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ナイジェリアのサツマイモ生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した2024年7月に更新されたデータによると、ナイジェリアのサツマイモ生産量は、1960年代から現在に至るまで大きな変動を経験しながらも、全体としては増加してきました。特に1990年代以降、急激な成長を示し、2021年には約4,024,000トンに達しました。ただし、2022年には微減し約4,011,000トンとなっています。これらのデータは、ナイジェリアがサツマイモの生産拡大に成功しつつも、依然として課題を抱えていることを示しています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 4,084,518
1.83% ↑
2022年 4,011,035
-0.32% ↓
2021年 4,023,893
0.23% ↑
2020年 4,014,767
0.51% ↑
2019年 3,994,445
-1.67% ↓
2018年 4,062,466
1.88% ↑
2017年 3,987,389
1.37% ↑
2016年 3,933,480
1.98% ↑
2015年 3,857,242
3.28% ↑
2014年 3,734,749
1.58% ↑
2013年 3,676,709
2.35% ↑
2012年 3,592,440
2.16% ↑
2011年 3,516,653
1.43% ↑
2010年 3,467,073
5.06% ↑
2009年 3,300,000
-0.54% ↓
2008年 3,318,000
36.43% ↑
2007年 2,432,000
-29.75% ↓
2006年 3,462,000
8.02% ↑
2005年 3,205,000
6.98% ↑
2004年 2,996,000
7% ↑
2003年 2,800,000
6.42% ↑
2002年 2,631,000
6.39% ↑
2001年 2,473,000
0.2% ↑
2000年 2,468,000
0.69% ↑
1999年 2,451,000
57.12% ↑
1998年 1,560,000
4.49% ↑
1997年 1,493,000
1.01% ↑
1996年 1,478,000
26.54% ↑
1995年 1,168,000
282.95% ↑
1994年 305,000
-15.04% ↓
1993年 359,000
64.68% ↑
1992年 218,000
18.48% ↑
1991年 184,000
28.67% ↑
1990年 143,000
19.17% ↑
1989年 120,000
9.09% ↑
1988年 110,000
18.28% ↑
1987年 93,000
12.05% ↑
1986年 83,000
3.75% ↑
1985年 80,000
-20% ↓
1984年 100,000 -
1983年 100,000 -
1982年 100,000 -
1981年 100,000 -
1980年 100,000 -
1979年 100,000 -
1978年 100,000 -
1977年 100,000 -
1976年 100,000 -
1975年 100,000 -
1974年 100,000 -
1973年 100,000 -
1972年 100,000
-9.09% ↓
1971年 110,000
-2.65% ↓
1970年 113,000
-40.53% ↓
1969年 190,000
2.7% ↑
1968年 185,000
3.35% ↑
1967年 179,000
2.87% ↑
1966年 174,000
2.96% ↑
1965年 169,000
3.05% ↑
1964年 164,000
3.14% ↑
1963年 159,000
3.25% ↑
1962年 154,000
3.36% ↑
1961年 149,000 -

ナイジェリアのサツマイモ生産量の推移を詳しく見ると、いくつかの重要なポイントが浮かび上がります。1960年代において、ナイジェリアの年間生産量は約150,000トンとそれほど高い水準ではありませんでした。しかし、その後一貫して増加し、1969年には190,000トンに到達しました。この成長は、農業技術の浸透や農地の拡大と関連していると考えられます。

しかし1970年代に入ると、一転して生産量が急低下し、80年代にかけて長期間にわたり約100,000トン前後で停滞しました。この間に目を向けると、ナイジェリア内戦(ビアフラ戦争)の影響により農業生産が大打撃を受けた可能性が浮かび上がります。また、この時期における政策的不安定や限られたインフラも、農業の停滞に寄与したと推測できます。1985年には80,000トンまで減少した一方で、その直後から再び増加に転じ、特に1990年代以降、劇的な伸びを示しました。

1995年には初めて1,000,000トンを突破し、1999年には約2,451,000トンに達するなど、5年間で約2倍という驚異的な成長を遂げています。この拡大の背景には、政府による農業振興政策や国際市場での需要の高まりがあったと考えられます。また、1990年代後半以降は、農業従事者への技術指導や、改良された栽培品種の普及も大きく寄与したと思われます。

さらに2000年代に入ると、生産量は3,000,000トンを超え、2018年には4,062,466トンに達しました。そして2021年には約4,024,000トンと過去最高水準が続いています。一方で、2022年には小幅ながら減少が見られました。この減少には、新型コロナウイルスの流行によるサプライチェーンの混乱や資材の価格高騰などが影響した可能性が考えられます。

生産の増減に伴う課題の一つは、価格の安定と輸出市場の確保です。近年の増産により国内市場が飽和状態となり、サツマイモの農家が利益を上げるためには、サツマイモを国際市場へ展開し、新規市場を開拓する必要があります。しかしながら、インフラの整備不足や物流コストの高さが、輸出の妨げになる可能性があります。さらに気候変動の影響により、特に干ばつや豪雨などの極端な気象条件が生産量の一貫性を脅かしていることも重大な懸念材料です。

このような状況下で、ナイジェリア政府および関係機関にはいくつかの具体的な対策が求められます。一つは、気候変動への適応能力を向上させるための灌漑インフラや防災対策の強化です。これにより、悪天候による生産量の減少を最小限に抑えることが期待されます。また、物流施設の近代化および輸送網の整備を進めることで、国際市場への競争力を高めることができます。それに加えて、農家への教育や資金援助による効率的な生産手法の導入も重要です。さらに、国際的な輸出協定の促進を通じて、サツマイモ市場の新しい需要を開拓する努力も不可欠です。

結論として、ナイジェリアのサツマイモ生産は、過去数十年で大きな成長を遂げましたが、その成長を持続可能な形で維持するためには、地政学的リスクや気候変動、経済的な課題を克服する必要があります。国際的な協力やイノベーションを活かした政策の実施が、ナイジェリアの農業に明るい未来をもたらす鍵となるでしょう。