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シリア・アラブ共和国のカボチャ・スクワッシュ・ヒョウタン生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、シリア・アラブ共和国のカボチャ、スクワッシュ、およびヒョウタンの生産量は1961年から以下上昇と減少を繰り返してきました。特に1970年代から1980年代にかけて大きな上昇を記録しましたが、その後、断続的な減少と回復を経て、2023年の生産量は84,463トンに留まりました。この傾向は政治的・経済的環境、気候変動、および地域衝突による影響を反映していると考えられます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 84,463
-12.87% ↓
2022年 96,942
-26.9% ↓
2021年 132,610
6.84% ↑
2020年 124,118
15.51% ↑
2019年 107,454
14.59% ↑
2018年 93,776
-15.91% ↓
2017年 111,518
29.1% ↑
2016年 86,379
-7.89% ↓
2015年 93,777
1.13% ↑
2014年 92,728
-5.86% ↓
2013年 98,500
29.69% ↑
2012年 75,949
-37.93% ↓
2011年 122,361
1.18% ↑
2010年 120,933
-0.76% ↓
2009年 121,857
-9.94% ↓
2008年 135,306
11.7% ↑
2007年 121,136
13.49% ↑
2006年 106,739
-24.19% ↓
2005年 140,789
11.97% ↑
2004年 125,740
36% ↑
2003年 92,453
-16.23% ↓
2002年 110,360
42.92% ↑
2001年 77,220
-11.68% ↓
2000年 87,437
-12.6% ↓
1999年 100,040
-17.8% ↓
1998年 121,700
7.41% ↑
1997年 113,300
-28.51% ↓
1996年 158,480
0.3% ↑
1995年 158,000
9.42% ↑
1994年 144,400
22.27% ↑
1993年 118,100
-13.16% ↓
1992年 136,000
20.46% ↑
1991年 112,900
8.14% ↑
1990年 104,400
-32.86% ↓
1989年 155,500
-8.26% ↓
1988年 169,500
-0.94% ↓
1987年 171,100
9.05% ↑
1986年 156,900
-25.57% ↓
1985年 210,800
27.14% ↑
1984年 165,800
-15.49% ↓
1983年 196,200
-0.81% ↓
1982年 197,803
19.07% ↑
1981年 166,126
-9.04% ↓
1980年 182,643
23.95% ↑
1979年 147,353
-3.84% ↓
1978年 153,245
9.07% ↑
1977年 140,501
-8.51% ↓
1976年 153,577
-4.77% ↓
1975年 161,266
31.44% ↑
1974年 122,692
90.36% ↑
1973年 64,453
-1.71% ↓
1972年 65,572
39.78% ↑
1971年 46,910
8.27% ↑
1970年 43,327
-11.07% ↓
1969年 48,723
4.29% ↑
1968年 46,719
-8.64% ↓
1967年 51,138
40.49% ↑
1966年 36,400
-18.39% ↓
1965年 44,603
16.41% ↑
1964年 38,314
8.84% ↑
1963年 35,201
-12.77% ↓
1962年 40,356
30.18% ↑
1961年 31,000 -

シリア・アラブ共和国におけるカボチャ、スクワッシュ、ヒョウタン生産量の推移は、国内外の多様な要因に深く影響されています。1961年からのデータを見ると、生産量は一貫した直線的な増加ではなく、いくつかの時期に大きな変動が見られます。特に1974年以降は年間生産量が大幅に増加し、1985年には210,800トンというピークを迎えました。この時期、農業政策の改善や農地拡張、収穫技術の発展が寄与したと考えられます。

しかしながら、1990年代には生産量が急激に低下し、2000年には87,437トンと記録が低迷しました。この背景には、気候条件の悪化や農地の利用効率の低下、さらに国際的な経済的圧力が影響していると見られます。その後、2000年代半ばには一定の回復傾向が見られるものの、2011年以降、シリア内戦の影響により農業生産全体が影響を受け、生産量は再び減少し始めました。2012年には75,949トンまで落ち込みましたが、以降は100,000トン前後で推移する状況となっています。

シリアにおける農業生産といえば、水資源への依存が非常に高いという特性があります。カボチャやスクワッシュ、ヒョウタンといった作物は比較的水を必要とするため、内戦中に水利システムが破壊されたことや、降水量の減少による干ばつの影響が顕著に出ています。また、農地の多くが紛争地帯に近いことで、作業の継続が困難になったことも重要な要因です。

さらに、国際市場におけるカボチャやスクワッシュなどの価格変動が生産量に影響しています。シリア国内の経済状況の悪化に伴い、農業労働力の確保が困難になり、化学肥料や機械設備などの利用も制限されるという問題が生じています。同時に、国際的な経済制裁も物資の輸入を妨げる要因となっています。

こうした現状に対し、シリアが今後取り得る具体的な対策として、農業用水の効率的利用を目指した灌漑システムの再整備が優先事項として挙げられます。また、国際的な援助を得ながら農業における持続可能性を高めるための技術支援を受けることが重要です。例えば、低コストで水の利用効率が高い点滴灌漑の導入は、生産性の向上に直結するでしょう。同時に、多くの生産者が市場の需要に応じた品種転換を実施することで、競争力を高めることができます。

地政学的な観点から、シリアの農業生産は、紛争や不安定な政情の影響を受けやすいことがわかります。戦闘行為の停戦や和平交渉の進展が農業再生の基盤を整える上で必要不可欠です。また、周辺国との農業協力や、地域的な水資源管理枠組みの構築も将来的な生産の安定化に寄与するものと思われます。

結論として、現在のカボチャ、スクワッシュ、ヒョウタンの生産状況はシリア全体の情勢を反映しており、政情不安定や環境問題と直結しています。未来に向けては、基盤整備と技術改良、経済的・政治的安定化を一体として進めていく必要があります。国際社会や地域的な枠組みの協力のもと、持続可能な農業発展を実現することこそ、シリアの農業生産再生への鍵となるでしょう。