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パプアニューギニアの牛乳生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、パプアニューギニアの牛乳生産量は1961年の1,380トンから1973年に1,703トンに達し、ここでピークを迎えた後、1980年代を通じて急激に減少を見せました。2000年代に入ると生産量はある程度の安定を取り戻し、2023年には164トンとわずかな増加が見られます。しかし、1960年代や1970年代の生産水準からは依然として大幅に下回っています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 164
0.39% ↑
2022年 163
-0.04% ↓
2021年 163
-0.04% ↓
2020年 163
-0.04% ↓
2019年 163
-0.13% ↓
2018年 164
-3.74% ↓
2017年 170
-2.86% ↓
2016年 175
2.94% ↑
2015年 170
-2.86% ↓
2014年 175
-2.78% ↓
2013年 180 -
2012年 180 -
2011年 180
2.86% ↑
2010年 175
-5.41% ↓
2009年 185
2.78% ↑
2008年 180
2.86% ↑
2007年 175
2.94% ↑
2006年 170
3.03% ↑
2005年 165
3.13% ↑
2004年 160
3.23% ↑
2003年 155
-3.13% ↓
2002年 160
2.56% ↑
2001年 156
4% ↑
2000年 150
15.38% ↑
1999年 130 -
1998年 130
-8.45% ↓
1997年 142
5.19% ↑
1996年 135
-6.9% ↓
1995年 145
3.57% ↑
1994年 140
-3.45% ↓
1993年 145
-3.33% ↓
1992年 150
2.74% ↑
1991年 146
-2.67% ↓
1990年 150
-9.09% ↓
1989年 165
6.45% ↑
1988年 155
-3.13% ↓
1987年 160
-3.03% ↓
1986年 165
-9.84% ↓
1985年 183
10.24% ↑
1984年 166
-11.7% ↓
1983年 188
-18.26% ↓
1982年 230
-33.53% ↓
1981年 346
-25.43% ↓
1980年 464
-2.52% ↓
1979年 476
14.42% ↑
1978年 416
-19.69% ↓
1977年 518
-33.59% ↓
1976年 780
-17.89% ↓
1975年 950
-23.08% ↓
1974年 1,235
-27.48% ↓
1973年 1,703
10.58% ↑
1972年 1,540
14.5% ↑
1971年 1,345
-20.79% ↓
1970年 1,698
19.75% ↑
1969年 1,418
-10.71% ↓
1968年 1,588
-0.44% ↓
1967年 1,595
10.38% ↑
1966年 1,445
-1.16% ↓
1965年 1,462
2.17% ↑
1964年 1,431
6.39% ↑
1963年 1,345
-7.24% ↓
1962年 1,450
5.07% ↑
1961年 1,380 -

パプアニューギニアの牛乳生産量は、1961年の1,380トンから1973年に1,703トンに達するまで着実な増加傾向を示しました。これは、当時の農業政策の支援や畜産業の強化が寄与していると考えられます。しかし、1973年以降、生産量は急激に減少に転じ、1970年代後半には1,000トンを割り、さらに1980年代には200トン未満に落ち込む深刻な状況となりました。この減少は、国内の政治的動揺や経済的困難、農村開発の停滞、さらに道路や冷蔵設備といったインフラ不足が大きな要因となっていると思われます。

2000年代になると、生産量は再び緩やかな回復を見せ、2022年から2023年には163トンから164トンと横ばい状態となっています。この期間、牛乳生産量がわずかながら安定した背景には、小規模農家への支援や政府による畜産業振興の試み、また国際的な技術協力が挙げられるでしょう。しかし、これらの施策が抜本的な改革となるにはいたらず、現在も国内需要を満たすには十分な量とはいえません。

国際的な視点でみると、パプアニューギニアの牛乳生産量は主要な生産国と比較して極めて小規模です。例えば、2023年時点でアメリカやインドなどの牛乳主要生産国では年間1億トンを超える規模であるのに対し、パプアニューギニアはその0.0001%にも満たない状況です。この差は、農業インフラの発展の格差や技術的支援の不足、政策対象としての優先度の低さによるものと考えられます。

生産量の低下が農村経済に与えた負の影響も見逃せません。畜産業が縮小した結果、農家は現金収入の機会を失い、他の燃料や食料品の輸入に依存する度合いが深まりました。また、国内の栄養事情も悪化し、特に子どもや若年層の成長に不可欠な乳製品の不足が、健康や発育に悪影響を及ぼしています。

この背景には、地政学的な課題も密接に関連しています。パプアニューギニアは太平洋諸島の一部であるため、輸送コストの高さや自然災害のリスクが畜産業の発展を妨げています。さらに、気候変動の影響により土地の劣化が加速し、牧草地の維持と生産基盤の確保が難しくなっている点も考慮すべきです。

将来に向けて、牛乳生産の増加と畜産業の復活にはいくつかの具体的な施策が検討されるべきです。例えば、国内で安価かつ持続可能な冷蔵輸送ネットワークを構築することで農村部から都市部への流通を円滑にし、小規模農家への低利融資制度や技術支援プログラムを導入することで、原材料生産の支援が期待されます。また、気候変動に対する国家レベルの適応戦略も重要です。例えば、耐干ばつ性の高い牧草や家畜品種の導入はその一例です。さらに、国際社会との連携を強化し、他国の実例を参考にした最新技術の導入や研修制度の拡充も効果的でしょう。

結論として、パプアニューギニアの牛乳生産量の推移データは、持続可能な畜産業の課題とその重要性を再認識させるものです。国や国際機関は、生産効率の向上だけでなく、食料安全保障や栄養改善の側面でもこの問題に積極的に取り組む必要があります。継続的な支援とインフラ整備、気候適応戦略の推進が鍵となり、最終的には地域経済および国民生活の向上に寄与することでしょう。