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フィンランドの羊の毛生産量の推移【1961年~2023年】世界ランキング・統計データ

国際連合食糧農業機関(FAO)の最新データによると、フィンランドの羊の毛生産量は、1960年代のピーク時(300トン)から現在まで減少傾向が続いています。特に1976年以降、長期間にわたって低下が進み、近年では77~80トン付近で停滞しています。この推移は、農業・畜産業の転換や経済・社会的要因が影響していると考えられます。

年度 生産量(トン) 増減率
2017年 77
-0.86% ↓
2016年 78
-0.08% ↓
2015年 78
-2.64% ↓
2014年 80
-1.51% ↓
2013年 81
-0.93% ↓
2012年 82
-0.93% ↓
2011年 83
-0.91% ↓
2010年 84
1.21% ↑
2009年 83
-7.32% ↓
2008年 89
-0.88% ↓
2007年 90
4.23% ↑
2006年 86
2.49% ↑
2005年 84
3.45% ↑
2004年 81
1.8% ↑
2003年 80 -
2002年 80 -
2001年 80 -
2000年 80
-20% ↓
1999年 100
-9.09% ↓
1998年 110
-5.97% ↓
1997年 117
-5.19% ↓
1996年 123
-5.09% ↓
1995年 130 -
1994年 130 -
1993年 130
-2.99% ↓
1992年 134
8.94% ↑
1991年 123
-5.38% ↓
1990年 130
1.56% ↑
1989年 128
-8.57% ↓
1988年 140
-4.11% ↓
1987年 146
35.19% ↑
1986年 108
5.88% ↑
1985年 102
0.99% ↑
1984年 101
-0.98% ↓
1983年 102
15.91% ↑
1982年 88
17.33% ↑
1981年 75
-23.47% ↓
1980年 98
-1.01% ↓
1979年 99
-10% ↓
1978年 110
-8.33% ↓
1977年 120
-7.69% ↓
1976年 130
-35% ↓
1975年 200 -
1974年 200 -
1973年 200 -
1972年 200 -
1971年 200 -
1970年 200 -
1969年 200 -
1968年 200 -
1967年 200 -
1966年 200 -
1965年 200 -
1964年 200
-33.33% ↓
1963年 300
14.07% ↑
1962年 263
-8.68% ↓
1961年 288 -
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フィンランドの羊の毛生産量データを詳細に検討すると、1960年代では高い生産量を維持していました。特に1963年には300トンという最大値を記録しています。しかし、1970年代に入ると200トン付近での横ばいが続き、1976年には130トンまで減少しました。それ以降、生産量は緩やかに低下し、1980年代後半には100トン台前半に達しています。その後、更なる下降を経て、2000年代以降は80トン前後で推移しています。

このような減少傾向の背景には、いくつかの要因が考えられます。まず、フィンランドにおける農村部の過疎化と産業構造の変化が挙げられます。繊維工業における化学繊維や人工素材の普及により、羊毛需要が減少しました。また、冷涼な気候下での農業生産性の課題や、EU加盟後の農業政策の影響も指摘されています。他国の廉価な羊毛製品が流入したことも、国内生産量の減少に拍車をかけた可能性が高いです。

さらに、羊毛の生産は地政学的にも他の製品と競争する資源配分の問題を抱えています。羊毛生産に割く土地や労働力が減少した一方で、木材や乳製品など他の主要産業へ傾倒していった点が関係しています。このような状況は、人件費や家畜管理費用増加という問題とも絡んでいます。

特に他国と比較する場合、日本や韓国では羊毛生産はほぼ見られないものの、中国やオーストラリアなどでは依然として大規模な生産が行われています。中国は世界で最大の羊毛生産国であり、大量生産と低コストで世界市場を席巻しています。一方フィンランドの現状は、規模のメリットを活かせないため競争が極めて困難と言えるでしょう。

この分野における未来の課題として、第一に、持続可能な生産システムの構築が重要になります。フィンランドでは環境保全や高品質化への関心が高まっています。これを活かし、高付加価値のオーガニック羊毛製品の開発など、差別化戦略を取ることが有効です。第二に、地元市場や観光産業と連携した地域ブランディングを強化し、「フィンランド製」の付加価値を前面に出すことが考えられます。例えば、エコツーリズムと羊毛生産を結びつけた取り組みは、欧州諸国でも注目されています。第三に、近隣諸国と協力し、北欧地域全体で農業技術や研究成果を共有するプラットフォームを構築することが有効です。

結論として、フィンランドの羊毛生産は過去60年以上の時間をかけて減少しているものの、これを単なる衰退と見るのではなく、質を重視し、小規模ながらも付加価値の高い形で再構築する機会と捉えるべきです。そのためには、国内外での需要動向を見据え、革新と協力を含めた戦略的なアプローチが必要です。

フィンランドの統計データ
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