国連食糧農業機関(FAO)が発表した最新のデータによれば、ナイジェリアのパイナップル生産量は着実な増加傾向を示しています。1961年には50万トンでしたが、2023年には161万5622トンに達しました。この持続的な成長は、国内農業の発展や市場需要の高まりを反映しています。一方で、特定の年における生産量の変動や成長スピードの鈍化が見られ、さらに成長を促すための課題が残されています。
ナイジェリアのパイナップル生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
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2023年 | 1,615,622 |
0.52% ↑
|
2022年 | 1,607,200 |
0.77% ↑
|
2021年 | 1,594,859 |
0.78% ↑
|
2020年 | 1,582,519 |
0.8% ↑
|
2019年 | 1,569,952 |
-1.22% ↓
|
2018年 | 1,589,395 |
1.34% ↑
|
2017年 | 1,568,421 |
2.3% ↑
|
2016年 | 1,533,207 |
2.47% ↑
|
2015年 | 1,496,185 |
1.68% ↑
|
2014年 | 1,471,404 |
1.64% ↑
|
2013年 | 1,447,644 |
0.73% ↑
|
2012年 | 1,437,128 |
-2.93% ↓
|
2011年 | 1,480,571 |
-0.46% ↓
|
2010年 | 1,487,350 |
48.74% ↑
|
2009年 | 1,000,000 |
11.11% ↑
|
2008年 | 900,000 | - |
2007年 | 900,000 |
0.56% ↑
|
2006年 | 895,000 |
0.56% ↑
|
2005年 | 890,000 |
-0.33% ↓
|
2004年 | 892,916 |
0.16% ↑
|
2003年 | 891,496 |
0.28% ↑
|
2002年 | 889,000 |
-0.02% ↓
|
2001年 | 889,190 |
0.35% ↑
|
2000年 | 886,110 |
0.58% ↑
|
1999年 | 881,000 |
2.8% ↑
|
1998年 | 857,000 |
3.25% ↑
|
1997年 | 830,000 |
3.75% ↑
|
1996年 | 800,000 | - |
1995年 | 800,000 | - |
1994年 | 800,000 | - |
1993年 | 800,000 | - |
1992年 | 800,000 | - |
1991年 | 800,000 |
4.85% ↑
|
1990年 | 763,000 |
2.97% ↑
|
1989年 | 741,000 |
5.86% ↑
|
1988年 | 700,000 | - |
1987年 | 700,000 | - |
1986年 | 700,000 | - |
1985年 | 700,000 | - |
1984年 | 700,000 | - |
1983年 | 700,000 |
16.67% ↑
|
1982年 | 600,000 | - |
1981年 | 600,000 | - |
1980年 | 600,000 | - |
1979年 | 600,000 | - |
1978年 | 600,000 | - |
1977年 | 600,000 | - |
1976年 | 600,000 | - |
1975年 | 600,000 | - |
1974年 | 600,000 | - |
1973年 | 600,000 | - |
1972年 | 600,000 | - |
1971年 | 600,000 | - |
1970年 | 600,000 |
20% ↑
|
1969年 | 500,000 | - |
1968年 | 500,000 | - |
1967年 | 500,000 | - |
1966年 | 500,000 | - |
1965年 | 500,000 | - |
1964年 | 500,000 | - |
1963年 | 500,000 | - |
1962年 | 500,000 | - |
1961年 | 500,000 | - |
ナイジェリアのパイナップル生産は、過去60年にわたり、目覚ましい成長を遂げています。データによると、1961年から1982年までは年間生産量がほぼ一定で推移しており、60万トン程度に留まる状況が続いていました。この時期は、農業の生産基盤が限定的であり、政策的な支援や技術革新が進んでいなかったことが要因と考えられます。
1983年以降、生産量は徐々に増加を見せ始め、2009年には初めて100万トンを超える大台に到達しました。その後、2010年には148万7350トンと急激な増加が見られ、この背景には農業技術の向上や政策的な支援の増加が挙げられます。近年では、2023年に161万5622トンに達し、これは持続的な生産性向上を反映した結果と言えるでしょう。
また、他国と比較すると、ナイジェリアのパイナップル生産量はアフリカ大陸内で上位を占めるものの、世界最大規模の生産国であるフィリピンやコスタリカなどと比べると依然として差があります。例えば、フィリピンでは年間の生産量が約240万トンで推移しています。この差を埋めるには、生産技術のさらなる改良や国際市場へのアクセス拡大が不可欠です。
地域的な課題としては、生産の持続可能性が挙げられます。気候変動の影響により、農業シーズンに不確実性が増しており、降水量や気温の変動が生産に悪影響を与える可能性があります。また、農場レベルでのインフラ不足や肥料、高品質な種苗の入手困難などが問題となり、生産効率を低下させています。地域の農家は多くの場合、小規模農業に従事しているため、技術革新にアクセスするための資源や資本が限られているとの指摘もあります。
さらに地政学的背景では、西アフリカ地域における社会不安や紛争が、農業従事者の活動を妨げる要因となる可能性がある点が懸念されています。特に、北部地域の不安定な政治状況が、農業活動や物流に悪影響を及ぼす場合があります。
今後の対応策としては、農業効率を高めるための技術支援が重要です。スマート農業技術や気候データを活用した栽培管理システムの導入が、その一例です。また、農業インフラの強化や、適切な灌漑システムを整備することも効果的です。さらに、農家が金融サービスにアクセスしやすくすることで、高品質な資材や技術を利用できる環境を整えることが求められます。
結論として、ナイジェリアのパイナップル生産量は過去半世紀にわたり安定的に増加し、世界のパイナップル市場において成長する可能性を秘めています。しかしながら、気候変動や社会不安、技術やインフラの未整備といった課題を克服するためには、政府や民間セクター、国際機関が協力して持続可能な農業の実現に取り組む必要があります。このような対策を講じることで、ナイジェリアはさらに競争力を高めることができるでしょう。