Skip to main content

セネガルの牛乳生産量推移(1961年~2023年)

FAO(国際連合食糧農業機関)が公表した2024年7月更新のデータによれば、セネガルの牛乳生産量は2023年で221,840トンに達しており、過去数十年間にわたって順調に増加していることがわかります。特に2000年代以降は顕著な増加傾向が見られ、2012年には急激な拡大を示しました。一方で、季節変動や気候問題などの影響で特定年においては減少が確認されています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 221,840
-0.35% ↓
2022年 222,630
0.18% ↑
2021年 222,222
0.7% ↑
2020年 220,667
-1.93% ↓
2019年 225,000
1.81% ↑
2018年 221,000
2.31% ↑
2017年 216,000
-1.82% ↓
2016年 220,000
4.76% ↑
2015年 210,000
7.69% ↑
2014年 195,000
5.52% ↑
2013年 184,791
-1.28% ↓
2012年 187,191
18.15% ↑
2011年 158,431
1.67% ↑
2010年 155,823
6.31% ↑
2009年 146,569
12.94% ↑
2008年 129,780
7.38% ↑
2007年 120,863
16.49% ↑
2006年 103,753
3.58% ↑
2005年 100,170
1.4% ↑
2004年 98,785
3.9% ↑
2003年 95,081
7.35% ↑
2002年 88,575
-14.11% ↓
2001年 103,128
2.51% ↑
2000年 100,601
3.38% ↑
1999年 97,316
2.44% ↑
1998年 94,995
-1.62% ↓
1997年 96,557
2.32% ↑
1996年 94,364
2.7% ↑
1995年 91,882
1.44% ↑
1994年 90,580
2.98% ↑
1993年 87,962
2.52% ↑
1992年 85,799
3.48% ↑
1991年 82,915
2.55% ↑
1990年 80,855
1.07% ↑
1989年 80,000 -
1988年 80,000 -
1987年 80,000 -
1986年 80,000
1.01% ↑
1985年 79,200
2.86% ↑
1984年 77,000
-8.2% ↓
1983年 83,880
0.31% ↑
1982年 83,620
3.23% ↑
1981年 81,000
-7.43% ↓
1980年 87,500
-3.93% ↓
1979年 91,080
-1.93% ↓
1978年 92,870
8.75% ↑
1977年 85,400
-0.33% ↓
1976年 85,680
5.52% ↑
1975年 81,200
12.78% ↑
1974年 72,000
-4% ↓
1973年 75,000
-6.37% ↓
1972年 80,100
-17.05% ↓
1971年 96,570
3.16% ↑
1970年 93,610 -
1969年 93,610
2.02% ↑
1968年 91,760
3.33% ↑
1967年 88,800
-5.88% ↓
1966年 94,350
3.7% ↑
1965年 90,988
2.57% ↑
1964年 88,708
5.62% ↑
1963年 83,990
13.5% ↑
1962年 74,000
6.67% ↑
1961年 69,375 -

セネガルの牛乳生産量は1961年時点では約69,375トンに留まっており、当時の経済や農業技術の整備状況を反映してその規模は小さいものでした。しかしながら、1970年代以降、農業政策や酪農技術の発展、さらには家畜飼育の効率化の影響を受け、生産量が徐々に増加する傾向を示しました。特に2000年代に入ると一段の増加が見られ、2009年には146,569トン、2015年には210,000トンの大台を突破。その後も堅調な成長を続け、2023年には221,840トンという記録を達成しました。

こうした背景には、農業政策の転換と民間セクターの活性化があります。セネガル政府が農業投資を促進し、特に気候に依存する農業から脱却すべく技術支援を強化したことが生産量の増加に寄与しています。また牛乳は栄養面で地域住民の重要なタンパク質源となっており、食料安全保障の観点からもその生産拡大が優先されています。

一方で、データを精査すると1990年代から2000年代初期にかけて周期的な減少が見られ、特に2002年のように前年度から生産量が大幅に減少した年もあります。これは降水量の不足や牧草地の減少が影響していると考えられます。また2020年以降、新型コロナウイルスの流行がサプライチェーンに与えた影響や、家畜飼養資材の調達難で一時的に生産量が停滞している様子も読み取れます。2023年には再び生産量が安定しましたが、予測できない外部要因は引き続き課題となっています。

セネガルの牛乳生産の未来を考えると、気候変動が大きなリスクとして挙げられます。家畜の飼育環境に大きく依存するため、異常気象による干ばつや洪水が今後も生産効率にマイナスの影響を与える可能性があります。特にサヘル地域に位置するセネガルでは農業全体が気候条件に左右されやすいという特徴があるため、耐干ばつ性を持つ牧草品種の導入や灌漑設備の整備が短期的な解決策となりうるでしょう。

加えて、セネガル国内の酪農産業のサプライチェーン強化も急務です。牛乳生産を支えるインフラの整備と、品質認証制度の導入を行い、国内市場向けだけでなく、国外市場への輸出を視野に入れるべきです。この点で注目すべきは、インドやフランスなど国際的に成功している酪農大国の経験です。これらの国々では効率的な冷蔵輸送システムや、農家への資金援助が鍵となり、農村の生産性向上につながっています。

さらに、紛争のリスクを考慮した取り組みも重要です。セネガルは比較的安定した国ではありますが、周辺国との緊張や紛争が地域の安定に影響を与える可能性があります。アフリカ連合(AU)や国際機関との連携を強化し、地域の平和維持と資源管理を進めるべきでしょう。

今後のセネガルの牛乳産業の持続的な発展には、農業と環境の調和を重視しながら、革新的な技術や地域協力の促進を含めた総合的なアプローチが求められます。そのため、国際社会からの技術や資金の支援が不可欠であり、セネガル政府だけでなく世界的な取り組みが鍵となります。セネガルの牛乳生産の向上は、食料安全保障や経済基盤の強化のみならず、気候変動への適応といったグローバルな課題への対応としても注目されるべきです。