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パプアニューギニアのサトウキビ生産量推移(1961年~2023年)

Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)の最新データによると、パプアニューギニアのサトウキビ生産量は長期にわたり不安定な推移を示しています。2023年の生産量は320,798トンで、ピークである1999年の430,000トンと比較して減少が続いています。20世紀後半の急激な増加と、2000年代後半以降の減少傾向が特徴的です。この背景には、地域の農業環境の変化や国の政策動向が関与していると考えられます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 320,798
-8.05% ↓
2022年 348,884
-0.42% ↓
2021年 350,350
-0.28% ↓
2020年 351,317
0.38% ↑
2019年 350,000 -
2018年 350,000 -
2017年 350,000 -
2016年 350,000 -
2015年 350,000 -
2014年 350,000
9.38% ↑
2013年 320,000
-13.51% ↓
2012年 370,000
-2.63% ↓
2011年 380,000 -
2010年 380,000
15.15% ↑
2009年 330,000 -
2008年 330,000
3.13% ↑
2007年 320,000 -
2006年 320,000
-13.04% ↓
2005年 368,000
-16.74% ↓
2004年 442,000
-0.67% ↓
2003年 445,000
4.71% ↑
2002年 425,000
-5.56% ↓
2001年 450,000
17.49% ↑
2000年 383,000
-10.93% ↓
1999年 430,000
7.5% ↑
1998年 400,000
1.27% ↑
1997年 395,000
-5.95% ↓
1996年 420,000
5% ↑
1995年 400,000
33.33% ↑
1994年 300,000
-11.76% ↓
1993年 340,000
-2.86% ↓
1992年 350,000
12.9% ↑
1991年 310,000
24% ↑
1990年 250,000
-5.66% ↓
1989年 265,000
-8.93% ↓
1988年 291,000
26.52% ↑
1987年 230,000
52.32% ↑
1986年 151,000
-43.02% ↓
1985年 265,000
-18.21% ↓
1984年 324,000 -
1983年 324,000
26.56% ↑
1982年 256,000
146.15% ↑
1981年 104,000
919.61% ↑
1980年 10,200
2% ↑
1979年 10,000
2.04% ↑
1978年 9,800
2.08% ↑
1977年 9,600
1.05% ↑
1976年 9,500
2.15% ↑
1975年 9,300
2.2% ↑
1974年 9,100
1.11% ↑
1973年 9,000
1.12% ↑
1972年 8,900
2.3% ↑
1971年 8,700
2.35% ↑
1970年 8,500
2.41% ↑
1969年 8,300
1.22% ↑
1968年 8,200
1.23% ↑
1967年 8,100
1.25% ↑
1966年 8,000 -
1965年 8,000
1.27% ↑
1964年 7,900 -
1963年 7,900
1.28% ↑
1962年 7,800 -
1961年 7,800 -

パプアニューギニアは熱帯気候を持つ国であり、農業が経済の主要産業の一つです。その中でサトウキビは大切な作物の一つですが、生産の推移を見ると、幾つかの重要な変化が見られます。1960年代から1970年代初頭にかけて、穏やかな増加傾向にありましたが、1980年代に入ると急激な増産を達成しました。特に1981年から1983年にかけての急拡大(104,000トンから324,000トンへの増加)は、農業技術の導入や政策的な後押しによるものと推測されます。しかしその後、生産量は大きな波を伴いながら推移しています。

2000年代になると、全体的に生産量は減少傾向にあります。特に2005年以降の減少は顕著で、2023年には再び減少が進み、ピークである1999年の430,000トン時代と比べて約25%も下落しています。この要因の一つとして、気候変動の影響が挙げられます。パプアニューギニアでは、熱帯サイクロンや異常気象といった気候変化が農地に大きな影響を与えるケースが増えています。また、農業インフラの未整備や熟練労働者不足も、安定的な生産の足かせとなっている可能性があります。

さらに、地政学的な背景もこの分野に影響を与えていると言えます。例えば、主要な輸出産業としての発展が遅れたのは、国内の交通インフラの整備が追いつかないことや、資源の偏在による地域間格差が背景にあります。また、他国との競争、特にフィリピンやインドなど同じアジア太平洋地域の農業強国との比較で劣後した点が問題の一つとして挙げられます。

新型コロナウイルスの流行により農業労働力の減少や輸出経路の混乱も見られましたが、2023年時点では回復が進みつつあります。ただし依然として生産量は過去のピーク時に遙かに及んでおらず、持続的な回復には政策的なアプローチが重要です。

未来への提言として、まず農業インフラの整備を挙げるべきです。輸送網の改善や農地の灌漑設備拡充が安定した生産量につながります。また、気候適応型農業技術の導入を進めることが必要です。例えば、高温や干ばつに強いサトウキビ品種の研究開発に注力することが考えられます。さらに、国際協力を通じた技術共有や支援を促進することで、持続可能な生産体制の確立が期待されます。

また、他国との比較を踏まえると、インドやブラジルなどサトウキビの主要生産国との協力や技術交流を深めることが効果的です。これにより収量の向上や生産効率の改善が見込まれます。また国内の若年労働力を農業に取り込むための教育プログラムの充実も必要です。

結論として、パプアニューギニアのサトウキビ生産は自然災害やインフラ不足の影響を受けて不安定ですが、適切な政策措置のもとで再び拡大が期待されています。これにより、農業部門の強化と地域経済の向上が可能となるでしょう。国際的な協力を含めた包括的なアプローチが、将来的な安定と成長をもたらす鍵となります。