国連食糧農業機関(FAO)の最新データによると、2023年のセネガルにおけるサトウキビ生産量は約1,284,000トンでした。特に1970年代初めから、サトウキビの生産量は著しく増加を見せ、1990年代には一定の安定に達しました。2014年以降は再び増加傾向を記録し、2018年には約1,378,000トンとピークを迎えましたが、近年はやや減少に向かう兆候も見られます。このデータは、セネガルの農業部門の変遷や、気候や経済政策、技術向上などの影響を反映しています。
セネガルのサトウキビ生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
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2023年 | 1,283,824 |
5.07% ↑
|
2022年 | 1,221,913 |
-3.02% ↓
|
2021年 | 1,260,000 |
-3.08% ↓
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2020年 | 1,300,000 |
-6.47% ↓
|
2019年 | 1,390,000 |
0.87% ↑
|
2018年 | 1,378,000 |
1.7% ↑
|
2017年 | 1,355,000 |
12.45% ↑
|
2016年 | 1,205,000 |
4.69% ↑
|
2015年 | 1,151,000 |
16.03% ↑
|
2014年 | 992,000 |
5.42% ↑
|
2013年 | 941,000 |
-1.05% ↓
|
2012年 | 951,000 |
2.26% ↑
|
2011年 | 930,000 |
3.45% ↑
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2010年 | 899,000 |
7.54% ↑
|
2009年 | 836,000 | - |
2008年 | 836,000 | - |
2007年 | 836,000 |
0.78% ↑
|
2006年 | 829,500 |
0.06% ↑
|
2005年 | 829,000 |
0.06% ↑
|
2004年 | 828,533 |
-0.13% ↓
|
2003年 | 829,604 |
1.21% ↑
|
2002年 | 819,713 |
-2.43% ↓
|
2001年 | 840,109 |
-1.16% ↓
|
2000年 | 850,000 |
-4.39% ↓
|
1999年 | 889,000 |
0.23% ↑
|
1998年 | 887,000 |
0.11% ↑
|
1997年 | 886,000 |
0.11% ↑
|
1996年 | 885,000 |
0.24% ↑
|
1995年 | 882,900 |
3.18% ↑
|
1994年 | 855,700 |
0.67% ↑
|
1993年 | 850,000 |
1.6% ↑
|
1992年 | 836,602 |
3.6% ↑
|
1991年 | 807,527 |
14.25% ↑
|
1990年 | 706,806 |
-4.34% ↓
|
1989年 | 738,845 |
-4.05% ↓
|
1988年 | 770,000 |
1.32% ↑
|
1987年 | 760,000 |
2.7% ↑
|
1986年 | 740,000 |
8.82% ↑
|
1985年 | 680,000 |
-19.72% ↓
|
1984年 | 847,000 |
10% ↑
|
1983年 | 770,000 |
28.33% ↑
|
1982年 | 600,000 | - |
1981年 | 600,000 |
26.85% ↑
|
1980年 | 473,000 |
28.88% ↑
|
1979年 | 367,000 |
46.8% ↑
|
1978年 | 250,000 |
-17.76% ↓
|
1977年 | 304,000 |
42.72% ↑
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1976年 | 213,000 |
21.02% ↑
|
1975年 | 176,000 |
238.46% ↑
|
1974年 | 52,000 |
246.67% ↑
|
1973年 | 15,000 |
7400% ↑
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1972年 | 200 | - |
セネガルのサトウキビ生産量の推移は、農業分野における変化と国の政策の影響を示す興味深い例となっています。1972年の僅か200トンという低水準から、2023年には約1,284,000トンに達するまで、約51年間で著しい成長を遂げました。この増加は1973年から1983年までの急成長期や、2010年代後半の再急伸期といった特定の局面で特に顕著です。
生産量が急増した背景には、灌漑インフラの整備や高収量品種の導入など、セネガル農業部門における技術革新が挙げられます。また、国際的な砂糖需要の高まりや、農業輸出を強化する政策も大きな役割を果たしました。その一方で、1990年代から2000年代初期にかけては、800,000トン台に収束し、生産量の増加が一時的に停滞しました。これには、市場の価格変動、厳しい気候条件、さらに設備老朽化による効率の低下が影響していると考えられます。
2010年代に入ると、再び顕著な増加傾向が確認されています。これは、グローバル市場での砂糖需要増加や、セネガル政府が進めた持続可能な農業政策の効果であると見られます。特に2015年の1,151,000トンから2018年の1,378,000トンへの増加は目を見張るものがあります。しかし、2020年以降はやや減少傾向が見られ、2022年には約1,221,913トンまで減少しました。この背景としては新型コロナウイルス感染症の影響で物流や労働力の確保が困難化したことや、気候変動による干ばつなど自然現象の影響が挙げられます。
地政学的リスクの側面を考えると、サトウキビの農業用地が一部の地域で他用途への転用を受けているほか、土壌の劣化や水資源の枯渇が進行しています。セネガルに於いて多くの農業地域は、サヘル地帯に位置し、乾燥化の進行が地元住民への生活基盤の影響を与える深刻なリスクを抱えます。これらの問題への対策は、サトウキビ生産量を維持し、将来的な活性化を図るために重要です。
課題への具体的な取り組み案としては、第一に、灌漑システムのさらなる近代化と水資源管理の強化が必要です。これにより、気候変動による干ばつリスクに適応する体制が整います。第二に、土壌改良と連動した持続可能な農法の推進が挙げられます。第三に、地域協力を通じた砂糖産業の輸出促進を進めるべきです。これは、周辺諸国とのパートナーシップ形成や、関税政策などでの支援を含みます。
最終的にセネガルが持続可能なサトウキビ生産体制を築くためには、国際社会との協働も視野に入れる必要があります。国連や地域体制が主体として主導する水資源管理や農業技術の移転が有効な方法です。その他、セネガル国内外で労働力供給を改善するための教育・研修プログラムの拡充も求められるでしょう。
長期的には、セネガルのサトウキビ生産の成功は、単に生産量だけでなく地域経済や雇用の安定、そして地球全体の持続可能な農業発展にも影響を及ぼす重要な事例となり得ます。今後も国内外の関係者が協力し、このトレンドを支える努力が欠かせません。