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ナイジェリアのカシューナッツ生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、ナイジェリアのカシューナッツ生産量は1961年に7,000トンであったのに対し、その後急激な増加を見せました。特に1990年代から2000年代にかけて生産量が飛躍的に向上し、2009年にはピークの800,000トンを記録しました。しかし、2011年以降、生産量は急激に減少し、近年は10万トン前後で推移する状況が続いています。この抑制された伸びと減少傾向の背景には、気候変動、技術不足、農業政策の課題が複合的に絡んでいる可能性が考えられます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 88,097
17.95% ↑
2022年 74,691
-9.6% ↓
2021年 82,622
-10.11% ↓
2020年 91,915
-9.44% ↓
2019年 101,500
1.5% ↑
2018年 100,000 -
2017年 100,000
1.74% ↑
2016年 98,291
1.18% ↑
2015年 97,149
-1.88% ↓
2014年 99,010
-48.61% ↓
2013年 192,660
-53.32% ↓
2012年 412,755
-26.63% ↓
2011年 562,572
-28.94% ↓
2010年 791,726
-1.03% ↓
2009年 800,000
18.47% ↑
2008年 675,266
2.31% ↑
2007年 660,000
3.77% ↑
2006年 636,000
7.07% ↑
2005年 594,000
7.03% ↑
2004年 555,000
5.92% ↑
2003年 524,000
1.95% ↑
2002年 514,000
5.98% ↑
2001年 485,000
4.08% ↑
2000年 466,000
11.75% ↑
1999年 417,000
174.34% ↑
1998年 152,000
21.6% ↑
1997年 125,000
13.64% ↑
1996年 110,000
15.79% ↑
1995年 95,000
11.76% ↑
1994年 85,000
13.33% ↑
1993年 75,000
36.36% ↑
1992年 55,000
22.22% ↑
1991年 45,000
50% ↑
1990年 30,000
20% ↑
1989年 25,000 -
1988年 25,000 -
1987年 25,000 -
1986年 25,000 -
1985年 25,000 -
1984年 25,000 -
1983年 25,000 -
1982年 25,000 -
1981年 25,000 -
1980年 25,000 -
1979年 25,000 -
1978年 25,000 -
1977年 25,000 -
1976年 25,000 -
1975年 25,000 -
1974年 25,000 -
1973年 25,000 -
1972年 25,000 -
1971年 25,000 -
1970年 25,000 -
1969年 25,000 -
1968年 25,000
4.17% ↑
1967年 24,000
4.35% ↑
1966年 23,000
4.55% ↑
1965年 22,000
15.79% ↑
1964年 19,000
26.67% ↑
1963年 15,000
7.14% ↑
1962年 14,000
100% ↑
1961年 7,000 -

ナイジェリアは、アフリカにおける主要なカシューナッツ生産国であり、世界市場における供給源の一つを担っています。カシューナッツの生産動向を振り返ると、1961年には7,000トンとわずかな量から始まりましたが、1960年代中盤から1970年代末までにかけて徐々に生産量を増加させ、1980年代には25,000トン前後を安定的に維持しました。この時期、農業技術の未発達や、インフラの不足、また国内の政治的不安定が成長の足枷となっていたと考えられます。

しかし、1990年以降、ナイジェリアのカシューナッツ生産は大きな転換期を迎えます。この時期、新たな農業政策や国際市場の需要増加を背景に、急激な生産拡大が起こりました。1999年には417,000トン、2009年には800,000トンという驚異的なピークに達しました。この要因として、カシューナッツが国際市場において輸出品として注目され、農民の関心が増したこと、また一部地域で灌漑設備や育成技術が改善されたことが挙げられます。カシューナッツの主成分であるナッツとカシューアップルはそれぞれ異なる用途に用いられ、食品業界や化粧品産業を支えました。

しかし、この飛躍的な成長期が一転し、2011年以降、生産量は減少に転じました。562,572トンを記録した2011年を境に、段階的な落ち込みが進み、2014年には99,010トンと10万トンを下回る規模に縮小しました。2023年時点では88,097トンに留まっています。この減少の原因として、気候変動の影響が顕著に現れています。特に、豪雨や干ばつの頻発がカシューナッツの栽培に最適な環境を損ない、生産に悪影響を与えています。また、農業従事者の高齢化や後継者不足による労働力の減少も重大な課題です。

さらに、収穫後の処理や保管プロセスの不備、特にインフラの整備不足が、生産量減少を加速させる一因となっています。競合するアジア諸国、特にインドやベトナムというカシューナッツの大規模輸出国と比べて、ナイジェリアの加工技術は発展途上にあり、多くの場合、生産物の付加価値を引き出すことができていません。

このような背景から、ナイジェリアの国内カシューナッツ産業の持続可能性を高めるためには、いくつかの具体的な対策が求められます。まず、気候変動に適応した耐性のあるカシューナッツ品種の開発が急務です。また、小規模農家を支援する形で灌漑設備や肥料、病害虫対策の導入を促進することが重要となります。近年では、デジタル技術を活用した農業支援アプリケーションが各国で普及し始めており、ナイジェリアでも農家の教育や情報提供に活用すべきです。

国際的なレベルで見ても、ナイジェリアはカシューナッツ産業の競争力を高めるため、近隣諸国やアフリカ連合(AU)と協力した研究開発プロジェクトを推進する必要があります。また、加工技術の向上を目指した官民の投資も不可欠です。これにより、生産活動が単なる原材料供給にとどまらず、国内の経済基盤と雇用の拡大にも寄与する可能性があります。

結論として、ナイジェリアのカシューナッツ生産がかつてのような成長を取り戻すためには、気候変動や技術不足という課題に積極的に取り組むことが不可欠です。また、経済的、地政学的に安定した環境が整えられることで、地域の発展にも貢献するでしょう。国レベルの政策の強化と、国際的な協力体制の構築が、ナイジェリアのカシューナッツ産業の明確な鍵を握っています。

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