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パプアニューギニアの豚飼育数推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)の2024年更新データによると、パプアニューギニアにおける豚の飼育数は1961年の600,000頭から長期的に増加傾向を示し、2022年には2,121,456頭に達しています。この間、特に1990年代から2000年代初頭にかけて大幅な増加が見られましたが、一部の年では停滞も見られました。近年では増加ペースがやや鈍化しており、2020年以降は2,100,000頭前後で推移しています。

年度 飼育数(頭) 増減率
2023年 2,137,122
0.74% ↑
2022年 2,121,456
1.42% ↑
2021年 2,091,735
1.35% ↑
2020年 2,063,958
-2.38% ↓
2019年 2,114,308
3.73% ↑
2018年 2,038,249
0.71% ↑
2017年 2,023,838
0.55% ↑
2016年 2,012,692
0.35% ↑
2015年 2,005,702
0.29% ↑
2014年 2,000,000 -
2013年 2,000,000
-2.44% ↓
2012年 2,050,000
2.5% ↑
2011年 2,000,000
2.56% ↑
2010年 1,950,000
2.63% ↑
2009年 1,900,000
2.7% ↑
2008年 1,850,000 -
2007年 1,850,000
2.78% ↑
2006年 1,800,000 -
2005年 1,800,000 -
2004年 1,800,000 -
2003年 1,800,000 -
2002年 1,800,000
5.88% ↑
2001年 1,700,000
9.68% ↑
2000年 1,550,000 -
1999年 1,550,000 -
1998年 1,550,000
3.33% ↑
1997年 1,500,000
3.45% ↑
1996年 1,450,000
3.57% ↑
1995年 1,400,000
7.69% ↑
1994年 1,300,000
8.33% ↑
1993年 1,200,000
9.09% ↑
1992年 1,100,000
10% ↑
1991年 1,000,000 -
1990年 1,000,000
1.01% ↑
1989年 990,000
1.54% ↑
1988年 975,000
1.56% ↑
1987年 960,000
1.05% ↑
1986年 950,000
1.06% ↑
1985年 940,000
2.17% ↑
1984年 920,000
1.1% ↑
1983年 910,000
1.11% ↑
1982年 900,000
2.27% ↑
1981年 880,000
1.15% ↑
1980年 870,000
1.16% ↑
1979年 860,000
2.99% ↑
1978年 835,000
1.83% ↑
1977年 820,000
1.23% ↑
1976年 810,000
2.53% ↑
1975年 790,000
1.94% ↑
1974年 775,000
2.65% ↑
1973年 755,000
2.03% ↑
1972年 740,000
2.07% ↑
1971年 725,000
2.11% ↑
1970年 710,000
2.16% ↑
1969年 695,000
2.21% ↑
1968年 680,000
3.03% ↑
1967年 660,000
1.54% ↑
1966年 650,000
1.56% ↑
1965年 640,000
1.59% ↑
1964年 630,000
1.61% ↑
1963年 620,000
1.64% ↑
1962年 610,000
1.67% ↑
1961年 600,000 -

豚の飼育数の推移を見ると、パプアニューギニアでは1960年代から堅調な増加が続いてきたことがわかります。このデータは、同国の農業政策や社会経済状況の変化、また豚肉の需要の増加などが農業生産へ与えた影響を反映していると考えられます。特に1990年代の急増は注目に値します。1990年に1,000,000頭であった飼育数が1995年には1,400,000頭、さらに2001年には1,700,000頭と短期間で急激に増加しました。この増加には、農村部での豚肉重要性が高まり、農家による小規模養豚の従事者が増加したことが背景にあるとされています。

また、2000年代後半以降は急激な増加から、やや緩やかな推移へと変化が見られます。例えば2005年から2011年の間は1,800,000頭から2,000,000頭に僅か200,000頭しか増えていません。この変化の要因として、国内の土地利用の競合や天然災害などの外的要因、ならびに伝染病の発生リスクが挙げられます。加えて、2013年から2014年にかけて頭数が横ばいになる動きが発生したことから、生産性向上の課題が浮き彫りとなっています。

さらに、新型コロナウイルス感染症の影響が現れた2020年には飼育数が減少しており、2020年には2,063,958頭でした。これは、物流や市場機会の制約、輸出入の停滞が農家に与えた負担を象徴しているといえます。2021年以降は回復基調に戻り、2022年には2,121,456頭に達している点からも、経済活動再開の影響が伺えます。

パプアニューギニアにおける養豚業は数千年にわたる歴史をもち、豚はただの食材ではなく社会文化的にも重要性が高い動物です。結婚の儀式や社会的地位の象徴としての利用が今日でも根強く、養豚業は単なる食品生産以上の意味を帯びています。しかし、増加した飼育数は課題も生み出しています。現地の地理的制約や気候条件、また飼料供給の安定化が難しく、多頭数を維持するための環境整備が急務とされています。

今後、環境問題への対応や資源利用の効率化が重要となるでしょう。例えば養豚の排泄物の処理を改善することで、環境負荷を低減する取り組みが求められます。また、家畜疾病の管理も引き続き必須事項です。アフリカ豚熱(ASF)のような感染症が周辺地域で問題化している中、国内への侵入を防ぐための制度改良が必要でしょう。さらに、持続可能性を考慮した地元産飼料の生産促進も推奨されます。これは飼料輸入の依存を減らし、コスト軽減と農家の所得向上にもつながる可能性があります。

地域課題としては、農村部のインフラ未整備が挙げられます。生産者が都市部の市場まで豚を運ぶための道路や交通網の不備が競争力を低下させています。この点については、公共投資を通じたインフラ整備が地域活性化を促進する形で大きな効果を生むと考えられます。さらに、地域統合協力を強化し、アジア市場との連携を図ることで輸出機会の拡大を目指すべきです。

また、地政学的背景として、パプアニューギニアは他国に比べて気候変動の影響を受けやすい地域に位置しているため、自然災害が養豚業の安定性に与えるリスクも考慮する必要があります。今後、気候変動に適応した養豚技術の普及や防災体制の強化が求められるとともに、豊富な自然資源を生かした環境問題にも配慮した養豚業のモデルが構築されるべきです。

総じて、豚飼育数の推移には経済的発展や需要の変動が影響を与えていますが、持続可能性と効率性を高めるための政策的措置が必要です。国際機関や援助機関と連携し、家畜管理技術の向上、市場インフラの整備、環境政策の強化を図ることで、同国の養豚業の未来をより明るいものにすることができるでしょう。