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ナイジェリアのサトイモ生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が最新のデータを基に示したところによると、ナイジェリアのサトイモ生産量は、長期的には顕著な成長を遂げています。特に1980年代後半から生産が徐々に増加し、2000年以降、その成長は加速しています。2016年以降では急激な上昇が見られ、2022年には8,200,000トンに達しています。一方、1970年代後半には生産量が大幅に減少した時期がある点も注目すべきです。このデータは、ナイジェリアの農業の多面的な状況と、経済や地政学的要因、自然災害などが生産にどのような影響を与えてきたかを示しています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 8,334,557
1.64% ↑
2022年 8,200,000
-0.03% ↓
2021年 8,202,650
4.26% ↑
2020年 7,867,170
-0.42% ↓
2019年 7,900,080
-0.39% ↓
2018年 7,930,830
5.05% ↑
2017年 7,549,500
5.57% ↑
2016年 7,151,180
118.24% ↑
2015年 3,276,700
0.11% ↑
2014年 3,273,000
7.02% ↑
2013年 3,058,300 -
2012年 3,058,300
1.55% ↑
2011年 3,011,661
1.85% ↑
2010年 2,957,090
-2.51% ↓
2009年 3,033,340
8.78% ↑
2008年 2,788,450
3.35% ↑
2007年 2,698,130
25.53% ↑
2006年 2,149,320
2.4% ↑
2005年 2,098,900
11.73% ↑
2004年 1,878,470
-1.57% ↓
2003年 1,908,440
5.95% ↑
2002年 1,801,330
5.95% ↑
2001年 1,700,130
5.15% ↑
2000年 1,616,900
-4.31% ↓
1999年 1,689,770
-7.57% ↓
1998年 1,828,100
3.5% ↑
1997年 1,766,350
6.54% ↑
1996年 1,657,890
6.24% ↑
1995年 1,560,450
38.34% ↑
1994年 1,128,000
5.82% ↑
1993年 1,066,000
13.4% ↑
1992年 940,000
13.39% ↑
1991年 829,000
13.41% ↑
1990年 731,000
12.63% ↑
1989年 649,000
2.2% ↑
1988年 635,000
79.38% ↑
1987年 354,000
-5.09% ↓
1986年 373,000
60.78% ↑
1985年 232,000
12.08% ↑
1984年 207,000
-7.59% ↓
1983年 224,000
-20% ↓
1982年 280,000
3.7% ↑
1981年 270,000
29.81% ↑
1980年 208,000
57.58% ↑
1979年 132,000
-27.47% ↓
1978年 182,000
-47.4% ↓
1977年 346,000
-34.96% ↓
1976年 532,000
5.56% ↑
1975年 504,000
5% ↑
1974年 480,000
-56.6% ↓
1973年 1,106,000
-18.5% ↓
1972年 1,357,000
54.2% ↑
1971年 880,000
-36.28% ↓
1970年 1,381,000
-19.94% ↓
1969年 1,725,000
29.99% ↑
1968年 1,327,000
-19.48% ↓
1967年 1,648,000
15% ↑
1966年 1,433,000
-10.55% ↓
1965年 1,602,000
-1.17% ↓
1964年 1,621,000
4.51% ↑
1963年 1,551,000
0.39% ↑
1962年 1,545,000
34.7% ↑
1961年 1,147,000 -

ナイジェリアのサトイモ生産量は、1961年の1,147,000トンから2022年の8,200,000トンまで、長期的に見れば一貫して増加しています。しかしながら、この成長過程の背後には不規則な変動があり、特に1970年代後半には極端な減少が見られます。この時期には生産量が1960年代の数値のわずか1割ほどに落ち込み、ナイジェリアの農業における深刻な危機を示唆しています。この減少の背景として、1970年代のオイルブームによる農業衰退、内戦の影響、さらには気候変動などの自然環境要因が考えられます。

1980年代後半からは回復傾向が見られ、生産量は着実に増加しています。農業政策の改善や農法の技術革新が功を奏し、1990年代以降は急速な成長を遂げました。さらに、2000年代では2,098,900トンを超え、その後も安定した増加を続けましたが、注目すべきは2016年以降の急激な成長です。この年に突然倍増し、7,000,000トンを超える水準に達しました。この成長の要因として、大規模農業プロジェクトの実施や輸出向け生産の拡大、生産効率を向上させるためのインフラ整備の進展が挙げられます。

現在、ナイジェリアはサトイモ生産の世界的な主要国の一つであり、この農産物は食料安全保障の観点からも極めて重要です。サトイモはナイジェリア国内で主食の一部として広く消費されていますが、同時に輸出品目としても注目されています。国際市場での需要が高まる中、収穫量の増加は重要な経済的利益をもたらしています。しかしながら、課題も少なくありません。特に、急速な成長にともなう持続可能性への懸念があります。生産拡大が環境への負担を引き起こし、生物多様性や土地肥沃度に悪影響を与える可能性が指摘されています。さらに、気候変動の影響も無視できません。今後、より極端な気象条件が予測される中で、既存の農業技術を改善し、気候に強い持続可能な農業モデルの確立が求められます。

また、社会的・地政学的なリスクとして、農村部での紛争や政治的不安定が挙げられます。これらはしばしば農業労働力の減少や物流の妨げとなり、生産および輸送の安定性に悪影響を及ぼします。これに対処するためには、安全で効率的な物流システムの構築や、農村地域における治安維持政策の強化が必要とされます。また、生産者への技術指導や教育支援を通じて、小規模農家の協力体制を強化することが重要です。

結論として、ナイジェリアのサトイモ生産は顕著な成長を遂げてきましたが、その背後には複雑な社会・経済的背景と自然条件の影響があります。今後の持続可能な成長を実現するためには、農業政策のさらなる改善、環境保全の強化、地域間協力の推進による物流の円滑化が不可欠です。また、国際的な支援を活用して技術革新や農業インフラの整備を加速させることが、ナイジェリアの食料安全保障と経済成長の双方に寄与する大きな鍵となるでしょう。