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フィンランドの大麦生産量推移(1961年~2023年)

Food and Agriculture Organizationが発表した最新データによると、フィンランドの大麦生産量は1961年から2023年までの間、長期的に増加傾向を示していましたが、近年は変動が大きく、減少傾向も見られます。最も生産量が多かったのは2009年の2,171,000トンでしたが、近年では2021年以降、生産量が1,100,000トン前後にまで減少しています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 1,078,700
-26.5% ↓
2022年 1,467,600
40.37% ↑
2021年 1,045,500
-25.21% ↓
2020年 1,397,970
-17.86% ↓
2019年 1,701,960
25.77% ↑
2018年 1,353,190
-7.32% ↓
2017年 1,460,100
-7.63% ↓
2016年 1,580,700
0.75% ↑
2015年 1,569,000
-15.41% ↓
2014年 1,854,800
-2.59% ↓
2013年 1,904,200
20.44% ↑
2012年 1,581,000
4.4% ↑
2011年 1,514,300
12.99% ↑
2010年 1,340,200
-38.27% ↓
2009年 2,171,000
1.99% ↑
2008年 2,128,600
7.27% ↑
2007年 1,984,400
0.62% ↑
2006年 1,972,100
-6.22% ↓
2005年 2,102,900
21.93% ↑
2004年 1,724,700
1.61% ↑
2003年 1,697,400
-2.38% ↓
2002年 1,738,700
-2.65% ↓
2001年 1,786,000
-10.02% ↓
2000年 1,984,800
26.61% ↑
1999年 1,567,700
19.11% ↑
1998年 1,316,200
-34.3% ↓
1997年 2,003,500
7.74% ↑
1996年 1,859,600
5.45% ↑
1995年 1,763,500
-5.09% ↓
1994年 1,858,100
10.67% ↑
1993年 1,678,900
26.18% ↑
1992年 1,330,600
-25.2% ↓
1991年 1,778,800
3.42% ↑
1990年 1,720,000
5.53% ↑
1989年 1,629,900
1.12% ↑
1988年 1,611,800
47.98% ↑
1987年 1,089,200
-36.45% ↓
1986年 1,713,800
-7.55% ↓
1985年 1,853,800
8.07% ↑
1984年 1,715,300
-2.78% ↓
1983年 1,764,400
10.38% ↑
1982年 1,598,500
48% ↑
1981年 1,080,100
-29.57% ↓
1980年 1,533,600
-7.05% ↓
1979年 1,649,900
5.42% ↑
1978年 1,565,100
8.13% ↑
1977年 1,447,400
-6.82% ↓
1976年 1,553,400
25.08% ↑
1975年 1,241,900
28.97% ↑
1974年 962,900
-2.97% ↓
1973年 992,400
-12.96% ↓
1972年 1,140,200
8.16% ↑
1971年 1,054,200
12.94% ↑
1970年 933,400
11.12% ↑
1969年 840,000
17.04% ↑
1968年 717,700
5.42% ↑
1967年 680,800
14.09% ↑
1966年 596,700
18.96% ↑
1965年 501,602
35.68% ↑
1964年 369,700
-24.9% ↓
1963年 492,300
82.27% ↑
1962年 270,100
-26.03% ↓
1961年 365,161 -

フィンランドの大麦生産量は、1960年代から増加しており、1970年代後半から1980年代にかけて1,500,000トン以上を安定的に生産する時期がありました。1990年代にはさらに生産量が増加し、1997年には初めて2,000,000トンを突破しました。その後、2000年代後半には2009年をピークに2,171,000トンという記録的な生産量を達成しましたが、近年のデータでは変動が目立ち、生産量が再び減少する傾向にあります。

大麦はフィンランド農業にとって重要な作物であり、その生産量は国内の需要だけでなく、輸出市場にも大きな影響を与えています。しかしながら、大麦生産における主な課題として、気候変動の影響、農地面積の変化、さらには世界的な市場価格の動向による影響が挙げられます。2021年以降の生産量の減少は、特に近年の異常気象や降水パターンの変化が一因と考えられます。

また、他国との比較を行うと、フィンランドは大麦生産において世界的に中規模の生産国として位置づけられています。同時期のデータを見ると、主要な大麦生産国であるロシアやフランスでは、引き続き競争力を維持している一方、同じ北欧地域のスウェーデンやデンマークでも気候変動への対応策が進んでいます。これに対し、フィンランドでは農業技術の進展や気象条件の変化への柔軟な対応が必要とされています。

気候変動は、大麦の生育に影響を及ぼすだけでなく、農業全体の持続可能性を脅かしています。このような環境下で、フィンランドが農業分野で競争力を維持するためには、予測可能な収穫を目指した精密農業の導入が重要です。また、世界的に需要が増えているオーガニック農作物市場への参入も選択肢となり得ます。さらに、気候変動への適応策として、乾燥に強い品種の開発や、灌漑システムの改善も考えられます。

もう一つの課題として、フィンランド国内の農業従事者の減少があります。若年層が農業を敬遠する傾向が続いており、このままでは人手不足が深刻化する恐れがあります。この問題を解決するためには、農業が魅力的な職業選択肢となるよう、政府や業界団体が支援プログラムや補助金を充実させることが求められます。他国の例を挙げると、ドイツやフランスでは、若い農業者向けに低金利融資や土地アクセスの促進政策が実施されています。こうした取り組みをフィンランドでも積極的に展開するべきでしょう。

地政学的リスクについても触れると、フィンランドはロシアとの国境を有しており、グローバル市場での供給網が影響を受ける可能性があります。輸出市場の多角化や、非常時の国内供給を維持する戦略も、重要なポイントです。

結論として、フィンランドの大麦生産は長期的な増加傾向から近年の変動期に入っていますが、この動向は気候変動や労働力不足、国際競争の影響を受けています。これに対応するためには、農業のイノベーションを進めるとともに、政策面で包括的な支援を行うことが必要です。将来的には、持続可能な農業モデルを確立し、気候リスクを軽減する技術や実装が求められています。