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ナイジェリアの牛乳生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した2024年7月時点での最新データによると、ナイジェリアの牛乳生産量は1961年から緩やかに増加傾向を示し、一部の年に急激な変動が見られつつも、2023年には527,453トンに達しています。特に、1990年代以降は生産量の伸びが緩やかになり、2008年や2015年のような一時的な減少も観測されています。全体を通して、長期的には着実な成長を続けているものの、依然として持続的な伸びを実現するにはいくつかの課題があります。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 527,453 -
2022年 527,437
0.54% ↑
2021年 524,588
0.68% ↑
2020年 521,061
0.67% ↑
2019年 517,573
0.65% ↑
2018年 514,240
0.72% ↑
2017年 510,568
0.52% ↑
2016年 507,950
-1.01% ↓
2015年 513,116
-12.29% ↓
2014年 585,000
2.63% ↑
2013年 570,000
0.71% ↑
2012年 566,000
0.53% ↑
2011年 563,000
26.61% ↑
2010年 444,669
-5.85% ↓
2009年 472,320
12.46% ↑
2008年 420,000
-10.3% ↓
2007年 468,240
1.2% ↑
2006年 462,700
5.52% ↑
2005年 438,500
3.66% ↑
2004年 423,000
3.5% ↑
2003年 408,700
0.12% ↑
2002年 408,200
4.85% ↑
2001年 389,300
0.08% ↑
2000年 389,000
0.81% ↑
1999年 385,875
5% ↑
1998年 367,500
5% ↑
1997年 350,000
-14.99% ↓
1996年 411,723
0.3% ↑
1995年 410,512
0.63% ↑
1994年 407,960
7.36% ↑
1993年 380,000
2.7% ↑
1992年 370,000
2.78% ↑
1991年 360,000
2.56% ↑
1990年 351,000
3.54% ↑
1989年 339,000
3.04% ↑
1988年 329,000
2.49% ↑
1987年 321,000
1.9% ↑
1986年 315,000
1.94% ↑
1985年 309,000
1.64% ↑
1984年 304,000
1% ↑
1983年 301,000
1.35% ↑
1982年 297,000
1.71% ↑
1981年 292,000
0.69% ↑
1980年 290,000
2.11% ↑
1979年 284,000
2.53% ↑
1978年 277,000
2.97% ↑
1977年 269,000
2.67% ↑
1976年 262,000
3.56% ↑
1975年 253,000
3.27% ↑
1974年 245,000
2.51% ↑
1973年 239,000
4.37% ↑
1972年 229,000
4.09% ↑
1971年 220,000
3.29% ↑
1970年 213,000
3.9% ↑
1969年 205,000
4.59% ↑
1968年 196,000
4.81% ↑
1967年 187,000
3.89% ↑
1966年 180,000
4.05% ↑
1965年 173,000
4.22% ↑
1964年 166,000
4.4% ↑
1963年 159,000
5.3% ↑
1962年 151,000
4.86% ↑
1961年 144,000 -

ナイジェリアの牛乳生産量は、1961年の144,000トンを出発点とし、2023年にはその約3.7倍となる527,453トンにまで増加しました。このデータは、同国における酪農分野の発展を示しており、農業の基盤強化といった努力が実を結んできたことを反映しています。ただし、年ごとの変動を詳しく見ると、1997年における350,000トンへの急激な減少や、2008年や2015年にも見られる縮小には注意が必要です。特に、2011年からの数年間では570,000トン近くまで伸びた後、2015年には513,116トンへの大きな減少が確認されます。このような変動は、気候、地政学的リスク、政策の一貫性の欠如、生産システムの課題など、多くの複合的な要因が影響していると考えられます。

牛乳生産量の推移に影響を与える要因としては、気候変動が挙げられます。ナイジェリアは乾燥地が多いため、十分な牧草地を確保することが難しく、家畜への飼料供給が不安定になることがあります。雨量の変動による干ばつや洪水も畜産業に直接的な打撃を与える可能性があります。また、地域的な紛争や社会的不安定も原因の一つと考えられます。特に牧草地の所有や利用に関する対立などが、畜産業とくに酪農業の効率的な発展を妨げています。

さらに、酪農の技術やインフラの遅れもこの分野の成長を制限しています。牛乳の生産から流通に至るまで適切な管理が行われていない場合、品質問題が生じることがあり、その分だけ国内消費への供給が制限されることも懸念されています。例えば、冷蔵技術や輸送インフラが整っていなければ、牛乳が市場に出回るまでに腐敗しやすくなるという課題があります。これに対しては、技術移転や国際的な支援を活用して、冷蔵庫や適切な流通手段を導入することが解決策となるでしょう。

ナイジェリアの牛乳生産量を支えるのは、中小規模の酪農家が大部分を占めており、これらの酪農家に対する現実的な支援も重要です。たとえば、飼料や生産資材への補助金を増やし、金融機関を通じたローン制度を整備することで、酪農家の経営を安定化させることが可能になります。また、教育やトレーニングプログラムを通じて、衛生的かつ効率的な生産方法を普及させる努力も求められます。

国際的な比較を行うと、ナイジェリアの牛乳生産量は着実に増加してきましたが、主要国と比較すると依然としてその規模は小さいままです。たとえば、インドは2020年において約1億9,600万トンの牛乳を生産しており、ナイジェリアはそのわずか0.3%程度に過ぎません。これは、人口規模と需要を考慮すると、ナイジェリアが国内市場での自足を達成するにはまだ課題が多いことを示しています。一方で、乳製品の輸出産業の育成は、外貨獲得の機会となる可能性も秘めています。

未来への具体的な示唆としては、地元の酪農業を支援する政策の導入が挙げられます。例えば、ナイジェリア全土に乳牛のヘルスケアプログラムを広めることで、牛の生産能力を向上させる取り組みは有効でしょう。また、気候変動への適応策として、干ばつ耐性のある牧草の導入や灌漑施設の整備を推進することが重要です。さらに、外国からの技術や資金援助を受け入れつつ、国内の酪農基盤を強化するために、アフリカ諸国間での協力体制の確立も求められます。

最終的に、牛乳生産におけるナイジェリアの現状は、将来的な潜在性を秘めています。しかし、その可能性を引き出すためには、気候変動への対応、地域紛争の解決、技術革新、そして政治的安定という多方面での努力が欠かせません。適切な政策と国際的な協力のもとで、牛乳生産を国内の経済成長と食料安全保障の両面で大きな成果につなげることが期待されます。