国際連合食糧農業機関(FAO)の最新データによると、パプアニューギニアにおけるジャガイモの生産量は、1961年のわずか88トンから、2022年には1,248トンにまで増加しました。特に2000年代に入ってから急速な成長が見られ、1990年代から2020年代にかけて生産量が約4倍に増加しています。しかし、近年は1,200トン前後で横ばいとなっており、さらなる拡大には新たな課題への対応が必要です。
パプアニューギニアのジャガイモ生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
---|---|---|
2023年 | 1,263 |
1.24% ↑
|
2022年 | 1,248 |
0.2% ↑
|
2021年 | 1,245 |
-0.45% ↓
|
2020年 | 1,251 |
0.29% ↑
|
2019年 | 1,247 |
0.78% ↑
|
2018年 | 1,237 |
-2.38% ↓
|
2017年 | 1,267 |
2.54% ↑
|
2016年 | 1,236 |
2.3% ↑
|
2015年 | 1,208 |
0.81% ↑
|
2014年 | 1,199 |
-0.11% ↓
|
2013年 | 1,200 |
20% ↑
|
2012年 | 1,000 |
-4.01% ↓
|
2011年 | 1,042 |
2.5% ↑
|
2010年 | 1,016 |
1.64% ↑
|
2009年 | 1,000 |
2.04% ↑
|
2008年 | 980 |
8.89% ↑
|
2007年 | 900 |
1.78% ↑
|
2006年 | 884 |
-1.75% ↓
|
2005年 | 900 |
11.11% ↑
|
2004年 | 810 |
1.25% ↑
|
2003年 | 800 |
9.85% ↑
|
2002年 | 728 |
5.6% ↑
|
2001年 | 690 |
-1.49% ↓
|
2000年 | 700 |
16.67% ↑
|
1999年 | 600 |
20% ↑
|
1998年 | 500 |
42.86% ↑
|
1997年 | 350 |
-18.69% ↓
|
1996年 | 430 |
7.62% ↑
|
1995年 | 400 |
14.29% ↑
|
1994年 | 350 |
-12.5% ↓
|
1993年 | 400 |
17.65% ↑
|
1992年 | 340 |
10.93% ↑
|
1991年 | 307 |
-2.7% ↓
|
1990年 | 315 |
1.61% ↑
|
1989年 | 310 | - |
1988年 | 310 |
-43.33% ↓
|
1987年 | 547 |
15.89% ↑
|
1986年 | 472 |
96.67% ↑
|
1985年 | 240 |
-1.23% ↓
|
1984年 | 243 |
42.11% ↑
|
1983年 | 171 |
4.27% ↑
|
1982年 | 164 |
-51.62% ↓
|
1981年 | 339 |
-15.46% ↓
|
1980年 | 401 |
174.66% ↑
|
1979年 | 146 |
239.53% ↑
|
1978年 | 43 |
-2.27% ↓
|
1977年 | 44 |
120% ↑
|
1976年 | 20 |
-41.18% ↓
|
1975年 | 34 |
-86.07% ↓
|
1974年 | 244 |
-45.54% ↓
|
1973年 | 448 |
84.36% ↑
|
1972年 | 243 |
333.93% ↑
|
1971年 | 56 |
40% ↑
|
1970年 | 40 |
1900% ↑
|
1969年 | 2 |
-88.24% ↓
|
1968年 | 17 |
-89.82% ↓
|
1967年 | 167 |
377.14% ↑
|
1966年 | 35 | - |
1965年 | 35 |
-32.69% ↓
|
1964年 | 52 |
-52.29% ↓
|
1963年 | 109 |
14.74% ↑
|
1962年 | 95 |
7.95% ↑
|
1961年 | 88 | - |
パプアニューギニアのジャガイモ生産量は、1960年代の不安定なスタートから始まりました。この頃、年間20トンから100トン程度の小規模な生産が続いていましたが、1970年代半ばまでには一時的な減少が見られました。その後、1980年代から生産量が徐々に安定し始め、特に1990年代以降は持続的な成長が確認できます。この成長は、国内の農業政策の充実や、ジャガイモが国内市場や輸出市場での需要増加と関連があると考えられます。
注目すべきは、2000年以降の大幅な生産量の増加です。2000年には700トンに達し、2005年ごろには900トン、2008年には初めて1,000トンを超えました。この劇的な伸びは、新しい農業技術や品種の導入、国内の食糧安全保障向上の取り組みなどが寄与した可能性があります。一方で、2020年代に入ると増加ペースは鈍化し、2022年には1,248トンと近年は横ばいの傾向が続いています。
このような生産量の傾向には、いくつかの課題と影響が関与しています。パプアニューギニアは、地形が山岳地帯を中心としておりインフラ整備が不十分であることから、収穫後の流通や保管に難点があります。また、自然災害や気候変動による影響を受けやすい地理的特性が、農業全体にとって大きなリスクとなっています。この地域では頻発する豪雨や洪水が、作物生育に悪影響を及ぼしています。
さらに、新型コロナウイルス感染症の影響も、間接的ではありますが生産や流通に波及しました。特に国際貿易や物流が制限されたことにより、輸出や農業機械の輸入などに遅れが生じ、生産拡大に向けた投資が停滞した可能性があります。
こうした現状を踏まえ、今後の政策としては、まず流通インフラの整備を進めることが重要です。山岳地帯に適応した小型農業車両の導入や、冷蔵保存設備の設置を拡大することで、生産後の作物損失を減らすことができます。また、気候変動によるリスクを軽減するため、災害リスク管理を強化し、耐候性の高いジャガイモ品種の研究開発を行う必要があります。
さらに、国際市場への輸出促進を視野に入れたマーケティング施策も重要です。中国やインドといった近隣アジア諸国では、ジャガイモの需要が高まりつつあり、品質管理を徹底することで競争力を強化することが可能です。また、地域の農家を支援するため、協同組合の設立や農業従事者への教育プログラムを推進することで、生産効率をさらに高める道筋を作るべきです。
結論として、パプアニューギニアのジャガイモ生産は過去60年で大きく成長しましたが、この成果を継続し、さらなる飛躍を遂げるためには、インフラの強化、気候変動への適応、国際市場への開放といった複合的なアプローチが求められます。国内外の政策協力を通じ、持続可能な農業モデルの確立を目指すことが必要です。