世界の牛飼養数ランキング【1961〜2023】国別推移・年間比較データ

国際連合食糧農業機関（FAO）が提供する2021年度の牛飼養数に関するデータによると、世界最大の牛飼養国はブラジルで2億2,460万頭以上を保有しており、2位のインド（1億9,287万頭）や3位のアメリカ（9,379万頭）を大きく引き離しています。これら上位3国だけで、全世界の総牛飼養数の約45%を占めています。アフリカではエチオピアが4位にランクインしており、中国やインドなどアジアの国家も高い順位に位置しています。日本は3,961,000頭で61位にランクインしており、先進国の中では控えめな数字となっています。

順位	国名	地域	飼養数(頭)
1	ブラジル	南アメリカ	224,601,992
2	インド	アジア	192,879,869
3	アメリカ合衆国	北アメリカ	93,789,500
4	エチオピア	アフリカ	66,260,987
5	中国	アジア	61,580,239
6	アルゼンチン	南アメリカ	53,416,435
7	パキスタン	アジア	51,495,000
8	メキシコ	南アメリカ	35,998,885
9	チャド	アフリカ	33,287,209
10	スーダン	アフリカ	32,027,868
11	タンザニア連合共和国	アフリカ	31,065,313
12	コロンビア	南アメリカ	29,301,392
13	バングラデシュ	アジア	24,545,000
14	オーストラリア	オセアニア	24,431,174
15	ケニア	アフリカ	22,853,225
16	ナイジェリア	アフリカ	20,764,244
17	ロシア連邦	ヨーロッパ	18,027,172
18	インドネシア	アジア	17,977,214
19	トルコ	アジア	17,850,543
20	フランス	ヨーロッパ	17,330,080
21	ニジェール	アフリカ	17,107,271
22	ベネズエラ (ボリバル共和国)	南アメリカ	15,985,583
23	ウガンダ	アフリカ	14,624,111
24	パラグアイ	南アメリカ	13,919,507
25	南スーダン	アフリカ	13,612,784
26	ウズベキスタン	アジア	13,544,400
27	マリ	アフリカ	12,848,696
28	南アフリカ	アフリカ	12,232,115
29	ウルグアイ	南アメリカ	11,914,643
30	カナダ	北アメリカ	11,515,000
31	ドイツ	ヨーロッパ	11,039,660
32	ミャンマー	アジア	10,542,000
33	ボリビア (多民族国家)	南アメリカ	10,385,482
34	ニュージーランド	オセアニア	10,150,246
35	ブルキナファソ	アフリカ	10,038,425
36	イギリス	ヨーロッパ	9,603,000
37	マダガスカル	アフリカ	8,838,476
38	ギニア	アフリカ	8,826,796
39	カザフスタン	アジア	8,192,415
40	ネパール	アジア	7,466,841
41	アイルランド	ヨーロッパ	6,649,310
42	スペイン	ヨーロッパ	6,576,300
43	ポーランド	ヨーロッパ	6,378,700
44	ベトナム	アジア	6,365,300
45	イタリア	ヨーロッパ	6,280,280
46	カメルーン	アフリカ	6,008,881
47	ペルー	南アメリカ	5,853,660
48	イラン（イスラム共和国）	アジア	5,628,000
49	ニカラグア	南アメリカ	5,501,018
50	アフガニスタン	アジア	5,415,166
51	ジンバブエ	アフリカ	5,354,738
52	アンゴラ	アフリカ	5,210,412
53	モンゴル	アジア	5,022,225
54	中央アフリカ共和国	アフリカ	4,683,282
55	ソマリア	アフリカ	4,661,658
56	タイ	アジア	4,628,169
57	ベラルーシ	ヨーロッパ	4,232,400
58	グアテマラ	南アメリカ	4,106,025
59	ザンビア	アフリカ	4,095,503
60	エクアドル	南アメリカ	4,066,930
61	大韓民国	アジア	3,990,257
62	日本	アジア	3,961,000
63	オランダ	ヨーロッパ	3,705,000
64	セネガル	アフリカ	3,678,029
65	キューバ	南アメリカ	3,657,300
66	モロッコ	アフリカ	3,178,876
67	ドミニカ共和国	南アメリカ	3,059,394
68	チリ	南アメリカ	2,985,030
69	ウクライナ	ヨーロッパ	2,874,000
70	ホンジュラス	南アメリカ	2,868,144
71	ナミビア	アフリカ	2,863,244
72	エジプト	アフリカ	2,812,000
73	カンボジア	アジア	2,803,393
74	フィリピン	アジア	2,605,262
75	アゼルバイジャン	アジア	2,519,692
76	トルクメニスタン	アジア	2,513,950
77	タジキスタン	アジア	2,440,558
78	ベルギー	ヨーロッパ	2,310,440
79	ラオス人民民主共和国	アジア	2,299,000
80	モザンビーク	アフリカ	2,219,635
81	ガーナ	アフリカ	2,174,000
82	エリトリア	アフリカ	2,137,188
83	ベナン	アフリカ	2,117,302
84	イラク	アジア	2,061,427
85	マラウイ	アフリカ	2,035,065
86	モーリタニア	アフリカ	1,971,436
87	イエメン	アジア	1,872,516
88	オーストリア	ヨーロッパ	1,870,100
89	ルーマニア	ヨーロッパ	1,826,800
90	コートジボワール	アフリカ	1,786,862
91	キルギスタン	アジア	1,750,467
