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ナイジェリアのコーヒー豆生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関の最新データによると、ナイジェリアのコーヒー豆生産量は1960年代から2000年代の初頭にかけて増加傾向を示していましたが、2007年以降は減少が続いており、2022年の生産量は1,876トンとなっています。この数値は、ピーク時である1985年の6,000トンを大幅に下回ります。生産量の推移には、紛争、気候変動、農業政策の変動など、地政学的および社会経済的な背景が大きく影響を与えています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 1,844
-1.68% ↓
2022年 1,876
-1.5% ↓
2021年 1,904
-1.48% ↓
2020年 1,933
1.83% ↑
2019年 1,898
1.93% ↑
2018年 1,862
-1.46% ↓
2017年 1,890
-2.71% ↓
2016年 1,942
10.7% ↑
2015年 1,755
-11.04% ↓
2014年 1,972
-6.09% ↓
2013年 2,100
-13.11% ↓
2012年 2,417
-4.26% ↓
2011年 2,525
5.19% ↑
2010年 2,400
17.65% ↑
2009年 2,040
-32% ↓
2008年 3,000
19.05% ↑
2007年 2,520
-52.81% ↓
2006年 5,340
7.01% ↑
2005年 4,990
7.08% ↑
2004年 4,660
6.88% ↑
2003年 4,360
6.34% ↑
2002年 4,100
6.49% ↑
2001年 3,850
0.52% ↑
2000年 3,830
2.13% ↑
1999年 3,750
1.35% ↑
1998年 3,700 -
1997年 3,700
-2.12% ↓
1996年 3,780
22.33% ↑
1995年 3,090
-16.94% ↓
1994年 3,720
3.91% ↑
1993年 3,580
5.92% ↑
1992年 3,380
5.63% ↑
1991年 3,200
5.61% ↑
1990年 3,030
17.9% ↑
1989年 2,570
63.69% ↑
1988年 1,570
4.67% ↑
1987年 1,500
25% ↑
1986年 1,200
-80% ↓
1985年 6,000
50% ↑
1984年 4,000
33.33% ↑
1983年 3,000 -
1982年 3,000 -
1981年 3,000
-14.29% ↓
1980年 3,500
9.38% ↑
1979年 3,200
3.23% ↑
1978年 3,100 -
1977年 3,100
3.33% ↑
1976年 3,000 -
1975年 3,000
25% ↑
1974年 2,400
4.35% ↑
1973年 2,300
-44.86% ↓
1972年 4,171
15.86% ↑
1971年 3,600
27.39% ↑
1970年 2,826
-40.83% ↓
1969年 4,776
102.37% ↑
1968年 2,360
37.85% ↑
1967年 1,712
-57.2% ↓
1966年 4,000
33.33% ↑
1965年 3,000 -
1964年 3,000
50% ↑
1963年 2,000 -
1962年 2,000
81.82% ↑
1961年 1,100 -

ナイジェリアのコーヒー産業は、1960年代から1980年代にかけて成長を遂げ、一部の年には大幅な増産が見られました。たとえば、1961年の1,100トンから1985年には6,000トンに達しています。この成長期には、国内外の需要増加と技術導入にかかる政策的支援が功を奏していました。しかし、1986年以降、ナイジェリアのコーヒー豆生産量は不安定になり、減少傾向が続いています。このトレンドは、2007年以降顕著になり、2022年にはピーク時の約31%に当たる1,876トンまで減少しました。

生産量が減少している理由として、いくつかの社会的・環境的要因が挙げられます。まず、気候変動の影響は大きな要因の一つです。ナイジェリアでは異常気象による干ばつや降水量の不安定化が農業全般に影響を及ぼしています。コーヒー栽培においては、高品質な豆を育てるのに適した気象条件が必須ですが、その条件が満たされなくなってきています。

また、政治的不安定さと治安の悪化も、農業労働力や輸送、物流の効率に重大な影響を及ぼしています。例えば、農村部での治安問題により、多くの小規模農家がコーヒー栽培をあきらめる事例が増えています。さらに、農業インフラへの投資不足や都市化の進展による農地の減少も生産量低下を招く要因となっています。

国際市場との比較から見ても、ナイジェリアは他の主要生産国に大きく遅れを取っています。例えば、コーヒー豆の最大生産国であるブラジルは、年間約300万トン以上を生産しており、比較するとナイジェリアは非常に小規模な産地といえます。東アフリカ諸国、特にエチオピアやウガンダと比較しても、その生産量や品質で競争力を欠いていることが問題です。

未来の課題として、ナイジェリアがコーヒー産業を復興し、持続可能な生産体制を構築するためにはいくつかの重要なポイントがあります。まず、農業インフラと技術支援への投資を強化することが必要です。小規模農家向けに耐干ばつ性のある品種やスマート農業技術を普及させることで、気候変動への適応力を高めることができます。また、地域間の連携を深め、協同組合などの仕組みで農家の生産性と収入を向上させることも有効です。

さらに、農業政策の整備や国際市場との接続力を向上させることも重要です。公正な貿易ルールを策定し、国際機関や外国投資の支援を受けて生産から販売までのサプライチェーンを整えることで、競争力を取り戻すことが期待されます。加えて、経済多様化の一環として、コーヒー以外の輸出産品との連携を強化することも考えられます。

結論として、ナイジェリアのコーヒー豆生産量の推移は、歴史的には成長と減退を繰り返し、現在は全体として低迷状態にあります。しかし、適切な政策介入や技術導入、国際的な協力を通じて、復興と発展の可能性が十分に残されています。生産者や政策立案者が一丸となって課題解決に取り組むことが、ナイジェリアの農業とコーヒー産業の未来を切り開く重要な鍵です。