国際連合食糧農業機関(FAO)のデータによると、パプアニューギニアの馬肉生産量は、1961年の41トンをピークに一時的に減少し、その後、緩やかな増加と停滞期を繰り返してきました。近年では安定傾向にあり、2023年には45トンの生産量を記録しています。このデータは、パプアニューギニアにおける馬肉の生産が、国内需要や畜産業の発展、さらには地政学的・経済的背景による影響を受けていることを示唆しています。
パプアニューギニアの馬肉推移(1961年~2023年)
年度 | (トン) | 増減率 |
---|---|---|
2023年 | 45 |
-0.29% ↓
|
2022年 | 45 |
0.38% ↑
|
2021年 | 45 |
0.36% ↑
|
2020年 | 45 |
0.09% ↑
|
2019年 | 45 |
0.81% ↑
|
2018年 | 44 |
-0.87% ↓
|
2017年 | 45 |
-0.25% ↓
|
2016年 | 45 |
-0.36% ↓
|
2015年 | 45 |
0.02% ↑
|
2014年 | 45 |
-1.4% ↓
|
2013年 | 46 |
-0.04% ↓
|
2012年 | 46 |
-7.74% ↓
|
2011年 | 50 |
3.13% ↑
|
2010年 | 48 |
3.23% ↑
|
2009年 | 47 |
3.33% ↑
|
2008年 | 45 | - |
2007年 | 45 | - |
2006年 | 45 | - |
2005年 | 45 | - |
2004年 | 45 | - |
2003年 | 45 | - |
2002年 | 45 |
66.67% ↑
|
2001年 | 27 |
-40% ↓
|
2000年 | 45 | - |
1999年 | 45 | - |
1998年 | 45 |
25% ↑
|
1997年 | 36 |
6.67% ↑
|
1996年 | 34 |
-10% ↓
|
1995年 | 38 | - |
1994年 | 38 |
19.05% ↑
|
1993年 | 32 |
2.44% ↑
|
1992年 | 31 |
2.5% ↑
|
1991年 | 30 |
2.56% ↑
|
1990年 | 29 |
2.63% ↑
|
1989年 | 29 |
5.56% ↑
|
1988年 | 27 | - |
1987年 | 27 |
12.5% ↑
|
1986年 | 24 |
-5.88% ↓
|
1985年 | 26 |
6.25% ↑
|
1984年 | 24 | - |
1983年 | 24 | - |
1982年 | 24 |
-5.88% ↓
|
1981年 | 26 |
13.33% ↑
|
1980年 | 23 | - |
1979年 | 23 |
25% ↑
|
1978年 | 18 |
-14.29% ↓
|
1977年 | 21 | - |
1976年 | 21 | - |
1975年 | 21 |
3.7% ↑
|
1974年 | 20 |
-3.57% ↓
|
1973年 | 21 |
16.67% ↑
|
1972年 | 18 |
-16.67% ↓
|
1971年 | 22 |
-1.37% ↓
|
1970年 | 22 |
-18.89% ↓
|
1969年 | 27 |
-3.23% ↓
|
1968年 | 28 |
-5.58% ↓
|
1967年 | 30 |
-10.86% ↓
|
1966年 | 33 |
-0.9% ↓
|
1965年 | 33 |
4.21% ↑
|
1964年 | 32 |
-5.31% ↓
|
1963年 | 34 |
9.18% ↑
|
1962年 | 31 |
-23.33% ↓
|
1961年 | 41 | - |
パプアニューギニアの馬肉生産データは、同国の畜産業や経済、さらには食文化の変遷を反映する興味深い指標です。開始年の1961年では馬肉生産は41トンと比較的多く、生産活動が活発であったことが伺えます。しかし、その後1970年代を通じて生産量は30トンを下回る値で推移し、最少の18トンを記録した年もあります。この減少には、農業における他産業や作物への注力の増加、家畜飼育の効率低下、あるいは市場の需要減少などが関係した可能性があります。
1980年代以降は、馬肉生産量が緩やかに増加していることが見受けられます。これは、パプアニューギニアにおける農村部の畜産技術向上や地域主導の食文化振興政策が影響した可能性があります。また、1990年代半ば以降、生産量は徐々に35トンから45トン近辺に安定する状況が確認できます。さらに特筆すべきは、2000年以降のデータにおいてほぼ一定の生産量を維持している点です。これは、国内での馬肉需要が一定していることや、馬肉が消費量の多い他国ほどの生産規模ではないものの、経済的にも持続可能な形で管理されていることを反映しているのかもしれません。
ただし、2001年に27トンと、一時的に約40%もの急激な下落が見られる点については注意が必要です。これに関する具体的な情報は明らかではありませんが、自然災害や疫病、あるいは経済の変動など外的要因が影響している可能性があります。ここで注目すべき点は、2002年以降再び生産量が元の水準に回復していることで、同国の畜産産業の耐久性や柔軟性の高さを示しているようにも思われます。
日本やアメリカ、ドイツなどの国々を比較対象とすると、馬肉の消費文化が確立されていない地域では生産量が希少であることに対し、パプアニューギニアは食料資源の多様性を保ちながらも比較的安定した馬肉生産体制を維持していることが強調できます。特に日本では馬肉は一部の地域で郷土料理として知られていますが、生産規模や市場での流通量は限られており、パプアニューギニアのほうが馬肉生産が広範囲で継続的である可能性があります。
しかしながら、パプアニューギニアの馬肉生産における課題としては、近年の気候変動やパンデミックの影響を無視することはできません。洪水や干ばつなどの自然災害は家畜の飼育環境に直接的な打撃を与えるだけでなく、流通網や市場活動を停止させる要因ともなりえます。このようなリスクに備えるためには、馬肉生産の効率を向上させる取り組みとして、家畜飼料の最適化や伝染病対策の強化が重要です。また、地政学的な観点でも、隣接する国々との食肉産業における協力体制の強化が、将来的な課題解決策となるでしょう。
持続可能な食料政策の面では、馬肉生産を単なる地域的産業として維持するのではなく、食品としての多様性を高めるため、輸出の可能性も視野に入れるべきです。国際市場へのアプローチは、食肉加工技術の向上やブランドづくりが前提となるものの、それが実現すれば、経済発展と地域の就業機会増加に寄与する可能性があります。
総じて、パプアニューギニアにおける馬肉生産の推移は、国内の需要と供給の均衡が取れた持続可能な縮図を描いています。ただし、将来的な市場や環境リスクに備えた改革を進めることで、さらなる成長の可能性が広がると言えるでしょう。