92	アルジェリア	アフリカ	1,734,476
93	ポルトガル	ヨーロッパ	1,640,650
94	コスタリカ	南アメリカ	1,621,727
95	ハイチ	南アメリカ	1,522,021
96	スイス	ヨーロッパ	1,513,701
97	パナマ	南アメリカ	1,509,900
98	ルワンダ	アフリカ	1,494,086
99	コンゴ民主共和国	アフリカ	1,490,234
100	デンマーク	ヨーロッパ	1,480,000
101	スウェーデン	ヨーロッパ	1,389,890
102	チェコ	ヨーロッパ	1,359,420
103	スリランカ	アジア	1,131,080
104	ボツワナ	アフリカ	1,026,589
105	ブルンジ	アフリカ	965,020
106	グルジア	アジア	925,800
107	ハンガリー	ヨーロッパ	909,900
108	ノルウェー	ヨーロッパ	901,026
109	シリア・アラブ共和国	アジア	872,307
110	セルビア	ヨーロッパ	859,514
111	フィンランド	ヨーロッパ	829,980
112	エルサルバドル	南アメリカ	790,983
113	シエラレオネ	アフリカ	733,029
114	ギニアビサウ	アフリカ	724,172
115	マレーシア	アジア	717,431
116	サウジアラビア	アジア	700,000
117	リトアニア	ヨーロッパ	628,700
118	ギリシャ	ヨーロッパ	614,100
119	アルメニア	アジア	613,413
120	ブルガリア	ヨーロッパ	611,200
121	エスワティニ	アフリカ	607,976
122	チュニジア	アフリカ	591,313
123	朝鮮民主主義人民共和国	アジア	579,146
124	イスラエル	アジア	555,196
125	スロベニア	ヨーロッパ	482,620
126	トーゴ	アフリカ	468,942
127	スロバキア	ヨーロッパ	434,090
128	クロアチア	ヨーロッパ	428,000
129	オマーン	アジア	421,950
130	ラトビア	ヨーロッパ	393,470
131	レソト	アフリカ	357,156
132	ボスニア・ヘルツェゴビナ	ヨーロッパ	341,898
133	アルバニア	ヨーロッパ	336,784
134	コンゴ	アフリカ	335,639
135	ジブチ	アフリカ	300,775
136	ブータン	アジア	295,444
137	ガンビア	アフリカ	283,300
138	エストニア	ヨーロッパ	250,800
139	プエルトリコ	南アメリカ	236,947
140	リビア	アフリカ	224,430
141	東ティモール	アジア	222,894
142	ルクセンブルク	ヨーロッパ	187,200
143	北マケドニア	ヨーロッパ	177,622
144	中国、台湾 中国省	アジア	159,122
145	ジャマイカ	南アメリカ	158,370
146	モルドバ共和国	ヨーロッパ	108,900
147	アラブ首長国連邦	アジア	104,602
148	ベリーズ	南アメリカ	103,964
149	バヌアツ	オセアニア	103,635
150	ガイアナ	南アメリカ	98,656
151	パプアニューギニア	オセアニア	91,416
152	レバノン	アジア	86,889
153	キプロス	アジア	84,610
154	アイスランド	ヨーロッパ	80,563
155	ニューカレドニア	オセアニア	80,478
156	ヨルダン	アジア	78,477
157	モンテネグロ	ヨーロッパ	71,166
158	パレスチナ国	アジア	67,760
159	フィジー	オセアニア	59,905
160	コモロ	アフリカ	51,218
161	カタール	アジア	50,721
162	リベリア	アフリカ	44,264
163	サモア	オセアニア	43,007
164	ガボン	アフリカ	39,407
165	トリニダード・トバゴ	南アメリカ	35,891
166	スリナム	南アメリカ	35,602
167	クウェート	アジア	31,768
168	カーボベルデ	アフリカ	29,584
169	ミクロネシア連邦	オセアニア	17,596
170	ソロモン諸島	オセアニア	15,239
171	マルタ	ヨーロッパ	14,020
172	ドミニカ	南アメリカ	13,982
173	トンガ	オセアニア	12,135
174	バルバドス	南アメリカ	12,076
175	セントルシア	南アメリカ	10,732
176	フランス領ポリネシア	オセアニア	7,542
177	バーレーン	アジア	7,500
178	赤道ギニア	アフリカ	5,465
179	グレナダ	南アメリカ	4,552
180	セントクリストファー・ネイビス	南アメリカ	4,017
181	モーリシャス	アフリカ	3,734
182	アンティグア・バーブーダ	南アメリカ	3,366
183	セントビンセントおよびグレナディーン諸島	南アメリカ	2,410
184	フェロー諸島	ヨーロッパ	1,860
185	中国、香港特別行政区	アジア	1,581
186	サントメ・プリンシペ	アフリカ	1,392
187	バハマ	南アメリカ	743
188	セーシェル	アフリカ	600
189	ブルネイ ダルサラーム	アジア	353
190	シンガポール	アジア	183
191	ニウエ	オセアニア	113
192	クック諸島	オセアニア	113
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2021年度における牛飼養数ランキングは、各国の食料生産、農業政策、気候条件、さらには文化的背景が如実に反映されています。牛の飼養数は各国における畜産業の規模や農村経済、さらには食文化との関連性を示す指標です。ブラジル、インド、アメリカはこれらすべての点で優位に立ち、ランキング上位を占めています。

