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シリア・アラブ共和国のキュウリ類生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が2024年7月に発表した最新データによると、シリア・アラブ共和国のキュウリ類の生産量は1961年の40,000トンから始まり、1983年には過去最高の350,300トンに達しました。その後、断続的な減少傾向を見せ、特に2011年のシリア内戦発生以降、急激な下落が記録されています。2023年には153,624トンと内戦前の数値を大きく下回る結果になっています。このデータは、シリアにおける社会的、経済的、地政学的な課題を反映したものと考えられます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 153,624
22.41% ↑
2022年 125,495
-17.35% ↓
2021年 151,844
-16.76% ↓
2020年 182,415
33.57% ↑
2019年 136,567
-22.3% ↓
2018年 175,758
-5.1% ↓
2017年 185,208
14.53% ↑
2016年 161,713
-1.86% ↓
2015年 164,773
4.37% ↑
2014年 157,875
24.12% ↑
2013年 127,197
-0.27% ↓
2012年 127,539
-35.14% ↓
2011年 196,652
0.71% ↑
2010年 195,258
10.36% ↑
2009年 176,921
4.67% ↑
2008年 169,024
-9.81% ↓
2007年 187,404
12.38% ↑
2006年 166,756
-11.01% ↓
2005年 187,380
9.17% ↑
2004年 171,634
-10.63% ↓
2003年 192,040
4.37% ↑
2002年 183,993
40.71% ↑
2001年 130,760
43.22% ↑
2000年 91,302
-2.68% ↓
1999年 93,814
-25.96% ↓
1998年 126,700
19.87% ↑
1997年 105,700
-15.73% ↓
1996年 125,427
-11.61% ↓
1995年 141,900
7.61% ↑
1994年 131,863
-19.94% ↓
1993年 164,700
4.51% ↑
1992年 157,588
9.87% ↑
1991年 143,435
-17.19% ↓
1990年 173,200
-5.72% ↓
1989年 183,700
-27.5% ↓
1988年 253,372
-6.6% ↓
1987年 271,273
23.42% ↑
1986年 219,800
-25.54% ↓
1985年 295,200
25.03% ↑
1984年 236,100
-32.6% ↓
1983年 350,300
24.11% ↑
1982年 282,245
3.79% ↑
1981年 271,947
-0.87% ↓
1980年 274,342
56.82% ↑
1979年 174,943
-8.74% ↓
1978年 191,691
7.97% ↑
1977年 177,536
3.52% ↑
1976年 171,499
-6.35% ↓
1975年 183,125
35.84% ↑
1974年 134,808
48.51% ↑
1973年 90,773
-4.63% ↓
1972年 95,182
62.44% ↑
1971年 58,594
14.83% ↑
1970年 51,025
-31.1% ↓
1969年 74,060
7.02% ↑
1968年 69,205
8.15% ↑
1967年 63,992
41.02% ↑
1966年 45,377
6.06% ↑
1965年 42,785
10.35% ↑
1964年 38,772
-0.15% ↓
1963年 38,831
-12.27% ↓
1962年 44,264
10.66% ↑
1961年 40,000 -

シリア・アラブ共和国におけるキュウリ類の生産推移は、同国の経済、社会、そして政治の動向を詳細に映し出す一つの指標となっています。1960年代初期の比較的低い生産量から、1970年代後半から1980年代にかけて成長が著しく見られ、1983年には過去最高の350,300トンを記録しました。この時期、シリアでは農業施策の強化と灌漑設備の整備が進められ、農業セクターの生産性向上が実現した背景があります。

しかし、1984年以降、生産傾向に継続的な波が見られます。これには土壌劣化、降雨量の不安定さ、および資源の過剰利用などの要因が絡んでいる可能性があります。1990年代前後、特に1991年以降は生産量が著しく減少し、一時期は143,435トンにまで落ち込みました。この背景には、経済制裁や内政の不安定さ、そして市場競争が激化したことなどが影響していると考えられます。

注目すべきは、2011年のシリア内戦が勃発して以降のデータです。この時点から生産量は急激に減少し、2012年には127,539トン、2013年にはさらに127,197トンと過去最低に近い水準になっています。内戦の発生は農村部と都市部の物流網を分断し、農産物の流通が妨げられたことが大きな要因と推測されます。また、農地へアクセスが制限され、水インフラが破壊されたことも同様に影響を与えています。

2020年以降は若干の持ち直しの兆しが見られますが、それでも2011年以前の水準には達していません。2023年には153,624トンとやや回復傾向を示しましたが、以前の水準に戻るには至っておらず、シリアの農業セクターが引き続き脆弱であることを示しています。

シリアのキュウリ類生産における課題は、主に内戦の影響で農業インフラが損なわれたこと、資源管理が難しくなったこと、そして農業政策が極端に不安定であったことです。比較対象として考えると、例えば隣国であるトルコは同時期に農業の近代化を積極的に推進し、安定した生産量を維持しています。また、農業技術の発展に投資することで、アメリカや欧州諸国などの主要な農業大国も気候変動や灌漑不足といった課題を克服しています。

将来的には、シリアのキュウリ類生産を回復させるために、農村インフラの修復、地域間での協力強化、そして灌漑技術の導入が必要不可欠です。国連機関やNGOによる支援も考えられますが、重要なのは現地の農家へ直接的な援助を行い、彼らの生産能力を底上げすることです。特に、持続可能な農業への転換を図るために、土壌保全や効率的な水利用を促進する政策も効果的と考えられます。また、政策の安定化を図ることで、国内外の投資を呼び込む環境を整備することが望まれます。

結論として、キュウリ類の生産量推移はシリアの社会的、経済的状況を象徴する事例となっており、復興のカギを握る農業セクターに即した支援が急務であることを示唆しています。この分野への具体的な施策と国際的支援が実現すれば、シリア農業の復活と経済の再生に大きな貢献が期待されます。

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