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シリア・アラブ共和国のオリーブ生産量推移(1961年~2023年)

シリア・アラブ共和国におけるオリーブ生産量は1961年以降、逐年増加傾向を示し、一部の年では急激な増減が観察されました。最も高い生産量は2006年の1,190,780トンで、特に2000年代にかけての成長が顕著です。一方で、2011年からの内戦を背景に生産量が安定しない状態となり、2014年には392,214トンにまで急減しました。2022年には990,948トンへと再び回復基調にありますが、依然として一定の課題を抱え続けています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 697,325
-29.63% ↓
2022年 990,948
75.07% ↑
2021年 566,043
-27.54% ↓
2020年 781,204
-7.47% ↓
2019年 844,316
27.03% ↑
2018年 664,643
-21.8% ↓
2017年 849,919
27.15% ↑
2016年 668,441
-26.81% ↓
2015年 913,299
132.86% ↑
2014年 392,214
-53.42% ↓
2013年 842,098
-19.78% ↓
2012年 1,049,761
-4.14% ↓
2011年 1,095,043
14.02% ↑
2010年 960,403
8.4% ↑
2009年 885,942
7.12% ↑
2008年 827,033
66.97% ↑
2007年 495,310
-58.4% ↓
2006年 1,190,780
94.5% ↑
2005年 612,223
-40.4% ↓
2004年 1,027,200
85.99% ↑
2003年 552,277
-41.31% ↓
2002年 940,941
89.34% ↑
2001年 496,952
-42.62% ↓
2000年 866,052
116.24% ↑
1999年 400,509
-48.98% ↓
1998年 785,000
94.81% ↑
1997年 402,956
-37.78% ↓
1996年 647,645
52.98% ↑
1995年 423,358
-18.25% ↓
1994年 517,892
59.27% ↑
1993年 325,164
-37.39% ↓
1992年 519,315
129.79% ↑
1991年 226,000
-50.92% ↓
1990年 460,500
284.4% ↑
1989年 119,796
-75.41% ↓
1988年 487,179
120.61% ↑
1987年 220,831
-46.73% ↓
1986年 414,534
124.07% ↑
1985年 184,999
-40.32% ↓
1984年 310,000
103.95% ↑
1983年 152,000
-67.73% ↓
1982年 471,000
126.56% ↑
1981年 207,892
-46.97% ↓
1980年 392,015
100.06% ↑
1979年 195,950
-35.69% ↓
1978年 304,677
73.57% ↑
1977年 175,537
-24.79% ↓
1976年 233,403
48.79% ↑
1975年 156,865
-27.04% ↓
1974年 215,010
193.8% ↑
1973年 73,183
-54.64% ↓
1972年 161,326
37.74% ↑
1971年 117,120
37.14% ↑
1970年 85,402
-33.74% ↓
1969年 128,896
15.28% ↑
1968年 111,808
-1.13% ↓
1967年 113,083
-2.74% ↓
1966年 116,272
77.16% ↑
1965年 65,630
-46.46% ↓
1964年 122,592
80.28% ↑
1963年 68,000
-22.09% ↓
1962年 87,285
5.16% ↑
1961年 83,000 -

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データでは、シリアにおけるオリーブ生産量の変化が明確に示されています。1961年に83,000トンでスタートした記録は、1990年代から2000年代にかけて大きな成長期を迎え、2006年には最高値の1,190,780トンに達しました。この持続的な成長には、シリアがオリーブの栽培に適した気候条件を持つことや、国内外の需要が高まる中での農業投資が寄与していました。

しかしながら、2011年の内戦勃発後は、生産量の激しい変動が見られました。例えば、2014年の生産量は392,214トンまで大幅に落ち込みましたが、この背景には内戦が農業基盤に与えた打撃があります。具体的には、生産地の争奪や労働力の喪失、インフラ破壊、輸送手段の不足などが主な要因です。一時的に回復を見せたものの、2021年には566,043トンに減少し、政治的・経済的不安定さが依然としてオリーブ産業に影響を与えていることが分かります。

他国と比較すると、日本はオリーブの国内生産量が極めて小規模であり、ほとんどを輸入で賄っています。一方、シリアは生産量としては中東地域で重要な農業国といえますが、イタリアやスペインなどの欧州主要生産国と比べると、栽培技術やインフラ面での課題を抱えています。例えば、スペインの年間生産量は約1,500万トンに達し、シリアのピーク時の生産量を大きく上回っています。この差には安定した情勢、技術力、効率性の違いが反映されています。

地政学的観点から見ると、中東地域は紛争や気候変動の影響を強く受けやすい地域です。特に内戦後、シリアのオリーブ生産地はさまざまな勢力が支配する状態に陥ったことが、農業の人的資源や技術支援の不足を招いています。また、気候変動の影響も深刻です。収穫量は、降水量の変動や干ばつによっても左右されており、この傾向は今後さらに顕著となる可能性があります。

現状を改善し、今後オリーブ生産を安定させるためにはいくつかの具体的な対策が必要です。まず、農業基盤の復興支援が急務となります。破壊された灌漑設備や農地の再建だけでなく、栽培技術や品種改良の支援も重要です。次に、生産地の安定を目的とした地域間協力の枠組みを作ることも有効です。更には国際社会やNGOからの技術協力や資金援助を取り入れ、支援体制を強化することが考えられます。これらの政策を通じて、生産の復旧に努めるとともに、持続可能な農業モデルへの移行を目指すべきです。

結論として、シリアのオリーブ生産量は一時的に持ち直しているように見えますが、内戦や気候変動といった課題を解決しない限り、長期的な安定を確保するのは困難です。そのため、国・地域ごとの支援体制と国際協力の重要性がこれまで以上に問われる状況です。再び安定的で持続可能な生産へと転換するためには、多角的かつ統合された政策が必要となるでしょう。