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シリア・アラブ共和国のオクラ生産量推移(1961年~2023年)

Food and Agriculture Organization(国連食糧農業機関)が発表した最新データによると、シリア・アラブ共和国のオクラ生産量は長期的に見ると変動が大きいものの、近年回復傾向が見られました。しかし、2023年の生産量は14,944トンと2021年および2022年の水準を下回り、減少に転じています。特に、2012年以降の地域紛争の影響により、生産量が急激に落ち込んだ期間がある一方で、その後徐々に復調が見られる点は注目すべきポイントです。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 14,944
-24.5% ↓
2022年 19,794
-0.22% ↓
2021年 19,837
5.28% ↑
2020年 18,843
10.06% ↑
2019年 17,121
25.27% ↑
2018年 13,667
-13.58% ↓
2017年 15,815
100.8% ↑
2016年 7,876
-44.53% ↓
2015年 14,198
-4.36% ↓
2014年 14,845
92.64% ↑
2013年 7,706
10.18% ↑
2012年 6,994
-52.12% ↓
2011年 14,607
-5.46% ↓
2010年 15,451
11.87% ↑
2009年 13,812
-31.28% ↓
2008年 20,100
31.46% ↑
2007年 15,290
-30.66% ↓
2006年 22,050
38.68% ↑
2005年 15,900
-26.39% ↓
2004年 21,600
6.93% ↑
2003年 20,200
65.44% ↑
2002年 12,210
-4.61% ↓
2001年 12,800
11.4% ↑
2000年 11,490
-1.66% ↓
1999年 11,684
-31.63% ↓
1998年 17,089
25.51% ↑
1997年 13,616
30.06% ↑
1996年 10,469
-16.99% ↓
1995年 12,612
8.42% ↑
1994年 11,633
-1.88% ↓
1993年 11,856
17.51% ↑
1992年 10,089
-5.05% ↓
1991年 10,626 -

シリア・アラブ共和国のオクラ生産量データからは、生産量が地政学的要因や自然条件に大きく影響されていることが伺えます。1990年代から2000年代にかけては12,000トン前後で安定した水準でしたが、1998年および2003年から2006年にかけては一度急激に上昇し、それぞれ17,089トン、20,200トン、そして最大で22,050トンを記録するなど、国内生産環境が改善した時期であることが分かります。

しかし、2011年に始まる内戦による混乱は、オクラの生産に顕著な影響を及ぼしました。特に2012年から2016年の期間には、6,994トンから7,876トンにとどまるという急激な落ち込みが見られ、これは戦争による農業従事者の減少や灌漑施設の破壊によるものと考えられます。この間、多くの農地が放置されるか、戦闘によって使用不能になり、さらに貿易機能の低下が国全体の農業生産量減少につながりました。

2017年以降には再び回復傾向が見られ、生産量は2万トン近くにまで戻りつつあります。これは、紛争の収束に向かう動きや、国連や国際NGOからの援助が農業再建に寄与した結果と言えます。特に2020年から2022年にかけては18,843トンから19,837トンと安定して高い水準が維持されました。これは、灌漑システムの一部再建、農家の労働環境改善、そして国内需要の回復が相乗的に作用したと推測されます。

しかし、2023年には14,944トンと再び減少に転じています。この要因として、気候変動による旱魃の影響や経済的不安定性、そして依然として残る地域的緊張が挙げられます。また、現代の農業では化学肥料や機械設備の利用が重要ですが、これらの調達がシリア国内で困難であることがさらなる課題となっています。

短期的には、シリアのオクラ生産を再び安定させるためには、灌漑の効率化を進めることが必要不可欠です。また、農業従事者への資金援助や、種子の提供など実用的な支援策を強化することが望ましいです。中長期的な視点では、気候変動の影響を最小化するための持続可能な農業技術の導入や、農村地域の生産基盤の復興が必要です。同時に、地政学的リスクの軽減に向けて国際的な協力を進めることが重要ですが、これはシリア国内だけでは解決できない課題です。

結論として、データからは紛争や気候条件が生産量に密接に関連していることが明らかであり、地政学的安定化および農業インフラの復興が今後のオクラ生産量改善の鍵であると言えます。同時に、国際機関や他国の支援を活用し、地域的および国際的な協力の枠組みを強化することで、持続可能な成長が可能になるでしょう。

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