1位のブラジルは、その広大な国土、豊富な牧草地、そしてグローバル市場向けの牛肉生産体制により圧倒的な飼養数を誇っています。輸出規模では世界をリードしており、世界の食糧供給においても重要な役割を果たしています。一方、2位のインドでは、牛は宗教的・文化的意味合いを持つ存在でもあり、主に乳製品生産が中心です。このことは牛飼養の目的が国ごとに異なることを示しています。アメリカでは、大規模な農場経営と最先端の技術を駆使した肉用牛の生産がメインであり、飼養数では3位ですが生産性においては高い水準を誇っています。

アフリカ諸国ではエチオピア（4位）やスーダン、チャドといった国々が上位にランクインしています。これらの国々では、牛は家族経済やローカルコミュニティの中で重要な資産であり、農業や移牧において欠かせない存在です。これらの地域では伝統的な飼育方法が中心で、生産性の向上や持続可能な農業へのシフトが求められています。

アジアでは中国（5位）、パキスタン、バングラデシュといった人口が多い国々が多くの牛を飼養しています。これらの国々では牛肉や乳製品の需要が増加しており、食糧安全保障の重要な一部となっています。日本はアジア内において牛飼養数が少ない部類に入りますが、高品質な和牛生産が特色であり、輸出向けのブランド戦略に注力しています。

地政学的背景も無視できません。例えば、畜産業の拡大が森林伐採や温室効果ガスの排出といった環境問題を引き起こすことは議論の的となっています。ブラジルでは、放牧地を確保するためのアマゾン森林破壊が世界的に懸念されています。さらに、新型コロナウイルスのパンデミックや気候変動、地域紛争といったリスクが、特に発展途上国における家畜管理や食品供給に直接的な影響を与えました。

未来に向けては、生産性の向上と持続可能性を両立させる取り組みが必須です。スマート農業技術の導入や、牛の飼料効率を改善するための研究が期待されています。また、畜産による環境負荷を削減するための政策策定が不可欠です。たとえば、ブラジルでは森林保護と畜産業の両立を目指す土地管理プログラムが必要です。

また、国際的な協力も鍵となります。アフリカ諸国では牛の飼養効率を高めるために国際援助が進むべきです。日本のように「少量高品質」の生産モデルを輸出することで、相互協力の可能性も広がるでしょう。

結論として、2021年の牛飼養数ランキングは、国ごとの地理的条件、経済状況、文化的背景、そして地政学的リスクが複雑に影響し合った結果を反映しています。今後、各国が取り組むべき課題は多岐にわたり、特に資源の持続可能な活用、食糧安全保障、そして環境負荷の軽減に焦点が当たる必要があります。国際社会における適切な政策と技術の共有が、より効率的で持続可能な牛生産を実現する鍵を握っています。