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ナイジェリアのフォニオ生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、ナイジェリアのフォニオ生産量は1961年の33,000トンから2022年の84,170トンと約2.5倍に増加しています。ただし、その推移には大きな落ち込みや回復の波が見られます。特に1970年代から1980年代は顕著な減少が見られましたが、1990年代以降は持続的な増加傾向を示しています。近年では安定した生産量を維持している形ですが、他の穀物に比べて生産量は依然として低水準に留まります。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 84,876
0.84% ↑
2022年 84,170
0.03% ↑
2021年 84,146
0.2% ↑
2020年 83,977
-0.48% ↓
2019年 84,385
-1.25% ↓
2018年 85,454
0.82% ↑
2017年 84,758
1.21% ↑
2016年 83,747
0.81% ↑
2015年 83,071
0.97% ↑
2014年 82,270
0.5% ↑
2013年 81,863
0.46% ↑
2012年 81,486
-0.55% ↓
2011年 81,941
3.61% ↑
2010年 79,087
6.87% ↑
2009年 74,000
5.71% ↑
2008年 70,000
1.45% ↑
2007年 69,000
-13.75% ↓
2006年 80,000
-15.79% ↓
2005年 95,000
17.28% ↑
2004年 81,000
-2.41% ↓
2003年 83,000 -
2002年 83,000
3.75% ↑
2001年 80,000
5.26% ↑
2000年 76,000
7.04% ↑
1999年 71,000
4.41% ↑
1998年 68,000
3.03% ↑
1997年 66,000
3.13% ↑
1996年 64,000
10.34% ↑
1995年 58,000
5.45% ↑
1994年 55,000
10% ↑
1993年 50,000
6.38% ↑
1992年 47,000
9.3% ↑
1991年 43,000
10.26% ↑
1990年 39,000
11.43% ↑
1989年 35,000
16.67% ↑
1988年 30,000
15.38% ↑
1987年 26,000
-3.7% ↓
1986年 27,000
8% ↑
1985年 25,000
8.7% ↑
1984年 23,000
27.78% ↑
1983年 18,000
-10% ↓
1982年 20,000 -
1981年 20,000
11.11% ↑
1980年 18,000
12.5% ↑
1979年 16,000 -
1978年 16,000
14.29% ↑
1977年 14,000 -
1976年 14,000
-12.5% ↓
1975年 16,000
-5.88% ↓
1974年 17,000
21.43% ↑
1973年 14,000 -
1972年 14,000
-22.22% ↓
1971年 18,000 -
1970年 18,000
-28% ↓
1969年 25,000
-39.02% ↓
1968年 41,000
2.5% ↑
1967年 40,000
2.56% ↑
1966年 39,000
2.63% ↑
1965年 38,000 -
1964年 38,000
2.7% ↑
1963年 37,000
2.78% ↑
1962年 36,000
9.09% ↑
1961年 33,000 -

ナイジェリアのフォニオ生産量推移を見てみると、1961年から現在に至るまでに複雑な変動を経て増加しています。この穀物はサハラ以南アフリカで伝統的に重要視されてきた栄養価の高い作物で、乾燥・過酷な気候条件でも栽培が可能な特性を持っています。しかし、1969年から1970年代にかけては生産量が著しく減少し、これは農業政策の不安定さや地域的な衝突、そして気候変動が影響している可能性があります。特に1969年の25,000トンから1970年の18,000トンへの急落は、当時国内で発生したビアフラ戦争による混乱が影響を及ぼしたと考えられます。その後、1970年代半ばから1980年代にかけても慢性的な低迷の時期が続きました。

1990年代に入り、ナイジェリアの農業振興政策や研究開発が少しずつ進展したこと、さらに農業技術や輸送インフラの向上がフォニオ生産量を回復・増加させる重要な要因となりました。1993年には50,000トンを突破し、2000年代には大きな進展が見られます。特に2005年の95,000トンという突出した生産量は、農業支援政策の成功例であると言われています。しかし、その後の数年間で再度生産量が減少するなど、依然として安定性を欠く状況が続いています。

2010年代以降は概して安定した値を記録していますが、この安定は必ずしも高い生産性を意味するわけではなく、ナイジェリアにおける農業インフラの限界や資金不足が問題となっています。また、2020年からは新型コロナウイルス感染症の影響で物流が混乱し、フォニオなどの伝統作物の市場流通が限定されたことも一因と考えられます。このような状況を踏まえると、現在の状況は安定を保っているものの持続可能な成長モデルには至っていないと評価できます。

ナイジェリアのフォニオ生産を強化するためには、以下のような具体的な対策が求められます。まず、小規模農家への技術支援と資金供給を優先することが重要です。この作物は大規模生産よりもむしろ地域密着型の農業に適しているため、農家教育の継続的な実施が生産性の向上につながるでしょう。さらに、地域間連携を強化し、気候変動による干ばつや異常気象に対する耐性を高めるための品種改良も推進すべきです。併せて、フォニオを含む伝統作物の市場開拓を行い、国内外での需要を喚起する政策も不可欠です。

地政学的な視点から見ると、ナイジェリアがフォニオ生産を維持し、発展させることは食料安全保障の観点で極めて重要です。特に、人口が急速に増加している同国において伝統作物の安定供給は、社会的混乱や経済不安を防ぐ意味でも優先度が高いです。一方で、フォニオのような作物は現在、輸出市場での競争力が高くないため、周辺国との協力による地域的な農業支援プログラムの構築も検討すべきです。

結論として、ナイジェリアのフォニオ生産は長期的に見て持続可能な資源としての役割を果たす可能性がありますが、現在の数値を見る限りでは発展途上にある状況といえます。国際機関や企業の協力を得ながら農業的な安定化政策を採用し、さらには地域共同体の活性化を図ることでこの重要な穀物の生産量をより一層向上させることができるでしょう。最終的には、フォニオがナイジェリアの農業部門における重要な財産となることを期待しています。