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フィンランドの馬肉生産量の推移【1961年~2023年】世界ランキング・統計データ

国際連合食糧農業機関(FAO)の最新データによると、フィンランドの馬肉生産量は1960年代初頭の年間約4,000~5,000トンの規模から、2022年には212トンと大幅に減少しました。ピークである1965年の5,600トン以降、全般的に生産量の減少傾向が続いており、特に1970年代後半以降そのペースが顕著です。一方で、2010年代に一時的な増加も見られたものの、近年再び減少傾向を示しています。

年度 生産量(トン) 増減率
2022年 212
12.77% ↑
2021年 188
-2.08% ↓
2020年 192
-26.15% ↓
2019年 260
-16.13% ↓
2018年 310
-11.43% ↓
2017年 350
16.67% ↑
2016年 300
-28.57% ↓
2015年 420
-7.28% ↓
2014年 453
-13.05% ↓
2013年 521
6.98% ↑
2012年 487
5.87% ↑
2011年 460
32.18% ↑
2010年 348
51.3% ↑
2009年 230
9.52% ↑
2008年 210
-16% ↓
2007年 250 -
2006年 250
316.67% ↑
2005年 60
-33.33% ↓
2004年 90
-53.37% ↓
2003年 193
-37.74% ↓
2002年 310
-14.84% ↓
2001年 364
-6.67% ↓
2000年 390
-4.88% ↓
1999年 410
-14.58% ↓
1998年 480
20% ↑
1997年 400
-14.89% ↓
1996年 470
9.3% ↑
1995年 430
-51.14% ↓
1994年 880
-14.56% ↓
1993年 1,030
-4.89% ↓
1992年 1,083
32.07% ↑
1991年 820
18.84% ↑
1990年 690
6.15% ↑
1989年 650
4.84% ↑
1988年 620
-27.06% ↓
1987年 850
2.41% ↑
1986年 830
-8.79% ↓
1985年 910
16.67% ↑
1984年 780
4% ↑
1983年 750
-3.85% ↓
1982年 780
-12.36% ↓
1981年 890
4.71% ↑
1980年 850
-7.61% ↓
1979年 920
-17.86% ↓
1978年 1,120
-13.85% ↓
1977年 1,300
-9.09% ↓
1976年 1,430
-18.75% ↓
1975年 1,760
4.76% ↑
1974年 1,680
-30% ↓
1973年 2,400
-33.33% ↓
1972年 3,600
-12.2% ↓
1971年 4,100
-2.38% ↓
1970年 4,200
-4.55% ↓
1969年 4,400
-4.35% ↓
1968年 4,600
-4.17% ↓
1967年 4,800
-12.73% ↓
1966年 5,500
-1.79% ↓
1965年 5,600
16.67% ↑
1964年 4,800
23.08% ↑
1963年 3,900
18.18% ↑
1962年 3,300
-13.16% ↓
1961年 3,800 -
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データを詳細に見ていくと、フィンランドでの馬肉生産量は、1960年代から現在に至るまで長期的に著しい減少を記録しています。この変化は、1965年に記録された5,600トンを頂点として、1970年代後半から急速な下降に転じました。この減少の背景には、農業形態の変化、食文化の変化、動物福祉の意識向上、競合する肉類(牛肉、豚肉、鶏肉)消費の増加、さらには都市化による農業従事者や馬飼育数の減少などが複合的に影響していると考えられます。

特に1973年以降の急激な減少は注目に値します。1970年代の後半には、年間生産量が1,000トン未満にまで減少し、1980年代以降はさらに低水準が定着しています。この時期はフィンランドにおける経済的変化や食生活の多様化、製造業の発展などが伴っており、食肉生産全般の需要構造が変化したことが影響している可能性があります。

一方で、2010年代に一時的な生産量の増加も観察されています。2010年から2013年の期間には、210トンから521トンにまで回復し、9年間の低迷を覆す傾向を示しました。この増加は、比較的弱い規制環境下での馬肉加工業の活性化や輸出先市場の需要増加に関連するものと考えられます。ただし、この増加は長続きせず、2015年には再び生産量が低下しました。

また、2020年から2022年にかけても低迷が続いており、この背景には国際的な新型コロナウイルス感染拡大の影響も考察されます。輸出入の停滞、流通の混乱、そして馬肉需要の縮小がこの減少に拍車をかけた可能性があります。

フィンランドでの馬肉消費自体は、伝統的に他国と比較して控えめであるため、国内需要に基づく生産縮小という側面も無視できません。例えば、フランスやイタリアのように馬肉が料理文化の中で相対的に重要な地位を占める国とは異なり、フィンランドでは馬肉は全体的な食肉需要の中で小さな割合を占めています。

将来的な課題として、馬肉産業は二極化した選択を迫られるでしょう。一つは、完全に生産を縮小し、消費を輸入品で賄う方針を選択することです。この場合、国内産業はほぼ撤退する形となり、関連する従事者の職を失う課題が生じます。もう一つは、高品質な馬肉を供給し、輸出や観光産業との連携から新たな価値を産む方向性です。このためには、精確なマーケティングとブランド化、地元特有の技術を活かしたプロモーションが必要です。

政策提言としては、国内市場の馬肉需要を確立するため、地産地消を推進する食育活動や観光地での「ヘルシンキ流馬肉料理」といった郷土色の強いメニュー開発を進めるべきです。また、EU内での取引を活性化する手段として、フィンランドの厳格な衛生基準やエコロジーな畜産手法をアピールする取り組みが有効でしょう。

地政学的観点から見ると、主要な輸出先がロシアであった場合、地政学的リスクによる影響も懸念されます。情勢の不安定性や輸出規制の変更に備え、複数の国や地域に市場を多様化する努力が必要です。また、経済的障壁を乗り越えるため、隣国との協力や農業補助制度の再編成を進めることも重要です。

結論として、このデータから読み取れるのは、フィンランドの馬肉生産業が縮小産業として挑戦を余儀なくされている現状です。しかし、国内外の市場状況を的確に捉え、柔軟な産業戦略を取ることで、持続的な発展への基盤を築けるでしょう。国家レベルでの生産方針を見直しつつ、必要に応じた技術援助と市場開拓が求められています。

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