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シリア・アラブ共和国のニンジン・カブ類生産量推移(1961年~2023年)

国連食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、シリア・アラブ共和国のニンジン・カブ類の生産量は、1999年以降、大きな変動を繰り返してきました。特に2000年代中頃から現在に至るまで、生産量は一貫して安定せず、地政学的要因を含む多様な要因が影響を与えています。2023年の生産量は22,526トンで、過去24年間の中で高水準ではあるものの、過去最高水準からはまだ遠い状況にあります。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 22,526
12.03% ↑
2022年 20,107
-23.06% ↓
2021年 26,132
41.88% ↑
2020年 18,418
-7.33% ↓
2019年 19,875
49.67% ↑
2018年 13,279
-0.96% ↓
2017年 13,408
-14.05% ↓
2016年 15,600 -
2015年 15,600
-0.31% ↓
2014年 15,649
18.96% ↑
2013年 13,155
-31.73% ↓
2012年 19,269
-20.6% ↓
2011年 24,269
20.53% ↑
2010年 20,136
9.02% ↑
2009年 18,470
7.63% ↑
2008年 17,160
-3.7% ↓
2007年 17,820
37.08% ↑
2006年 13,000
-55.28% ↓
2005年 29,070
48.9% ↑
2004年 19,523
-2.39% ↓
2003年 20,000
33.33% ↑
2002年 15,000
50% ↑
2001年 10,000
33.33% ↑
2000年 7,500
50% ↑
1999年 5,000 -

シリア・アラブ共和国は、近年の紛争や地政学的な不安定化の中でも、農業をその重要な経済基盤の一部として維持しています。ニンジンやカブ類といった根菜類の生産は、国内の農業生産全体において重要な位置を占めているものの、その生産量は1999年から2023年までの24年間に大きな変動を見せました。

特に目立つのは2005年の29,070トンという高い生産量で、その後の2006年には急激な減少(13,000トン)を記録しました。このような大幅な変動は、主にシリア国内の気候条件の変化や農地管理の課題、そして輸出先の需要の変動が影響していると考えられます。また、2011年以降の内戦勃発による政治的不安定や物流網の壊滅も、農業生産量全体に深刻な影響を及ぼしています。内戦の影響が最も顕著であった2013年には、生産量は13,155トンと大きく落ち込み、その後も長期間にわたって完全な恢復に至っていません。

近年の推移では、2021年の26,132トンが2010年代以降のピークを記録しましたが、その背景には、内戦の沈静化と農業インフラの部分的な回復が挙げられるでしょう。しかしながら、2022年は20,107トン、2023年は22,526トンであり、再び減少傾向が見られる可能性もあります。これは気候変動や灌漑施設の老朽化、さらには肥料価格の上昇などが絡んでいる可能性があります。

シリアは、近隣諸国と比べ生産量が不安定です。例えば、大規模な農地を持ち、灌漑ネットワークを維持しているトルコやイランは比較的安定した根菜類生産量を示しています。さらに、消費者ニーズに合わせた市場調査や供給網の再構築によって、より競争力を高めています。これに対して、シリアでは内戦や経済的制裁が重なり生産効率が低下しており、これが農産物の自給自足率や輸出競争力に大きな影響を与えています。

具体的な解決策として、まずは農業インフラの整備が不可欠です。特に、灌漑技術の近代化と農地の劣化を防ぐための肥沃化政策は急務です。また、国際社会との協力体制を構築し、技術支援や資材供給を得ることが重要です。特に日本やドイツなど農業技術に優れた国々との連携は、生産性の向上に直結する可能性があります。

さらに、地域紛争の解決と安定的な物流網の回復も、生産量の向上に必要な条件です。国内衝突が続く限り、農作物の生産のみならず流通すら制限される状況が続くため、これは紛争解決の持続的努力が伴う課題となるでしょう。

結論として、この長期データから分かるのは、シリアのニンジン・カブ類生産は依然として地政学的リスクや気候条件の影響を大きく受けやすいという点です。今後、シリア国内の政策改善や国際援助を御して、農業の安定性と効率性を取り戻すことが求められます。