国際連合食糧農業機関(FAO)の最新データによると、パプアニューギニアの落花生生産量は、1961年の3,379トンをピークに1970年代以降低迷期に入りましたが、2000年代後半から徐々に回復傾向を見せ、2023年には1,547トンとなりました 長きにわたる低生産量の時期を経て、21世紀に入り改善の兆しが見られる一方、生産量はなおも安定せず、さらなる政策改善が求められる状況です。
パプアニューギニアの落花生生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
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2023年 | 1,547 |
1.84% ↑
|
2022年 | 1,519 |
-0.33% ↓
|
2021年 | 1,524 |
0.18% ↑
|
2020年 | 1,521 |
0.63% ↑
|
2019年 | 1,512 |
-1.77% ↓
|
2018年 | 1,539 |
1.73% ↑
|
2017年 | 1,513 |
2% ↑
|
2016年 | 1,483 |
1.77% ↑
|
2015年 | 1,457 |
1.95% ↑
|
2014年 | 1,430 |
1.5% ↑
|
2013年 | 1,408 |
2.16% ↑
|
2012年 | 1,379 |
2.53% ↑
|
2011年 | 1,345 |
1.65% ↑
|
2010年 | 1,323 |
0.97% ↑
|
2009年 | 1,310 |
0.77% ↑
|
2008年 | 1,300 |
4% ↑
|
2007年 | 1,250 |
4.17% ↑
|
2006年 | 1,200 | - |
2005年 | 1,200 |
25% ↑
|
2004年 | 960 |
-20% ↓
|
2003年 | 1,200 |
20% ↑
|
2002年 | 1,000 | - |
2001年 | 1,000 | - |
2000年 | 1,000 | - |
1999年 | 1,000 | - |
1998年 | 1,000 |
42.86% ↑
|
1997年 | 700 |
-21.59% ↓
|
1996年 | 893 |
0.42% ↑
|
1995年 | 889 |
-0.06% ↓
|
1994年 | 890 |
2.63% ↑
|
1993年 | 867 |
-0.69% ↓
|
1992年 | 873 |
0.97% ↑
|
1991年 | 865 |
-3.84% ↓
|
1990年 | 899 |
-10.1% ↓
|
1989年 | 1,000 | - |
1988年 | 1,000 | - |
1987年 | 1,000 | - |
1986年 | 1,000 | - |
1985年 | 1,000 | - |
1984年 | 1,000 | - |
1983年 | 1,000 | - |
1982年 | 1,000 | - |
1981年 | 1,000 | - |
1980年 | 1,000 | - |
1979年 | 1,000 | - |
1978年 | 1,000 | - |
1977年 | 1,000 | - |
1976年 | 1,000 | - |
1975年 | 1,000 |
-33.33% ↓
|
1974年 | 1,500 |
7.14% ↑
|
1973年 | 1,400 |
-37.78% ↓
|
1972年 | 2,250 |
-2.17% ↓
|
1971年 | 2,300 |
9.52% ↑
|
1970年 | 2,100 |
25.75% ↑
|
1969年 | 1,670 |
-21.23% ↓
|
1968年 | 2,120 |
-3.64% ↓
|
1967年 | 2,200 |
20.22% ↑
|
1966年 | 1,830 |
12.68% ↑
|
1965年 | 1,624 |
-23.79% ↓
|
1964年 | 2,131 |
-8.81% ↓
|
1963年 | 2,337 |
-37.33% ↓
|
1962年 | 3,729 |
10.36% ↑
|
1961年 | 3,379 | - |
パプアニューギニアの落花生生産量の推移を見てみると、1960年代には比較的高水準の生産量を記録していましたが、1970年代には急激な生産量の減少が見られます。この現象にはいくつかの背景が考えられます。一つには、この地域における伝統的な農業技術の限界が影響した可能性があります。また、インフラの未整備や市場の未発達といった外的要因も一次産業の持続可能性を妨げたと考えられます。
さらに、1970年代から1980年代のデータを見ると、生産量は約1,000トンでほぼ横ばい状態であることがわかります。この時期には、国内外における作物の需要減少や、他の農産物への転向など、落花生栽培への関心が低下した可能性があります。1990年代に入っても、生産量が著しく増加することはなく、730トンから1,000トンの間を推移しています。これらのデータは、外部の市場リスクや農家の資金不足が生産力に影響を与えた可能性を示唆しています。
一方、2000年代に入ると生産量がゆるやかに増加を始め、2010年代後半以降は特筆すべき安定成長が見られます。特に2011年からの年均成長率は概ね1%以上を記録しており、2023年には1,547トンと、近年では過去最も高い値を示しています。この成長には、国際市場での落花生需要の高まりや、国内農業振興に関する政策的取り組みが影響を与えた可能性があります。また、品種改良や農業資材の供給拡大といった技術面での改善も寄与したと考えることができます。
しかし、生産量が依然として1960年代のピークに到達していない点や、近隣諸国との比較において競争力を保つ必要がある点は重要な課題として残っています。たとえば、中国やインドの落花生生産量は世界トップクラスである一方、パプアニューギニアはそれらと比較して生産量や国際市場でのシェアが依然として限定的です。他の太平洋島嶼地域と比較してみても、輸出規模の小ささが経済的なネックとなり得るでしょう。
このような状況を踏まえると、当面の改善課題として以下の点が挙げられるでしょう。第一に、農家への技術支援をさらに強化することが求められます。特に、持続可能な農業技術の導入と効率的な土地利用が重要です。第二に、輸出先市場の多角化に向けた取り組みも不可欠です。中国やインド、アフリカ諸国のように落花生が需要の高い国々と連携し、輸出コスト削減や関税緩和を進める必要があります。第三に、政治的不安定や気候変動による災害リスクを軽減するための環境政策が必要です。
落花生生産はパプアニューギニアの農村地域での雇用創出や所得向上に大きく寄与する可能性を秘めているため、今後ますます重要性が増す分野です。国際機関や隣国との協力を強化し、政策的な手厚い支援を進めることで、これらの課題を乗り越え、国内外での競争力を高めることが期待されます。