や流通インフラは未だに大きな課題です。2023年時点での生産量は1,266万トンにも達していますが、地方部では依然として栄養不足に悩む層も多く見受けられます。また、牛乳生産の主力は依然として小規模な農家に依存しており、その多くが近代的な技術、設備や飼料の使用で遅れをとっています。さらに、新型コロナウイルスの流行や気候変動による自然災害などの影響で、近年は生産チェーン全体に不確実性が生じ、農家にとって経済的困難が拡大するリスクも伴いました。

これに対し、バングラデシュ政府や国際機関は酪農産業の近代化を促進する必要があります。具体的には、農家への資金援助や微細なインフラ整備のための公的投資が重要です。例えば、冷蔵技術や輸送インフラの整備は、地方農家から都市部まで効率的に牛乳を輸送するために不可欠です。また、酪農業における教育やトレーニングを提供することで、品質向上と経済的持続可能性の両立が実現すると考えられます。

さらに、持続可能性を確保するために環境負荷の軽減も検討するべきです。牛乳生産は大量の牛飼育を伴い、メタンガス排出など環境に一定の負担をかけます。他国の成功例を参考に、例えばドイツやオランダの酪農業界では排出削減技術を導入して環境保護を進めており、バングラデシュもこのような技術の導入を検討すべきです。

長期的に見ると、この牛乳生産量の継続的な増加は、バングラデシュの国民の栄養改善と経済発展に大いに寄与する可能性があります。しかし、そのためには農家支援、インフラ整備、環境保護を組み合わせた包括的なアプローチが求められます。バングラデシュと関連機関が協力し、政策的な枠組みを発展させることで、持続可能な成長と国内の食料安全保障を促進する道筋が開かれるでしょう。